https://wired.jp/2020/04/09/covid-19-emergency-rooms/
※リンク先に動画あり
新型コロナウイルスの感染症「COVID-19」に感染した患者が、いま世界中で急増している。
人工呼吸器が必要なほど容態が悪化した患者が増えるなか、医療の現場はどう対処しているのか。
スタンフォード大学の感染症の専門家であるシーマ・ヤスミン博士が、救急救命室(ER)の医師に訊いた。
新型コロナウイルスは、米国の救急救命室(ER)に大挙して降り立った。
疫学者が警告したうねりが始まろうとしており、一部地域の病院は新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の重症患者に圧倒されている。
いま、そのうねりが全米のERの医師と看護師にも襲いかかっている。
そして現場の医療従事者たちは、マスクや手袋といった防護具の確保にも悩まされているのだ。
「米国は医療に関して世界有数の資源に恵まれた国だと思います。それでもパニックが広がると、通常の物資でも瞬く間に不足しうることがわかります」
と、患者の急増に備えているヒューストンのベイラー医科大学ERの医師、セドリック・ダークは語る。
「ヒューストンだけでなく、全国の病院でわたしたちが取り組んでいる試みがもうひとつあります。それは、1つの人工呼吸器を2人以上の患者に使う方法を模索することです」
と、ダークは言う。
今回の脅威に対する連邦政府の備えが余りに中途半端だったせいもあり、現時点では極めて限られた数の人工呼吸器しか行き渡っていない。
この新型コロナウイルスがこれほどまでに危険な理由は、肺を冒すからだ。
肺は通常、空気で酸素を交換する乾いたスポンジのように働く。
ところが、新型コロナウイルスに感染した患者の肺には液体がたまり始め、ダークのような救急救命医はその液体をレントゲンで白い雲のように見ることができる。
液体は酸素の交換を阻害し、患者は呼吸困難に陥る。
症状が軽度であれば、医師は鼻から吸い込むことのできる酸素を患者に与えることがある。
「肺が十分な酸素を取り込めない呼吸不全という状態に患者が陥ると、人工呼吸器につながねばならなくなります」と、ダークは言う。
人工呼吸器があまりにも不足していることから、ダークをはじめとする救急救命医は1つの人工呼吸器に2人、4人、あるいは8人もの患者をつなぐ方法を編み出そうとしている。
この問題に取り組んでもらいたい人がいるとすれば、それは米国のERで戦ってきた経験豊富な医師と看護師たちだろう。
「医学の世界では、わたしたちは恐らく世界滅亡に備える“プレッパー”でしょうね」と、ダークは言う。
「それでも倫理的な決定を下すことに関しては準備ができていません。現場が飽和状態に達したとき、誰を生かし、誰を死なせるべきなのか。
その決定を下す準備は、わたしたちにはできていないのです」。
つまり、通常なら戦争のように大勢の負傷者が出る場合に考慮されるトリアージのことだ。
こうした医療現場の現在について、『WIRED』US版はダークに詳しく聞いた。
主なトピックは、ダークのような救急救命医たちが今回のパンデミックにどう対処しているのか、ERでは何が行われているのかといったことである。
そして、わたしたちはどのようなかたちで手助けできるのかも聞いている。
例えば、マスクをため込まない、マスクを寄付する、感染して病院に助けを求めざるを得なくなる人が減るように家にこもって「曲線を平らにする」ために
自分ができることをする──といったことだ。
※リンク先に動画あり
新型コロナウイルスの感染症「COVID-19」に感染した患者が、いま世界中で急増している。
人工呼吸器が必要なほど容態が悪化した患者が増えるなか、医療の現場はどう対処しているのか。
スタンフォード大学の感染症の専門家であるシーマ・ヤスミン博士が、救急救命室(ER)の医師に訊いた。
新型コロナウイルスは、米国の救急救命室(ER)に大挙して降り立った。
疫学者が警告したうねりが始まろうとしており、一部地域の病院は新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の重症患者に圧倒されている。
いま、そのうねりが全米のERの医師と看護師にも襲いかかっている。
そして現場の医療従事者たちは、マスクや手袋といった防護具の確保にも悩まされているのだ。
「米国は医療に関して世界有数の資源に恵まれた国だと思います。それでもパニックが広がると、通常の物資でも瞬く間に不足しうることがわかります」
と、患者の急増に備えているヒューストンのベイラー医科大学ERの医師、セドリック・ダークは語る。
「ヒューストンだけでなく、全国の病院でわたしたちが取り組んでいる試みがもうひとつあります。それは、1つの人工呼吸器を2人以上の患者に使う方法を模索することです」
と、ダークは言う。
今回の脅威に対する連邦政府の備えが余りに中途半端だったせいもあり、現時点では極めて限られた数の人工呼吸器しか行き渡っていない。
この新型コロナウイルスがこれほどまでに危険な理由は、肺を冒すからだ。
肺は通常、空気で酸素を交換する乾いたスポンジのように働く。
ところが、新型コロナウイルスに感染した患者の肺には液体がたまり始め、ダークのような救急救命医はその液体をレントゲンで白い雲のように見ることができる。
液体は酸素の交換を阻害し、患者は呼吸困難に陥る。
症状が軽度であれば、医師は鼻から吸い込むことのできる酸素を患者に与えることがある。
「肺が十分な酸素を取り込めない呼吸不全という状態に患者が陥ると、人工呼吸器につながねばならなくなります」と、ダークは言う。
人工呼吸器があまりにも不足していることから、ダークをはじめとする救急救命医は1つの人工呼吸器に2人、4人、あるいは8人もの患者をつなぐ方法を編み出そうとしている。
この問題に取り組んでもらいたい人がいるとすれば、それは米国のERで戦ってきた経験豊富な医師と看護師たちだろう。
「医学の世界では、わたしたちは恐らく世界滅亡に備える“プレッパー”でしょうね」と、ダークは言う。
「それでも倫理的な決定を下すことに関しては準備ができていません。現場が飽和状態に達したとき、誰を生かし、誰を死なせるべきなのか。
その決定を下す準備は、わたしたちにはできていないのです」。
つまり、通常なら戦争のように大勢の負傷者が出る場合に考慮されるトリアージのことだ。
こうした医療現場の現在について、『WIRED』US版はダークに詳しく聞いた。
主なトピックは、ダークのような救急救命医たちが今回のパンデミックにどう対処しているのか、ERでは何が行われているのかといったことである。
そして、わたしたちはどのようなかたちで手助けできるのかも聞いている。
例えば、マスクをため込まない、マスクを寄付する、感染して病院に助けを求めざるを得なくなる人が減るように家にこもって「曲線を平らにする」ために
自分ができることをする──といったことだ。