僅か2週間で失業者数がリーマンショックを上回る
スペインの失業率は相対的に高い。10%を常に上回っている。1990年からの統計だと失業率が一番低かったのは2006年の8.3%である。それは住宅建設ブームがたけなわの時であった。それが崩壊して失業率がピークに達したのは2012年の25.8%であった。その後、緊縮策の実施などで昨年は13.8%まで下がった。
ところが、コロナウイルス感染拡大で失業率はこれまで最高だった2012年にまで戻る可能性が生まれている。4月3日付のスペイン電子紙『El Confidencial』は、スペインで10社の内の4社は赤字経営だと報じた。
というのも、3月から始まったコロナ感染拡大で同月12日からスペインは封鎖状態にあり、大半の企業が生産・営業を停止しているからだ。企業に売り上げがない状態が続いている。唯一、生産・販売が実施されているのは食料品店、薬局、キオスクとそれに関係した生産業者である。生産業者でも例えば自動車メーカーも生産を停止している。
そんな中、4月2日に3月の失業者の詳細を政府が発表した。それによると、3月中旬から月末までの2週間で解雇された就業者の数はリーマン・ブラザーズショックによる100日間に解雇された人を上回ったという結果が出たのである。(参照:「El Diario」)
更に、事態が深刻なのは、3月に解雇された人の数に一時解雇者を含めるとその数は145万人に達するというのである。事態が如何に深刻かというと、昨年の失業者の数はおよそ300万人であった。ということは、3月だけで失業者と一時解雇者を合わせた人の数が昨年の失業者の半分を占めているということになるのである。
一時解雇者には収入保証もあり失業者には当たらないが……
ここで一つ説明が必要である。一時解雇者(レイオフ)というのは政府は失業者の中に含んでいない。というのは、雇用している会社で景気が回復した時に彼らは職場に復帰する人たちだからである。それを労働組合の弁護士が前歴であるヨランダ・ディアス労働相は記者会見で強調した。尚、このテレビ会見ではコロナ感染防止ということから記者は不在で質問を送って大臣からの回答をテレビを通して貰うという形式になっていた。
そして、今回のコロナ対策の経済政策で、勤務していない期間は政府が会社に代わって彼らに給与の7割を最高6か月間支給するということになっている。ちなみに、残りの3割を会社側が支払うと約束した企業もある。これは特に資金的に余裕のある一部大手企業が実施する傾向にある。また、それに伴う社会保障費は会社側が2割5分負担する。50人以下の会社の場合はその負担はなしとなっている。
ということから、一時解雇者は失業者ではないと政府は指摘しているわけだ。しかし、会社が不況に持ちこたえることが出来ず倒産、あるはまだ景気は回復していないから職場への復帰を望まないとなった場合は彼らは失業者となる可能性が十分にある。それを一時解雇者が非常に懸念している。
この半年間が勝負
ちなみに、政府が失業者と見なす一番目安にしているのが社会保障費負担の契約解除者の数である。スペイン職安システムの場合、失業届けを出す人の中には初めて職を探そうとしている人も加えられているからである。
2日に発表された3月の社会保障費の契約解除者の数は83万3979人と発表された。それに一時解雇者がおよそ62万人と指摘された。一時解雇者の最終の集計がまだ7つの自治州で行われていないということで、この数はさらに増えるはずだ。
失業者が一番多い業界は建設業と観光業だという。スペインがバルブ景気の時も同じくこの二つの業界で雇用が急増していた。(参照:「Libre Mercado」、「El COnfidencial」)
もし一時解雇者という枠を政府が設けていなかった場合は、この62万人も失業者となっていたはずだ。ただ、前述したように半年先に会社側が彼らの職場への復帰を望まない場合は彼らは自動的に失業者となってしまう危険性がある。つまり、コロナ禍の終息も見えてこない中で、この半年間の景気の動向に依存することになる。
廃業を申請した自営業者も多数
全文はソース元で
4/8(水) 15:33配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200408-00216402-hbolz-int
