「なんとかのカバン」「とんでもなくクリスタル」これって何の本?
https://www.sankei.com/west/news/200206/wst2002060001-n1.html
産經新聞 2020.2.6 13:00
「男の子の名前で『なんとかのカバン』」という題名の本は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」−。
福井県立図書館(福井市)が、利用者から寄せられた、本のタイトルや作者名の覚え違いをまとめて「覚え違いタイトル集」としてホームページ上に公開している。
なぜこんなリストを作成し、公開しているのだろうか。それは笑いだけを狙ったものではなく、大まじめな理由があった。
§ラムネかサイダーみたいな名前の作家
「家康家を建てる」は門井慶喜の歴史小説「家康、江戸を建てる」
「村上春樹のとんでもなくクリスタル」は村上龍の「限りなく透明に近いブルー」
「ラムネかサイダーみたいな名前の新人作家」は「清涼院(せいりょういん)流水(りゅうすい)」
「あおむしさん!!」は絵本の「はらぺこあおむし」
「覚え違いタイトル集」には、こうした覚え違いが680例以上も並んでいる。同図書館が平成19年から、利用者から寄せられた本の問い合わせを、HP上にまとめてきたものだ。
ツイッターで紹介されて注目され、リスト内から「お気に入りの間違い」を見つけるなどの楽しみ方で拡散された。
§レファレンスサービス
ではなぜ、このようなリストを公開しているのか。担当として3代目になる司書の吉川千鶴さんは
「どこの図書館でも提供しているレファレンスサービスを知ってもらうため」と説明する。
レファレンスという英語は参照や照会という意味。司書に問い合わせて本を探してもらうサービスだ。
初代の担当者が、同図書館のHPに面白さ、楽しみを持たせ注目してもらうことで、レファレンスサービスを知ってもらうきっかけにしようと、リスト化を企画したという。
一般的な図書館では、設置された端末で作者名やキーワードからデータベースを検索して本を探すことができる。
しかしタイトルがあいまいだったり、内容しか覚えていなかったりすると、お目当ての本を見つけ出すことは難しい。そんな際には、司書を頼ってほしいということだ。
§経験と知識をフル動員
実際に司書は、あいまいな内容しか伝えられていないのに、目的の本を探し出している。
例えば、「おじいさんが死んで、表と裏の日記があって、ヨーロッパやエジプトを旅する本」だと、宮本輝さんの小説「オレンジの壺(つぼ)」を紹介していた。
「赤い本」という問い合わせには、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」が提供された。この本は、法律専門家向けに賠償額の基準や判例をまとめた専門書で、通称「赤い本」と呼ばれているのだ。
HPで公開している覚え違いの数々も、司書が書名を「解読」し、本を提供している。
同図書館の場合、蔵書は雑誌・新聞を除き、自由に利用できる開架棚だけで約30万冊、書庫に保管された本も含めれば約100万冊に及ぶ。
内容などが頭の中になければ、膨大な本から見つけるのは至難の業だ。吉川さんは
「担当の司書は経験と知識をフル動員して見つけ出している。図書館では気軽に相談してほしい」と話していた。
◆ レファレンスサービスが受けられる調査・相談カウンター。覚え違いタイトル集もここから生まれた=福井市の福井県立図書館
◆ユニークなものも多い「覚え違いタイトル集」
https://www.sankei.com/west/news/200206/wst2002060001-n1.html
産經新聞 2020.2.6 13:00
「男の子の名前で『なんとかのカバン』」という題名の本は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」−。
福井県立図書館(福井市)が、利用者から寄せられた、本のタイトルや作者名の覚え違いをまとめて「覚え違いタイトル集」としてホームページ上に公開している。
なぜこんなリストを作成し、公開しているのだろうか。それは笑いだけを狙ったものではなく、大まじめな理由があった。
§ラムネかサイダーみたいな名前の作家
「家康家を建てる」は門井慶喜の歴史小説「家康、江戸を建てる」
「村上春樹のとんでもなくクリスタル」は村上龍の「限りなく透明に近いブルー」
「ラムネかサイダーみたいな名前の新人作家」は「清涼院(せいりょういん)流水(りゅうすい)」
「あおむしさん!!」は絵本の「はらぺこあおむし」
「覚え違いタイトル集」には、こうした覚え違いが680例以上も並んでいる。同図書館が平成19年から、利用者から寄せられた本の問い合わせを、HP上にまとめてきたものだ。
ツイッターで紹介されて注目され、リスト内から「お気に入りの間違い」を見つけるなどの楽しみ方で拡散された。
§レファレンスサービス
ではなぜ、このようなリストを公開しているのか。担当として3代目になる司書の吉川千鶴さんは
「どこの図書館でも提供しているレファレンスサービスを知ってもらうため」と説明する。
レファレンスという英語は参照や照会という意味。司書に問い合わせて本を探してもらうサービスだ。
初代の担当者が、同図書館のHPに面白さ、楽しみを持たせ注目してもらうことで、レファレンスサービスを知ってもらうきっかけにしようと、リスト化を企画したという。
一般的な図書館では、設置された端末で作者名やキーワードからデータベースを検索して本を探すことができる。
しかしタイトルがあいまいだったり、内容しか覚えていなかったりすると、お目当ての本を見つけ出すことは難しい。そんな際には、司書を頼ってほしいということだ。
§経験と知識をフル動員
実際に司書は、あいまいな内容しか伝えられていないのに、目的の本を探し出している。
例えば、「おじいさんが死んで、表と裏の日記があって、ヨーロッパやエジプトを旅する本」だと、宮本輝さんの小説「オレンジの壺(つぼ)」を紹介していた。
「赤い本」という問い合わせには、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」が提供された。この本は、法律専門家向けに賠償額の基準や判例をまとめた専門書で、通称「赤い本」と呼ばれているのだ。
HPで公開している覚え違いの数々も、司書が書名を「解読」し、本を提供している。
同図書館の場合、蔵書は雑誌・新聞を除き、自由に利用できる開架棚だけで約30万冊、書庫に保管された本も含めれば約100万冊に及ぶ。
内容などが頭の中になければ、膨大な本から見つけるのは至難の業だ。吉川さんは
「担当の司書は経験と知識をフル動員して見つけ出している。図書館では気軽に相談してほしい」と話していた。
◆ レファレンスサービスが受けられる調査・相談カウンター。覚え違いタイトル集もここから生まれた=福井市の福井県立図書館
◆ユニークなものも多い「覚え違いタイトル集」