「ポスト安倍」の本命という声も上がっていたのに…
半年前に「令和おじさん」として大注目を集め、つい先日までは、「ポスト安倍」の本命という声も上がっていた。ところが今、菅義偉官房長官の株が大暴落している。
「桜を見る会」の問題で連日記者団の追及を受けて立ち往生。明らかに自信のなさそうな回答を繰り返している。第2次安倍政権が誕生以来、7年間、鉄壁のスポークスマンを演じ続けてきた菅氏はどうしてしまったのか。
菅氏は原則として1日に2回、午前と午後に首相官邸で記者会見を行う。月曜日から金曜日まで週5日だから、単純計算で1年に600回、この7年間で4000回以上会見をこなしてきたことになる。
サービス精神が旺盛というわけではないが、手堅い受け答えは定評がある。官房長官は政府全体のスポークスマン。質問は国政全般、国際情勢、そして社会問題からゴシップに至るまで質問を受けるが、よどみなく答える。
秘書官が「差し紙」をした回数は11回で史上最多
それが、最近、明らかに変わった。例えば12月4日午前の記者会見。「桜を見る会」の招待者名簿のバックアップデータを巡るやりとりで、何度も回答に詰まっている。
「ちょっとお待ちください」と自信なげに語っている間に、秘書官が回答案を紙に走り書きし、菅氏の元に走る。紙を左手で受け取った菅氏は、目を紙に落としてそれを読みあげる。秘書官が紙を差し出した回数は11回に及んだ。
これまでも、想定外の質問があった時に秘書官が差し紙することが皆無だったわけではないが、11回は「史上最多」だ。しかも、発言は「〜というふうに聞いています」というような語尾が多く、頼りなさそうなのだ。
永田町で流行語になっている「差し紙」
6日の記者会見では、TBS報道特集の金平茂紀キャスターが会見に登場。「国民から疑問・不満や憤りの声が非常に高くなっている。政府が国民に対して説明責任を十分に果たしているのか、それとも幕を引いていいんだとお考えか」と質問。最後に「官僚の差し紙なしでお答えいただきたい」と痛烈な皮肉もつけ加えた。
菅氏はぶぜんとした表情で「果たしていると思っている」と言い返したが、内心忸怩じくじたる思いだったのは想像に難くない。「差し紙」は今、永田町でちょっとした流行語になっている。
どうして菅氏は、こうも「変貌」してしまったのか。理由はいくつかある。まず、文書の電子保存のようなテーマに明るくない。例えば記者会見では電子データの保存方法について内閣府が採用している「シンクライアント方式」などへの質問が飛び交う。71歳の菅氏が言いよどむのもやむを得ない部分もあろう。
ただし「桜を見る会」の問題は内閣府および内閣官房の問題。菅氏の所管だ。「得意ではないから答えられない」では済まされない。
最大の原因は「安倍氏しか答えられない問題が多い」こと
そもそもこれまでの「森友学園」「加計学園」や各閣僚のスキャンダルなどは、文部科学省、財務省、経済産業省などの問題が問われた。菅氏はこれまで記者会見では大づかみに全体像を理解して答えておいてあとは「○○省に聞いてください」と投げればよかった。しかし「桜を見る会」は他に振ることはできない。つまり、もともと詳細な問題について対応する力量は乏しかったのかもしれない。
今回の「桜を見る会」の問題の特殊性は、安倍晋三首相が「主役」であるということだ。高級ホテルで行われた前夜祭の収支は、本当のところどうなっているのか。桜を見る会では誰が「首相枠」で推薦されたのか。安倍氏しか答えられない問題は多い。
だが、安倍氏が予算委員会などで説明責任を果たす場面はない。結局、菅氏は安倍氏の身代わりとして矢面に立たざるを得ない。9日に国会が閉会してからは、さらに菅氏の負担は高まることになるだろう。
続きはソースで
2019/12/09 18:00
https://president.jp/articles/-/31377
