パンデミックから生まれた争い
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、国をまたいだ「小競り合い」も生んでいる。
争いの種となっているのは、いま米中間で話題になっている「新型コロナは武漢ウィルス研究所から流出したものだ」とする説だ。
カタールのケーブル局「アルジャジーラ」はこう報じている。
「タイ人モデルがSNSにアップした新型コロナウイルス関連のコメントについて、中国人国家主義者のサイバー兵たちが怒りをあらわにしている。そんなサイバー兵たちに対して、周辺地域の民主活動家らが団結して対抗するキャンペーンをおこなっている」
「タイを中心とする東南アジアのネチズンたちとともに、台湾人や香港人も新型コロナウイルスの発生に煽られたこの小競り合いに参入している。これは、中国と近隣の小さな国々との、過去の緊張関係を彷彿とさせる」
そして記事は、タイの大学教授のこんなコメントを紹介している。
「これは、タイ人が参加した史上初めての国境を超えた地政学的なツイッター戦争である」
いったい何が起きたのか。香港のニュースサイト「アジア・タイムズ」は、ことの発端をこう報じている。
「インターネットで活動するタイのモデル『Nnevvy』ことWeeraya Sukaraが、新型コロナウイルスが中国の研究所に起源があるかもしれず、それを暴露しようとした人や、調査した人たちが中国政府によって口封じされたと示唆するポストをリツートした」
ツイートは200万回リツイートされたが、これに中国のネチズンが激怒。
「中国人ネチズンらはこの主張に悪意を持って反撃し、その後、このモデルがインスタで台湾を中国の一部であると表現しなかった過去が掘り返されたことでネチズンからさらに激しい抗議を受けた」
米TV「CNN」によると、中国人ネチズンの怒りはその後、「Nnevvy」の彼氏であるタイ人スターに向かったという。彼がタイ人モデルのポストに「いいね」し、さらに香港を国と表現していたとして、中国のネチズンたちが彼氏の出演するテレビなどをボイコットする運動を開始した。
すると、台湾人や香港人がタイ人モデル側に加勢。
「香港の元国会議員であるネイサン・ローは、こう指摘している。『中国共産党のオンライン兵たちが(タイ人モデルの彼氏であるスターの)ブライトをネット上で攻撃する姿は滑稽だ』」
「さらに『やつらは、タイ人が彼ら(中国)に親しみを感じていると思っていたり、エンペラー習近平のことも好意的に思っているはずだと考えているのかもしれない。しかし残念ながら、ブライトのファンは若く進歩主義であることを、彼らは理解していない(だから中国共産党を快く思っていない)。共産党の兵隊たちはいつも頓珍漢な攻撃をする』と続ける」
中国の政府系日刊紙「グローバル・タイムズ」は、このボイコット運動で「(中国版ツイッターと言われるマイクロブログの)ウェイボーで144万件以上に及ぶ関連ポストと、46億以上のビューを記録した」と報じている。
とにかく、中国共産党と周辺地域の国々が、オンライン上で激しく争っている。そして英「ロイター通信社」いわく、タイと台湾、香港によるこのSNSの対中運動は「彼らの共通点は甘いミルクを飲むことだということで、この連携が『ミルクティー同盟』と呼ばれるようになっている」という。
ちなみに筆者の取材では、新型コロナウイルスが騒がれはじめて間もなく、米情報関係者は「人民解放軍が関与する武漢ウイルス研究所は最初に感染が広がった地域にある」と、ウイルス研究所が新型コロナウイルスの発生源あるかのように示唆し、少なくとも米国はその「方向」でメディアなどに情報を提供していると述べていた。真偽はともあれ、中国の評判をおとしめる意思がちらついている。
前出の「アルジャジーラ」は、「タイのネットユーザーらは中国を独裁国家と嘲笑い、習近平・国家主席を『クマのプーさん』になぞらえた。中国では習近平をプーさんと比較するのは禁じられている」と書く。これでは中国側の怒りはなかなかおさまらないだろう。
もっとも、そんな小競り合いしている場合ではないのだが。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200419-00000003-courrier-int
