新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相が4月7日に日本初の緊急事態宣言を発令した。様子見をする建設会社が多いなか、清水建設は対象区域の7都府県で稼働中の現場を原則閉所する決断を下した。
清水建設は4月13日、東京都内の同じ建設現場に勤務する社員3人が新型コロナウイルスに感染し、1人が死亡したと発表した。亡くなった社員は感染の有無を調べるPCR検査を受けて自宅待機していたところ、容体が急変したという〔写真1〕。
〔写真1〕清水建設の現場の社員が死亡した
清水建設の現場では、感染した3人の社員のうち1人が死亡した。写真はイメージで、感染者が発生した現場とは無関係。同社は緊急事態宣言の対象エリア内で稼働する全現場を、原則閉所すると発表した(写真:日経アーキテクチュア)
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同社はこうした事態を受けて、「緊急事態宣言」の対象区域内にある全現場を、期間終了の5月6日まで原則として閉所する方針だ。ただし、「病院など、社会的な要請でどうしても進めなければならない工事は継続していく」(同社報道グループ)
発令直後は「続行」が多数派
緊急事態宣言の発令直後、主要な建設会社の多くは工事を続行する考えを示していた。「現場での感染は心配だ。ただ、我々が工事を止めたいと言っても、お客が認めてくれないことには」。発令の半日前、ある準大手建設会社の幹部は、発令後も工事を継続せざるを得ないという複雑な胸の内を明かしている。
なぜ、工事を止められないのか。緊急事態宣言の根拠法である新型インフルエンザ等対策特別措置法では、知事が施設の使用制限を要請できるものの、建設現場は対象外。工事中断の判断は発注者に委ねられているのだ。緊急事態宣言という言葉のものものしさと裏腹に、発令から一夜明けた4月8日、都内の現場の大半は通常通り稼働していた。
同日、複数の建設会社が緊急事態宣言への対応を発表。大林組は朝礼の分散といった感染防止策を講じつつ「原則として工事を継続する」と表明した。大成建設は「発注者から要請を受けた場合、一時中止などの対応を個別に協議する」とした。鹿島も自ら積極的に一時中止を申し出る考えがないことを明らかにした。
そんな中、一歩踏み込んだのが西松建設だった。同社は8日、「施工中の現場について、発注者と協議のうえ、工事中止・現場閉所することを基本方針とする」と表明した。対象は全工事。発注者に申し出て、相手が拒まなければ工事を中断するとした。
国内の感染者が急増するなか、西松建設に加えてスーパーゼネコンの清水建設が工事中断の方針を打ち出したことで、他の建設会社も対応の再考を迫られそうだ。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00005/041700057/
清水建設は4月13日、東京都内の同じ建設現場に勤務する社員3人が新型コロナウイルスに感染し、1人が死亡したと発表した。亡くなった社員は感染の有無を調べるPCR検査を受けて自宅待機していたところ、容体が急変したという〔写真1〕。
〔写真1〕清水建設の現場の社員が死亡した
清水建設の現場では、感染した3人の社員のうち1人が死亡した。写真はイメージで、感染者が発生した現場とは無関係。同社は緊急事態宣言の対象エリア内で稼働する全現場を、原則閉所すると発表した(写真:日経アーキテクチュア)
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同社はこうした事態を受けて、「緊急事態宣言」の対象区域内にある全現場を、期間終了の5月6日まで原則として閉所する方針だ。ただし、「病院など、社会的な要請でどうしても進めなければならない工事は継続していく」(同社報道グループ)
発令直後は「続行」が多数派
緊急事態宣言の発令直後、主要な建設会社の多くは工事を続行する考えを示していた。「現場での感染は心配だ。ただ、我々が工事を止めたいと言っても、お客が認めてくれないことには」。発令の半日前、ある準大手建設会社の幹部は、発令後も工事を継続せざるを得ないという複雑な胸の内を明かしている。
なぜ、工事を止められないのか。緊急事態宣言の根拠法である新型インフルエンザ等対策特別措置法では、知事が施設の使用制限を要請できるものの、建設現場は対象外。工事中断の判断は発注者に委ねられているのだ。緊急事態宣言という言葉のものものしさと裏腹に、発令から一夜明けた4月8日、都内の現場の大半は通常通り稼働していた。
同日、複数の建設会社が緊急事態宣言への対応を発表。大林組は朝礼の分散といった感染防止策を講じつつ「原則として工事を継続する」と表明した。大成建設は「発注者から要請を受けた場合、一時中止などの対応を個別に協議する」とした。鹿島も自ら積極的に一時中止を申し出る考えがないことを明らかにした。
そんな中、一歩踏み込んだのが西松建設だった。同社は8日、「施工中の現場について、発注者と協議のうえ、工事中止・現場閉所することを基本方針とする」と表明した。対象は全工事。発注者に申し出て、相手が拒まなければ工事を中断するとした。
国内の感染者が急増するなか、西松建設に加えてスーパーゼネコンの清水建設が工事中断の方針を打ち出したことで、他の建設会社も対応の再考を迫られそうだ。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00005/041700057/