▽イラクの動向に注目
WHOは2日、「中東地域で新型コロナウイルスの感染者が急増しており、封じ込めの機会が失われつつある」と警告を発したのが気になるところである。
中東地域で最も新型コロナウイルスが蔓延(まんえん)しているのはイランだが、米国の制裁により原油の輸出量は日量約30万バレル(輸出先はシリアと中国)に激減しており、世界の原油市場に与える影響は少ない。
筆者が注目するのは、OPEC第2位の原油生産国であり、日量約380万バレルの輸出量を誇るイラクである。4月2日付ロイターは「イラクの新型コロナウイルス感染者は公式発表をはるかに上回る規模で急拡大している」と報じた。これはイランとのつながりの深さが災いしている。イラクの医療システムは、数十年にわたる制裁や戦争などにより限界状態にある。
昨年10月には、アブドルマハディ首相が「国内の混乱を招いた」として辞任表明を行った。が、その後現在に至るまで後継政権が出来ず、無政府状態が続いている。財源の95%を原油販売代金に依存していることから、直近の原油価格急落でイラク政府の歳入は半減しており、「イラクは内戦勃発の瀬戸際にある」との懸念が強まっている(原油情勢に詳しいニュースサイトであるOILPRICEによる)。
イラクでは3月中旬、新型コロナウイルスのせいで南部の油田(日量約10万バレル)が操業停止に追い込まれた。国内の治安悪化もあいまって、今後原油生産量が大幅に減少する可能性が高まっているのである。
▽感染、イエメンから大油田地帯に波及か
OPEC第1位の原油生産国であるサウジアラビアも心配だ。東部の大油田地帯はシーア派住民がマジョリティーを占めていることから、イランとの往来が多く、一部地域は3月上旬から封鎖されている(原油の生産活動には支障は生じていないとされている)。
サウジアラビアがさらに警戒しなければならないのは、南部の国境を接しているイエメンでの新型コロナウイルスの感染拡大である。サウジアラビアが主導するアラブ連合軍が内戦に介入してから5年が経過したが、イエメンでは数万人が死亡し、コレラ流行など深刻な人道危機が起きている。
イエメンでは6日現在、新型コロナウイルスの感染は報告されていないが、国連は3月下旬「紛争をやめ、生命を守るための本当の戦いに注力すべきだ」と危機感をあらわにしている。
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるための手洗いは、今や日常的な光景となっている。しかし内戦で荒廃し清潔な水が非常に乏しいイエメンの数百万の人々にとっては、手が届かないぜいたくな行為である(3月26日付AFP)。
︎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
抜粋しています。
全文は下記よりご確認ください。
https://www.47news.jp/4694242.html
WHOは2日、「中東地域で新型コロナウイルスの感染者が急増しており、封じ込めの機会が失われつつある」と警告を発したのが気になるところである。
中東地域で最も新型コロナウイルスが蔓延(まんえん)しているのはイランだが、米国の制裁により原油の輸出量は日量約30万バレル(輸出先はシリアと中国)に激減しており、世界の原油市場に与える影響は少ない。
筆者が注目するのは、OPEC第2位の原油生産国であり、日量約380万バレルの輸出量を誇るイラクである。4月2日付ロイターは「イラクの新型コロナウイルス感染者は公式発表をはるかに上回る規模で急拡大している」と報じた。これはイランとのつながりの深さが災いしている。イラクの医療システムは、数十年にわたる制裁や戦争などにより限界状態にある。
昨年10月には、アブドルマハディ首相が「国内の混乱を招いた」として辞任表明を行った。が、その後現在に至るまで後継政権が出来ず、無政府状態が続いている。財源の95%を原油販売代金に依存していることから、直近の原油価格急落でイラク政府の歳入は半減しており、「イラクは内戦勃発の瀬戸際にある」との懸念が強まっている(原油情勢に詳しいニュースサイトであるOILPRICEによる)。
イラクでは3月中旬、新型コロナウイルスのせいで南部の油田(日量約10万バレル)が操業停止に追い込まれた。国内の治安悪化もあいまって、今後原油生産量が大幅に減少する可能性が高まっているのである。
▽感染、イエメンから大油田地帯に波及か
OPEC第1位の原油生産国であるサウジアラビアも心配だ。東部の大油田地帯はシーア派住民がマジョリティーを占めていることから、イランとの往来が多く、一部地域は3月上旬から封鎖されている(原油の生産活動には支障は生じていないとされている)。
サウジアラビアがさらに警戒しなければならないのは、南部の国境を接しているイエメンでの新型コロナウイルスの感染拡大である。サウジアラビアが主導するアラブ連合軍が内戦に介入してから5年が経過したが、イエメンでは数万人が死亡し、コレラ流行など深刻な人道危機が起きている。
イエメンでは6日現在、新型コロナウイルスの感染は報告されていないが、国連は3月下旬「紛争をやめ、生命を守るための本当の戦いに注力すべきだ」と危機感をあらわにしている。
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるための手洗いは、今や日常的な光景となっている。しかし内戦で荒廃し清潔な水が非常に乏しいイエメンの数百万の人々にとっては、手が届かないぜいたくな行為である(3月26日付AFP)。
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抜粋しています。
全文は下記よりご確認ください。
https://www.47news.jp/4694242.html