https://news.yahoo.co.jp/articles/e1376ec94307c98f7552d810f8b1e5d07e885b83
■ジュラ紀後期の”殺し屋”、環境に異変? 多数の骨に噛み跡
ある場所で発掘された1億5000万年前の化石を調べてみたところ、少なくとも1種の大型恐竜が、共食いを始めるほど切迫した状況に追い込まれていたことが示唆された。
米コロラド州にあるマイガット・ムーア発掘地で、1981年以降に発掘された化石2368個のうち、なんと29%に噛み跡が付いていたという。
これは、他の同様の発掘場所で通常見つかる割合より6倍も多い。
なかには、この発掘現場で最も多い肉食恐竜であるアロサウルスが、同じアロサウルスをかじったとみられる証拠も残されていた。
論文は5月27日付けで学術誌「PLOS ONE」に発表された。
恐竜が共食いをしていたとしても、必ずしも驚くことではない。
ワニなどの多くの大型の捕食者が、特定の状況下では共食いをする。
「コモドオオトカゲもクマもライオンも、現生の主な捕食者はみな共食いをします」
と米ユタ州ソルトレイクシティーにあるユタ自然史博物館の古生物学者マーク・ローウェン氏は話す。
「肉食動物は、動物の死骸があれば食べるのです」
珍しいのは、化石から共食いの証拠が見つかることだと、論文の筆頭著者である米テネシー大学ノックスビル校の古生物学者ステファニー・ドラムヘラー氏は言う。
「共食いの確かな証拠は、他の数種の獣脚類でしか見つかっていないのです」。
このようなぞっとする出来事がいつ、どこで起きていたのかを知ることで、先史時代の環境についての重要な細部を明らかにできる。
「おそらく、この生態系に何らかの異常が起きていたのでしょう。そのため、ここにいた獣脚類は、見つけた栄養を片っ端から摂取しなければならず、
残された死骸を広範囲にあさっていたのです」とドラムヘラー氏は述べる。
研究チームの考えでは、この地にいた恐竜たちは、長期の干ばつで枯れかけた水場の周辺で死んだのかもしれないという。
死骸はその後、堆積物に埋もれたが、分解されるペースは遅かった。
「よく冗談で言うのですが、当時に戻ってそこを訪れることができたなら、きっとすさまじい臭いがしたはずです。なぜならあらゆる証拠が、
恐竜たちの死体や残骸が長期にわたって一面に広がっていたことを物語っているからです」とドラムヘラー氏は付け加える。
■噛み跡が伝える物語
マイガット・ムーア発掘地は、モリソン層という約1億5000万年前の広大な岩石層の一部だ。
この地層は米国屈指の恐竜の化石産地で、米国西部に広がっている。
モリソン層にある他の主要な恐竜発掘地では、骨に噛み跡が見つかる割合は大幅に少ない。
例えば、米ユタ州にあるクリーブランド・ロイド恐竜発掘地では、「2万個の骨のうち、実際に噛み跡が付いているのは5%を大きく下回ります」とローウェン氏は説明する。
氏はアロサウルスの新種に関する論文を今年1月に発表した。なお、今回の論文には関わっていない。
対照的に、マイガット・ムーアからは「数多く見つかっています」と同氏は話す。
「この研究の素晴らしい点は、骨に残る獣脚類の噛み跡をこれでもかというほど大量に見つけたことです。つまり、死体は地表にあって、食いあされる状態だったということです」
噛み跡の付いた骨の化石は684個あり、大半は竜脚類と呼ばれる首の長い草食恐竜のものだった。
だが83個は、全ての肉食恐竜を含む獣脚類というグループだった。
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