スペインの失業率は相対的に高い。10%を常に上回っている。1990年からの統計だと失業率が一番低かったのは2006年の8.3%である。それは住宅建設ブームがたけなわの時であった。それが崩壊して失業率がピークに達したのは2012年の25.8%であった。その後、緊縮策の実施などで昨年は13.8%まで下がった。
ところが、コロナウイルス感染拡大で失業率はこれまで最高だった2012年にまで戻る可能性が生まれている。4月3日付のスペイン電子紙『El Confidencial』は、スペインで10社の内の4社は赤字経営だと報じた。
というのも、3月から始まったコロナ感染拡大で同月12日からスペインは封鎖状態にあり、大半の企業が生産・営業を停止しているからだ。企業に売り上げがない状態が続いている。唯一、生産・販売が実施されているのは食料品店、薬局、キオスクとそれに関係した生産業者である。生産業者でも例えば自動車メーカーも生産を停止している。
そんな中、4月2日に3月の失業者の詳細を政府が発表した。それによると、3月中旬から月末までの2週間で解雇された就業者の数はリーマン・ブラザーズショックによる100日間に解雇された人を上回ったという結果が出たのである。(参照:「El Diario」)
更に、事態が深刻なのは、3月に解雇された人の数に一時解雇者を含めるとその数は145万人に達するというのである。事態が如何に深刻かというと、昨年の失業者の数はおよそ300万人であった。ということは、3月だけで失業者と一時解雇者を合わせた人の数が昨年の失業者の半分を占めているということになるのである。
一時解雇者には収入保証もあり失業者には当たらないが……
ここで一つ説明が必要である。一時解雇者(レイオフ)というのは政府は失業者の中に含んでいない。というのは、雇用している会社で景気が回復した時に彼らは職場に復帰する人たちだからである。それを労働組合の弁護士が前歴であるヨランダ・ディアス労働相は記者会見で強調した。尚、このテレビ会見ではコロナ感染防止ということから記者は不在で質問を送って大臣からの回答をテレビを通して貰うという形式になっていた。
そして、今回のコロナ対策の経済政策で、勤務していない期間は政府が会社に代わって彼らに給与の7割を最高6か月間支給するということになっている。ちなみに、残りの3割を会社側が支払うと約束した企業もある。これは特に資金的に余裕のある一部大手企業が実施する傾向にある。また、それに伴う社会保障費は会社側が2割5分負担する。50人以下の会社の場合はその負担はなしとなっている。
ということから、一時解雇者は失業者ではないと政府は指摘しているわけだ。しかし、会社が不況に持ちこたえることが出来ず倒産、あるはまだ景気は回復していないから職場への復帰を望まないとなった場合は彼らは失業者となる可能性が十分にある。それを一時解雇者が非常に懸念している。
この半年間が勝負
ちなみに、政府が失業者と見なす一番目安にしているのが社会保障費負担の契約解除者の数である。スペイン職安システムの場合、失業届けを出す人の中には初めて職を探そうとしている人も加えられているからである。
2日に発表された3月の社会保障費の契約解除者の数は83万3979人と発表された。それに一時解雇者がおよそ62万人と指摘された。一時解雇者の最終の集計がまだ7つの自治州で行われていないということで、この数はさらに増えるはずだ。
失業者が一番多い業界は建設業と観光業だという。スペインがバルブ景気の時も同じくこの二つの業界で雇用が急増していた。(参照:「Libre Mercado」、「El COnfidencial」)
もし一時解雇者という枠を政府が設けていなかった場合は、この62万人も失業者となっていたはずだ。ただ、前述したように半年先に会社側が彼らの職場への復帰を望まない場合は彼らは自動的に失業者となってしまう危険性がある。つまり、コロナ禍の終息も見えてこない中で、この半年間の景気の動向に依存することになる。
廃業を申請した自営業者も多数
全文はソース元で
4/8(水) 15:33配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200408-00216402-hbolz-int