半年前に「令和おじさん」として大注目を集め、つい先日までは、「ポスト安倍」の本命という声も上がっていた。ところが今、菅義偉官房長官の株が大暴落している。
「桜を見る会」の問題で連日記者団の追及を受けて立ち往生。明らかに自信のなさそうな回答を繰り返している。第2次安倍政権が誕生以来、7年間、鉄壁のスポークスマンを演じ続けてきた菅氏はどうしてしまったのか。
菅氏は原則として1日に2回、午前と午後に首相官邸で記者会見を行う。月曜日から金曜日まで週5日だから、単純計算で1年に600回、この7年間で4000回以上会見をこなしてきたことになる。
サービス精神が旺盛というわけではないが、手堅い受け答えは定評がある。官房長官は政府全体のスポークスマン。質問は国政全般、国際情勢、そして社会問題からゴシップに至るまで質問を受けるが、よどみなく答える。
秘書官が「差し紙」をした回数は11回で史上最多
それが、最近、明らかに変わった。例えば12月4日午前の記者会見。「桜を見る会」の招待者名簿のバックアップデータを巡るやりとりで、何度も回答に詰まっている。
「ちょっとお待ちください」と自信なげに語っている間に、秘書官が回答案を紙に走り書きし、菅氏の元に走る。紙を左手で受け取った菅氏は、目を紙に落としてそれを読みあげる。秘書官が紙を差し出した回数は11回に及んだ。
これまでも、想定外の質問があった時に秘書官が差し紙することが皆無だったわけではないが、11回は「史上最多」だ。しかも、発言は「〜というふうに聞いています」というような語尾が多く、頼りなさそうなのだ。
永田町で流行語になっている「差し紙」
6日の記者会見では、TBS報道特集の金平茂紀キャスターが会見に登場。「国民から疑問・不満や憤りの声が非常に高くなっている。政府が国民に対して説明責任を十分に果たしているのか、それとも幕を引いていいんだとお考えか」と質問。最後に「官僚の差し紙なしでお答えいただきたい」と痛烈な皮肉もつけ加えた。
菅氏はぶぜんとした表情で「果たしていると思っている」と言い返したが、内心忸怩じくじたる思いだったのは想像に難くない。「差し紙」は今、永田町でちょっとした流行語になっている。
どうして菅氏は、こうも「変貌」してしまったのか。理由はいくつかある。まず、文書の電子保存のようなテーマに明るくない。例えば記者会見では電子データの保存方法について内閣府が採用している「シンクライアント方式」などへの質問が飛び交う。71歳の菅氏が言いよどむのもやむを得ない部分もあろう。
ただし「桜を見る会」の問題は内閣府および内閣官房の問題。菅氏の所管だ。「得意ではないから答えられない」では済まされない。
最大の原因は「安倍氏しか答えられない問題が多い」こと
そもそもこれまでの「森友学園」「加計学園」や各閣僚のスキャンダルなどは、文部科学省、財務省、経済産業省などの問題が問われた。菅氏はこれまで記者会見では大づかみに全体像を理解して答えておいてあとは「○○省に聞いてください」と投げればよかった。しかし「桜を見る会」は他に振ることはできない。つまり、もともと詳細な問題について対応する力量は乏しかったのかもしれない。
今回の「桜を見る会」の問題の特殊性は、安倍晋三首相が「主役」であるということだ。高級ホテルで行われた前夜祭の収支は、本当のところどうなっているのか。桜を見る会では誰が「首相枠」で推薦されたのか。安倍氏しか答えられない問題は多い。
だが、安倍氏が予算委員会などで説明責任を果たす場面はない。結局、菅氏は安倍氏の身代わりとして矢面に立たざるを得ない。9日に国会が閉会してからは、さらに菅氏の負担は高まることになるだろう。
続きはソースで
2019/12/09 18:00
https://president.jp/articles/-/31377