2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は17日、五輪の聖火リレーの詳細ルートを発表した。東日本大震災や熊本地震などの被災地は、復興の歩みを映すコースを採用。地域の特色を生かしたリレー方式を採る自治体もある。今月中にランナーへの採用通知が順次行われ、大会本番に向け、ムードが徐々に高まっていく。
聖火リレーは20年3月26日、福島県のサッカー施設、Jヴィレッジ(楢葉町、広野町)をスタート。11年にサッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で優勝した「なでしこジャパン」を最初のランナーに起用する。全国858市区町村を巡り、7月24日の開会式で国立競技場の聖火台にともされる。
3月26日に聖火リレーがある福島県浪江町はロボット開発の拠点を目指す福島ロボットテストフィールドをスタート。ゴールは世界最大規模の水素製造設備を備え、20年度中の実証運用を予定する福島水素エネルギー研究フィールドだ。
震災で同町には高さ15.5メートルの津波が襲った。津波による死者と行方不明者は180人以上にのぼり、原発事故で2万人を超える住民が避難生活を余儀なくされた。県担当者は「震災から前に進んだ今の姿を見てもらえるコースを選んだ」と説明する。
宮城県の聖火リレーは6月20日、気仙沼市から始まる。津波が襲い、多くの漁船が打ち上げられた気仙沼港沿いを走行ルートに選んだ。「ほとんどの市町村で沿岸地域のコースを走る」(県担当者)といい、津波被害を受けた漁港周辺などを組み入れた。
南三陸町では、復興に取り組む地元の飲食店や鮮魚店などでつくる「南三陸さんさん商店街」が到着地に。商店街の建物は、国立競技場のデザインをてがけた隈研吾氏が設計した。
南三陸町では震災による死者と行方不明者が800人を超え、町内の半分ほどの約3100戸が全壊した。震災後にかさ上げを進め、そこへ同商店街を建設した。
岩手県陸前高田市では震災の津波に耐えた奇跡の一本松を出発し、東日本大震災津波伝承館を通過する。県担当者は「復興への感謝と未来への決意を発信することがミッション」と「復興五輪」の意義を強調した。
熊本県では5月7日、16年の熊本地震で大きな被害を受けた益城町や南阿蘇村、熊本市などを聖火リレーが巡る。県内でのリレーの到着式のセレモニーは、復旧工事が進む熊本城で行われる。
地震で甚大な被害を受けた熊本城は9月に大天守の外観工事が完了。翌月の見学再開からの来場者数が10万人を超えた。来春には復旧工事を間近で見学できる「特別見学通路」も開通する。
熊本県によると、来春時点でも自宅の再建のメドが立たないことなどから約1400世帯の被災者が仮設住宅などでの仮住まいを強いられる見込みだ。担当者は「復興の歩みを発信するだけでなく、被災者を勇気づけられるように取り組みたい」と意気込む。
沖縄県の聖火リレーは5月2日、10月末に火災があった首里城(那覇市)の守礼門前からスタートする。県の担当者は「首里城は文化・歴史的に沖縄のシンボル。復興に向けて頑張っている姿を全世界に見せたい」と意気込む。
出発地点の守礼門前では、琉球芸能などを披露する出発イベントを行う予定。火災の影響で観光客の落ち込みが指摘される中、「多くの人が再び首里城に足を運ぶ機会となり、再建の機運が高まれば」(担当者)と期待を寄せている。
2019/12/17 14:24更新
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53444140X11C19A2CC1000/
聖火リレーは20年3月26日、福島県のサッカー施設、Jヴィレッジ(楢葉町、広野町)をスタート。11年にサッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で優勝した「なでしこジャパン」を最初のランナーに起用する。全国858市区町村を巡り、7月24日の開会式で国立競技場の聖火台にともされる。
3月26日に聖火リレーがある福島県浪江町はロボット開発の拠点を目指す福島ロボットテストフィールドをスタート。ゴールは世界最大規模の水素製造設備を備え、20年度中の実証運用を予定する福島水素エネルギー研究フィールドだ。
震災で同町には高さ15.5メートルの津波が襲った。津波による死者と行方不明者は180人以上にのぼり、原発事故で2万人を超える住民が避難生活を余儀なくされた。県担当者は「震災から前に進んだ今の姿を見てもらえるコースを選んだ」と説明する。
宮城県の聖火リレーは6月20日、気仙沼市から始まる。津波が襲い、多くの漁船が打ち上げられた気仙沼港沿いを走行ルートに選んだ。「ほとんどの市町村で沿岸地域のコースを走る」(県担当者)といい、津波被害を受けた漁港周辺などを組み入れた。
南三陸町では、復興に取り組む地元の飲食店や鮮魚店などでつくる「南三陸さんさん商店街」が到着地に。商店街の建物は、国立競技場のデザインをてがけた隈研吾氏が設計した。
南三陸町では震災による死者と行方不明者が800人を超え、町内の半分ほどの約3100戸が全壊した。震災後にかさ上げを進め、そこへ同商店街を建設した。
岩手県陸前高田市では震災の津波に耐えた奇跡の一本松を出発し、東日本大震災津波伝承館を通過する。県担当者は「復興への感謝と未来への決意を発信することがミッション」と「復興五輪」の意義を強調した。
熊本県では5月7日、16年の熊本地震で大きな被害を受けた益城町や南阿蘇村、熊本市などを聖火リレーが巡る。県内でのリレーの到着式のセレモニーは、復旧工事が進む熊本城で行われる。
地震で甚大な被害を受けた熊本城は9月に大天守の外観工事が完了。翌月の見学再開からの来場者数が10万人を超えた。来春には復旧工事を間近で見学できる「特別見学通路」も開通する。
熊本県によると、来春時点でも自宅の再建のメドが立たないことなどから約1400世帯の被災者が仮設住宅などでの仮住まいを強いられる見込みだ。担当者は「復興の歩みを発信するだけでなく、被災者を勇気づけられるように取り組みたい」と意気込む。
沖縄県の聖火リレーは5月2日、10月末に火災があった首里城(那覇市)の守礼門前からスタートする。県の担当者は「首里城は文化・歴史的に沖縄のシンボル。復興に向けて頑張っている姿を全世界に見せたい」と意気込む。
出発地点の守礼門前では、琉球芸能などを披露する出発イベントを行う予定。火災の影響で観光客の落ち込みが指摘される中、「多くの人が再び首里城に足を運ぶ機会となり、再建の機運が高まれば」(担当者)と期待を寄せている。
2019/12/17 14:24更新
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53444140X11C19A2CC1000/