今月始まった外国人材の受け入れを拡大する新たな制度で在留資格を取得するための国内で初めての試験として14日、宿泊業の分野の試験が行われました。
介護や外食、宿泊など人手不足が深刻な14の業種では今月から外国人材の受け入れが拡大され、日本語の試験と業種ごとの技能試験に合格した外国人は新たな在留資格を取得できるようになりました。
14日は国内で初めての技能試験として宿泊業の分野の試験が全国7つの会場で行われ、このうち東京霞が関にある国土交通省の会議室ではおよそ130人の外国人が受験しました。
ホテルなどでのフロント業務や接客のマナーなど宿泊業に関する知識を問う筆記試験と、客との受け答えを想定した口頭での試験が、いずれも日本語で行われました。
バングラデシュから留学している25歳の男性は「日本で仕事をしたいので留学してきました。今まで接客のアルバイトの経験もあるので、試験に合格したらホテルのフロントの仕事などをやってみたい」と話していました。
14日の試験は申込者が全国で761人に上り、来月25日に合格者が発表される予定で、所管する観光庁はこの技能試験を年2〜3回実施し、宿泊業では今後5年間で最大2万2000人の外国人材の受け入れを見込んでいます。
宿泊業の新たな在留資格は
これまで外国人がホテルや旅館で仕事に就くには学歴や実務経験など、高度な専門性を有すると認められた特別な在留資格が必要でした。
しかし、この資格では担当できる業務がフロント業務や通訳など一部に限られ、ベッドメークや調理など日本人の従業員と同じような働き方は認められていませんでした。
日本で学んでいる留学生はアルバイトとして働くことは可能でしたが、学業を優先するため労働時間は週に28時間までとされています。
新たな在留資格「特定技能1号」では、宿泊業の場合、従事できる業務が従来のフロント業務に加えて、接客やレストランでのサービス、宿泊プランの企画や広報などにも広がります。
技能試験に合格した人はホテルや旅館への就職活動を行い、観光庁によりますと、早ければことしの夏ごろにも実際に働き始める見込みだということです。
新たな資格では通算で最長5年間働くことができ、給料も日本人と同等以上の水準が支給されるということです。
ホテルや旅館にとっては、外国人に任せられる仕事の範囲が広がることで人手不足の解消につながると期待されています。
宿泊業 5年で最大2万2000人受け入れ見込む
外国人材の受け入れを拡大する背景には、各業界での深刻な人手不足があります。
少子高齢化が進む中、15歳から64歳までの「生産年齢人口」は、去年10月の段階で7500万人余りと、ピークの1995年と比べると1100万人ほど減っています。
働き手が減る中で各業界では人手不足が深刻化していて、観光庁は、ホテルや旅館などの従業員が現時点でおよそ3万人不足していると推計しています。
さらに、ことし開かれるラグビーワールドカップ日本大会や、来年の東京オリンピック・パラリンピックなどで日本を訪れる外国人観光客は一段の増加が見込まれ、5年後には不足する従業員が10万人に達すると見込まれています。
政府は、このうち8万人については、国内での人材確保や業務の効率化による生産性の向上などで補うことを目指すとしています。
こうした取り組みでも賄えない部分について、政府は、外国人材の受け入れを拡大することで人手不足の緩和につなげたい考えで、宿泊業では今後5年間で最大2万2000人の外国人材の受け入れを見込んでいます。
専門家「外国人の生活支援 制度整えること大事に」
日本総合研究所の山田久主席研究員は「絶対的な人手不足や経済の国際化に対応するため外国人に働いてもらうのは前向きに捉えるべきだが、安い労働力だと捉えているようでは、いずれ日本には来てもらえなくなる。そうではなく、能力がある人に来てもらうためにも技能試験をしっかりやり、適切に運用することが重要だ。今後は、外国人の生活支援も重要で、企業だけではなく自治体や政府も一緒になって制度を整えることが大事になる」と話しています。
2019年4月14日 17時15分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190414/k10011883801000.html
