「自信ない」給付金ギャンブルに 止められない依存症 コロナ禍で浮き彫り
新型コロナウイルスによるストレスや不安感から陥りやすいとして、世界保健機関(WHO)が依存リスクを指摘したギャンブル。休業要請に応じなかったパチンコ店に客が詰めかけていることが非難され、ネットではパチンコをやめられない主人公の漫画が話題になった。コロナ禍で浮き彫りになったギャンブル依存症について専門家に話を聞いた。(竹内 章)
〈営業を自粛しないパチンコ店に足を運ぶ人の多さを見ると自分もかつてそうなっていただろうと感じる〉〈パチンコ店の映像が出ると、依存症者の家族を思い胸が痛くなります〉。ギャンブル依存症問題を考える会(東京)が、回復者や家族に新型コロナの影響をアンケートした際の自由記述だ。
「パチンコ店に並ぶ人に眉をひそめる向きがあるかもしれないが、皆が支援や介入が必要な依存症者ではない」と精神保健福祉士の中元康雄さんは指摘する。神戸市内の心療内科クリニックで、2016年からギャンブル依存症の回復支援プログラムに取り組んでおり、さまざまな患者に接してきた。
▽精神疾患
ギャンブル依存症は、WHOが「病的賭博」という名称で精神疾患として認め、その後の研究で、アルコールや薬物の依存とメカニズムが似ている点が多いことが判明。依存症として位置づけられた。「パチンコや公営競技のような賭け事にのめり込むことにより日常や社会生活に支障が生じ、治療を必要とする状態」を指し、興奮を求め賭け金が増えていく▽負けたお金をギャンブルで取り返そうとする▽ギャンブルのことでうそをついたり借金したりする−といった症状がある。国の17年度調査では、過去に依存症の経験が疑われる人は推計320万人。外来患者数は14年度2019人から17年度は3499人に増えた。
回復支援プログラムは、心理療法の一つである認知行動療法を取り入れている。思考や行動の癖を把握し、自分の認知・行動パターンを整えていくことで、当事者が自信を持ち日常生活に戻ることを目的にしている。「ギャンブルをしたいという気持ちをゼロにするのではなく、そういった気持ちと悪戦苦闘しながら、代わりの楽しみをじっくり見つけてもらうことが目標」と中元さんは話す。
▽「自信がない」
懸念されているのが国の特別定額給付金(10万円)。考える会のアンケートでは「もし回復する前に支給されたら何に使うか」の問いに、7割がギャンブルと回答。中元さんも患者から「我慢できる自信がない」「スイッチが入ってしまう気がする」と打ち明けられた。「すべての人が思いとどまるような働きかけは難しいが、事前に家族で使い方を話し合い、ギャンブル以外の使い道を見いだしてほしい。仮に我慢できなくても自暴自棄にはならないで」と話す。
コロナ禍に伴う無観客レースや外出自粛呼びかけの中、公営ギャンブルにはネット投票でアクセスできる現状も、「家族が知らないうちにのめり込んでしまう恐れもある」(中元さん)という。「回復には周囲の支えが大切。パチンコ店のニュースを契機にこの疾患への理解が深まり、一般の人が依存症全体について議論できるようになってほしい」と話している。
※続きはソースからご覧ください
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202005/0013383142.shtml
2020/5/30 15:00神戸新聞NEXT
新型コロナウイルスによるストレスや不安感から陥りやすいとして、世界保健機関(WHO)が依存リスクを指摘したギャンブル。休業要請に応じなかったパチンコ店に客が詰めかけていることが非難され、ネットではパチンコをやめられない主人公の漫画が話題になった。コロナ禍で浮き彫りになったギャンブル依存症について専門家に話を聞いた。(竹内 章)
〈営業を自粛しないパチンコ店に足を運ぶ人の多さを見ると自分もかつてそうなっていただろうと感じる〉〈パチンコ店の映像が出ると、依存症者の家族を思い胸が痛くなります〉。ギャンブル依存症問題を考える会(東京)が、回復者や家族に新型コロナの影響をアンケートした際の自由記述だ。
「パチンコ店に並ぶ人に眉をひそめる向きがあるかもしれないが、皆が支援や介入が必要な依存症者ではない」と精神保健福祉士の中元康雄さんは指摘する。神戸市内の心療内科クリニックで、2016年からギャンブル依存症の回復支援プログラムに取り組んでおり、さまざまな患者に接してきた。
▽精神疾患
ギャンブル依存症は、WHOが「病的賭博」という名称で精神疾患として認め、その後の研究で、アルコールや薬物の依存とメカニズムが似ている点が多いことが判明。依存症として位置づけられた。「パチンコや公営競技のような賭け事にのめり込むことにより日常や社会生活に支障が生じ、治療を必要とする状態」を指し、興奮を求め賭け金が増えていく▽負けたお金をギャンブルで取り返そうとする▽ギャンブルのことでうそをついたり借金したりする−といった症状がある。国の17年度調査では、過去に依存症の経験が疑われる人は推計320万人。外来患者数は14年度2019人から17年度は3499人に増えた。
回復支援プログラムは、心理療法の一つである認知行動療法を取り入れている。思考や行動の癖を把握し、自分の認知・行動パターンを整えていくことで、当事者が自信を持ち日常生活に戻ることを目的にしている。「ギャンブルをしたいという気持ちをゼロにするのではなく、そういった気持ちと悪戦苦闘しながら、代わりの楽しみをじっくり見つけてもらうことが目標」と中元さんは話す。
▽「自信がない」
懸念されているのが国の特別定額給付金(10万円)。考える会のアンケートでは「もし回復する前に支給されたら何に使うか」の問いに、7割がギャンブルと回答。中元さんも患者から「我慢できる自信がない」「スイッチが入ってしまう気がする」と打ち明けられた。「すべての人が思いとどまるような働きかけは難しいが、事前に家族で使い方を話し合い、ギャンブル以外の使い道を見いだしてほしい。仮に我慢できなくても自暴自棄にはならないで」と話す。
コロナ禍に伴う無観客レースや外出自粛呼びかけの中、公営ギャンブルにはネット投票でアクセスできる現状も、「家族が知らないうちにのめり込んでしまう恐れもある」(中元さん)という。「回復には周囲の支えが大切。パチンコ店のニュースを契機にこの疾患への理解が深まり、一般の人が依存症全体について議論できるようになってほしい」と話している。
※続きはソースからご覧ください
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202005/0013383142.shtml
2020/5/30 15:00神戸新聞NEXT