4/19(日) 15:00配信
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、国をまたいだ「小競り合い」も生んでいる。
争いの種となっているのは、いま米中間で話題になっている「新型コロナは武漢ウィルス研究所から流出したものだ」とする説だ。
カタールのケーブル局「アルジャジーラ」はこう報じている。
「タイ人モデルがSNSにアップした新型コロナウイルス関連のコメントについて、中国人国家主義者のサイバー兵たちが怒りをあらわにしている。そんなサイバー兵たちに対して、周辺地域の民主活動家らが団結して対抗するキャンペーンをおこなっている」
「タイを中心とする東南アジアのネチズンたちとともに、台湾人や香港人も新型コロナウイルスの発生に煽られたこの小競り合いに参入している。これは、中国と近隣の小さな国々との、過去の緊張関係を彷彿とさせる」
そして記事は、タイの大学教授のこんなコメントを紹介している。
「これは、タイ人が参加した史上初めての国境を超えた地政学的なツイッター戦争である」
いったい何が起きたのか。香港のニュースサイト「アジア・タイムズ」は、ことの発端をこう報じている。
「インターネットで活動するタイのモデル『Nnevvy』ことWeeraya Sukaraが、新型コロナウイルスが中国の研究所に起源があるかもしれず、それを暴露しようとした人や、調査した人たちが中国政府によって口封じされたと示唆するポストをリツートした」
ツイートは200万回リツイートされたが、これに中国のネチズンが激怒。
「中国人ネチズンらはこの主張に悪意を持って反撃し、その後、このモデルがインスタで台湾を中国の一部であると表現しなかった過去が掘り返されたことでネチズンからさらに激しい抗議を受けた」
米TV「CNN」によると、中国人ネチズンの怒りはその後、「Nnevvy」の彼氏であるタイ人スターに向かったという。彼がタイ人モデルのポストに「いいね」し、さらに香港を国と表現していたとして、中国のネチズンたちが彼氏の出演するテレビなどをボイコットする運動を開始した。
すると、台湾人や香港人がタイ人モデル側に加勢。
「香港の元国会議員であるネイサン・ローは、こう指摘している。『中国共産党のオンライン兵たちが(タイ人モデルの彼氏であるスターの)ブライトをネット上で攻撃する姿は滑稽だ』」
「さらに『やつらは、タイ人が彼ら(中国)に親しみを感じていると思っていたり、エンペラー習近平のことも好意的に思っているはずだと考えているのかもしれない。しかし残念ながら、ブライトのファンは若く進歩主義であることを、彼らは理解していない(だから中国共産党を快く思っていない)。共産党の兵隊たちはいつも頓珍漢な攻撃をする』と続ける」
中国の政府系日刊紙「グローバル・タイムズ」は、このボイコット運動で「(中国版ツイッターと言われるマイクロブログの)ウェイボーで144万件以上に及ぶ関連ポストと、46億以上のビューを記録した」と報じている。
とにかく、中国共産党と周辺地域の国々が、オンライン上で激しく争っている。そして英「ロイター通信社」いわく、タイと台湾、香港によるこのSNSの対中運動は「彼らの共通点は甘いミルクを飲むことだということで、この連携が『ミルクティー同盟』と呼ばれるようになっている」という。
ちなみに筆者の取材では、新型コロナウイルスが騒がれはじめて間もなく、米情報関係者は「人民解放軍が関与する武漢ウイルス研究所は最初に感染が広がった地域にある」と、ウイルス研究所が新型コロナウイルスの発生源あるかのように示唆し、少なくとも米国はその「方向」でメディアなどに情報を提供していると述べていた。真偽はともあれ、中国の評判をおとしめる意思がちらついている。
前出の「アルジャジーラ」は、「タイのネットユーザーらは中国を独裁国家と嘲笑い、習近平・国家主席を『クマのプーさん』になぞらえた。中国では習近平をプーさんと比較するのは禁じられている」と書く。これでは中国側の怒りはなかなかおさまらないだろう。
もっとも、そんな小競り合いしている場合ではないのだが。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200419-00000003-courrier-int
4/19(日) 15:00配信