介護や外食、宿泊など人手不足が深刻な14の業種では今月から外国人材の受け入れが拡大され、日本語の試験と業種ごとの技能試験に合格した外国人は新たな在留資格を取得できるようになりました。
14日は国内で初めての技能試験として宿泊業の分野の試験が全国7つの会場で行われ、このうち東京霞が関にある国土交通省の会議室ではおよそ130人の外国人が受験しました。
ホテルなどでのフロント業務や接客のマナーなど宿泊業に関する知識を問う筆記試験と、客との受け答えを想定した口頭での試験が、いずれも日本語で行われました。
バングラデシュから留学している25歳の男性は「日本で仕事をしたいので留学してきました。今まで接客のアルバイトの経験もあるので、試験に合格したらホテルのフロントの仕事などをやってみたい」と話していました。
14日の試験は申込者が全国で761人に上り、来月25日に合格者が発表される予定で、所管する観光庁はこの技能試験を年2〜3回実施し、宿泊業では今後5年間で最大2万2000人の外国人材の受け入れを見込んでいます。
宿泊業の新たな在留資格は
これまで外国人がホテルや旅館で仕事に就くには学歴や実務経験など、高度な専門性を有すると認められた特別な在留資格が必要でした。
しかし、この資格では担当できる業務がフロント業務や通訳など一部に限られ、ベッドメークや調理など日本人の従業員と同じような働き方は認められていませんでした。
日本で学んでいる留学生はアルバイトとして働くことは可能でしたが、学業を優先するため労働時間は週に28時間までとされています。
新たな在留資格「特定技能1号」では、宿泊業の場合、従事できる業務が従来のフロント業務に加えて、接客やレストランでのサービス、宿泊プランの企画や広報などにも広がります。
技能試験に合格した人はホテルや旅館への就職活動を行い、観光庁によりますと、早ければことしの夏ごろにも実際に働き始める見込みだということです。
新たな資格では通算で最長5年間働くことができ、給料も日本人と同等以上の水準が支給されるということです。
ホテルや旅館にとっては、外国人に任せられる仕事の範囲が広がることで人手不足の解消につながると期待されています。
宿泊業 5年で最大2万2000人受け入れ見込む
外国人材の受け入れを拡大する背景には、各業界での深刻な人手不足があります。
少子高齢化が進む中、15歳から64歳までの「生産年齢人口」は、去年10月の段階で7500万人余りと、ピークの1995年と比べると1100万人ほど減っています。
働き手が減る中で各業界では人手不足が深刻化していて、観光庁は、ホテルや旅館などの従業員が現時点でおよそ3万人不足していると推計しています。
さらに、ことし開かれるラグビーワールドカップ日本大会や、来年の東京オリンピック・パラリンピックなどで日本を訪れる外国人観光客は一段の増加が見込まれ、5年後には不足する従業員が10万人に達すると見込まれています。
政府は、このうち8万人については、国内での人材確保や業務の効率化による生産性の向上などで補うことを目指すとしています。
こうした取り組みでも賄えない部分について、政府は、外国人材の受け入れを拡大することで人手不足の緩和につなげたい考えで、宿泊業では今後5年間で最大2万2000人の外国人材の受け入れを見込んでいます。
専門家「外国人の生活支援 制度整えること大事に」
日本総合研究所の山田久主席研究員は「絶対的な人手不足や経済の国際化に対応するため外国人に働いてもらうのは前向きに捉えるべきだが、安い労働力だと捉えているようでは、いずれ日本には来てもらえなくなる。そうではなく、能力がある人に来てもらうためにも技能試験をしっかりやり、適切に運用することが重要だ。今後は、外国人の生活支援も重要で、企業だけではなく自治体や政府も一緒になって制度を整えることが大事になる」と話しています。
2019年4月14日 17時15分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190414/k10011883801000.html