富山市の交番で警察官が刺殺され、奪われた拳銃で警備員が射殺された奥田交番襲撃事件は26日で発生から1年を迎える。強盗殺人などの罪で起訴された男の裁判員裁判では、弁護側が男の精神鑑定を改めて行うよう求めることを検討しているとみられ、刑事責任能力が争点となる可能性がある。事前に争点を明確にする「公判前整理手続き」の期日は決まったものの、関係者によると、扱う証拠の数が膨大なため、初公判は来年に持ち越される可能性が高い。
起訴状などによると、元自衛官の島津慧大(けいた)被告(22)=立山町末三賀=は昨年6月26日、富山中央署奥田交番で、勤務中だった稲泉健一警部補=当時(46)、警視に昇任=を刺殺して拳銃を奪い、近くの奥田小学校正門付近にいた警備員の中村信一さん=同(68)=を射殺したとされる。
富山地検は昨年11月から約4カ月間、島津被告の刑事責任能力を調べるための鑑定留置を実施。今年3月に強盗殺人などの罪で起訴した。
裁判員裁判で島津被告の弁護を担当するとみられる弁護士によると、検察側の鑑定留置とは別の専門医による精神鑑定を裁判所に請求する可能性がある。「一度の精神鑑定で心理面を完全に把握するのは難しいはず。改めて責任能力を含めた診断を仰ぐ考えは妥当だろう」と語る。
裁判官と検察官、弁護人が非公開の場で争点をまとめ審理計画を立てる「公判前整理手続き」は7月5日に始まり、当面は月1回のペースで行う予定。仮に弁護側が精神鑑定を請求する場合、この手続きの中で裁判所と検察側にその意向を伝えるとみられる。
初公判の期日は、めどが立っていない。関係者によると、犠牲者が2人出ているため精査すべき証拠の数が多く、その分だけ争点が複雑になって公判前整理手続きが長期化する可能性が高い。
1月に起きた富山市の池多駐在所襲撃事件では、男性巡査部長(31)が負傷しながらも容疑者の元富山大生(22)を現行犯逮捕し、亡くなった人はいなかった。容疑者は約3カ月間の鑑定留置を経て5月に強盗殺人未遂などの罪で起訴された。公判前整理手続きは今月14日に開始され、奥田交番の事件よりも着々と進んでいる。
検察関係者は「事件発生の順番通りに裁判が始まるとは限らない。奥田交番の事件に関しては、初公判が年内に開かれる可能性は低くなっている」と話している。
■警察に敵意
島津被告が逮捕後、周囲の関係者に「警察に敵意を持っていた」という趣旨の話をしていたことが24日、分かった。
関係者によると、島津被告は未成年の時のトラブルが元で警察に反感を持つようになったと話していたという。
捜査関係者によると、同被告は動機について「拳銃を奪いたかった」と供述し、射殺したとされる警備員を「警察官と見間違えて撃った」と話しているといい、背景に警察への敵意があった可能性もある。
2019年06月25日 05:00
北日本新聞
http://webun.jp/item/7575718
起訴状などによると、元自衛官の島津慧大(けいた)被告(22)=立山町末三賀=は昨年6月26日、富山中央署奥田交番で、勤務中だった稲泉健一警部補=当時(46)、警視に昇任=を刺殺して拳銃を奪い、近くの奥田小学校正門付近にいた警備員の中村信一さん=同(68)=を射殺したとされる。
富山地検は昨年11月から約4カ月間、島津被告の刑事責任能力を調べるための鑑定留置を実施。今年3月に強盗殺人などの罪で起訴した。
裁判員裁判で島津被告の弁護を担当するとみられる弁護士によると、検察側の鑑定留置とは別の専門医による精神鑑定を裁判所に請求する可能性がある。「一度の精神鑑定で心理面を完全に把握するのは難しいはず。改めて責任能力を含めた診断を仰ぐ考えは妥当だろう」と語る。
裁判官と検察官、弁護人が非公開の場で争点をまとめ審理計画を立てる「公判前整理手続き」は7月5日に始まり、当面は月1回のペースで行う予定。仮に弁護側が精神鑑定を請求する場合、この手続きの中で裁判所と検察側にその意向を伝えるとみられる。
初公判の期日は、めどが立っていない。関係者によると、犠牲者が2人出ているため精査すべき証拠の数が多く、その分だけ争点が複雑になって公判前整理手続きが長期化する可能性が高い。
1月に起きた富山市の池多駐在所襲撃事件では、男性巡査部長(31)が負傷しながらも容疑者の元富山大生(22)を現行犯逮捕し、亡くなった人はいなかった。容疑者は約3カ月間の鑑定留置を経て5月に強盗殺人未遂などの罪で起訴された。公判前整理手続きは今月14日に開始され、奥田交番の事件よりも着々と進んでいる。
検察関係者は「事件発生の順番通りに裁判が始まるとは限らない。奥田交番の事件に関しては、初公判が年内に開かれる可能性は低くなっている」と話している。
■警察に敵意
島津被告が逮捕後、周囲の関係者に「警察に敵意を持っていた」という趣旨の話をしていたことが24日、分かった。
関係者によると、島津被告は未成年の時のトラブルが元で警察に反感を持つようになったと話していたという。
捜査関係者によると、同被告は動機について「拳銃を奪いたかった」と供述し、射殺したとされる警備員を「警察官と見間違えて撃った」と話しているといい、背景に警察への敵意があった可能性もある。
2019年06月25日 05:00
北日本新聞
http://webun.jp/item/7575718