今、世界では複数の研究グループが下水の検査に着手し始めている。下水に含まれるウイルスから、その地域の感染者数を推測できると考えられるからだ。
オランダの研究チームは、ある都市の下水管を流れる排水から、新型コロナウイルスを検知した。ここはまだ、感染者が正式に確認されていない場所であり、下水の排水を調べることで、早期に感染拡大の兆候を発見することができるかもしれないという。
排水を調べることで潜在的な感染者数をあぶり出す
オランダ、KWR水循環研究所のヘルトヤン・メデマ氏によると、1ヶ所の下水処理場で、100万人以上から排出された汚水を処理しているという。
これだけの量の排水を調べれば、PCR検査よりも正確にある地域の感染症流行のレベルを把握できる可能性があるというのだ。
PCR検査では症状が軽度の患者や無症状の患者などを調べることは難しいが、下水検査なら潜在的な感染者全員をカバーできるからだ。
そのためには、感染者1人の便に含まれるウイルスのRNA量を把握し、下水に含まれるRNAの濃度からある人口における感染者の数を推定できるようにしなければならない。
またクイーンズランド環境健康科学連合(オーストラリア)の研究者は、低レベルのウイルス濃度でも検出できるよう感度を上げることや、下水検査のせいでPCR検査を担う人員や物資が奪われないようにすることも重要だと指摘する。
定期的な検査で流行の芽を早期に察知
社会的距離戦略(ソーシャル・ディスタンス)や都市封鎖(ロックダウン)のような感染抑止策は、ウイルスの感染拡大を抑えるだろうが、どこかの時点で止めてしまえば、再び感染に勢いがつく恐れがある。
そこで、下水検査を定期的に行うことで、新型コロナの流行を匂わせる初期の兆候を察知できると、オランダ国立公衆衛生環境研究所のアナ・マリア・デ・ロダ・ハスマン氏は話す。
同研究所は、これまで下水検査でノロウイルス、薬剤耐性菌、ポリオウイルス、はしかウイルスを検出してきたが、新型コロナでもその有効性を確認済みだ。
たとえば、デ・ロダ・ハスマン氏は、オランダで新型コロナ感染症が初めて確認されたわずか4日後には、空港の下水からウイルスの痕跡を検出することに成功している。さらにメデマ氏も、国内の某都市で感染者が報告されるよりも先に、下水からウイルスのRNAを検出した。
便には病気が発症するよりも早くウイルスが含まれるようになる
いくつかの研究は、新型コロナが感染から3日以内に便内に排泄されることを明らかにしている。感染者が体調を崩し、診察を受けるようになるまで、長ければ2週間はかかる。それよりずっと早いのだと、チューリッヒ工科大学(スイス)のタマル・コーン氏は話す。
下水に漂うウイルス物質を追跡すれば、公衆衛生当局は、これまでより早い段階で封鎖措置などを実施するか否か判断できるようになるだろう。7〜10日という期間は、アウトブレイクの深刻さを大きく左右するだけの時間だ。
現在、デ・ロダ・ハスマン氏のグループは、オランダ国内12県の県庁所在地とまだ感染者が確認されていない12地域での下水検査を予定しているそうだ。
http://karapaia.com/archives/52289638.html
オランダの研究チームは、ある都市の下水管を流れる排水から、新型コロナウイルスを検知した。ここはまだ、感染者が正式に確認されていない場所であり、下水の排水を調べることで、早期に感染拡大の兆候を発見することができるかもしれないという。
排水を調べることで潜在的な感染者数をあぶり出す
オランダ、KWR水循環研究所のヘルトヤン・メデマ氏によると、1ヶ所の下水処理場で、100万人以上から排出された汚水を処理しているという。
これだけの量の排水を調べれば、PCR検査よりも正確にある地域の感染症流行のレベルを把握できる可能性があるというのだ。
PCR検査では症状が軽度の患者や無症状の患者などを調べることは難しいが、下水検査なら潜在的な感染者全員をカバーできるからだ。
そのためには、感染者1人の便に含まれるウイルスのRNA量を把握し、下水に含まれるRNAの濃度からある人口における感染者の数を推定できるようにしなければならない。
またクイーンズランド環境健康科学連合(オーストラリア)の研究者は、低レベルのウイルス濃度でも検出できるよう感度を上げることや、下水検査のせいでPCR検査を担う人員や物資が奪われないようにすることも重要だと指摘する。
定期的な検査で流行の芽を早期に察知
社会的距離戦略(ソーシャル・ディスタンス)や都市封鎖(ロックダウン)のような感染抑止策は、ウイルスの感染拡大を抑えるだろうが、どこかの時点で止めてしまえば、再び感染に勢いがつく恐れがある。
そこで、下水検査を定期的に行うことで、新型コロナの流行を匂わせる初期の兆候を察知できると、オランダ国立公衆衛生環境研究所のアナ・マリア・デ・ロダ・ハスマン氏は話す。
同研究所は、これまで下水検査でノロウイルス、薬剤耐性菌、ポリオウイルス、はしかウイルスを検出してきたが、新型コロナでもその有効性を確認済みだ。
たとえば、デ・ロダ・ハスマン氏は、オランダで新型コロナ感染症が初めて確認されたわずか4日後には、空港の下水からウイルスの痕跡を検出することに成功している。さらにメデマ氏も、国内の某都市で感染者が報告されるよりも先に、下水からウイルスのRNAを検出した。
便には病気が発症するよりも早くウイルスが含まれるようになる
いくつかの研究は、新型コロナが感染から3日以内に便内に排泄されることを明らかにしている。感染者が体調を崩し、診察を受けるようになるまで、長ければ2週間はかかる。それよりずっと早いのだと、チューリッヒ工科大学(スイス)のタマル・コーン氏は話す。
下水に漂うウイルス物質を追跡すれば、公衆衛生当局は、これまでより早い段階で封鎖措置などを実施するか否か判断できるようになるだろう。7〜10日という期間は、アウトブレイクの深刻さを大きく左右するだけの時間だ。
現在、デ・ロダ・ハスマン氏のグループは、オランダ国内12県の県庁所在地とまだ感染者が確認されていない12地域での下水検査を予定しているそうだ。
http://karapaia.com/archives/52289638.html