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一から分かるEU離脱 英議会がEU離脱案否決
2019年1月16日 5:07
英議会は15日、欧州連合(EU)と合意したEUからの離脱案を否決した。英国のEUからの離脱は3月末に期限を迎える。英国がEUとの間で条件を定めずに離脱する「合意なき離脱」が現実味を増してきた。なぜ英議会は離脱案を否決したのか。英国のEU離脱の背景や今後の影響などをまとめた。
――そもそもなぜ英国はEUから離脱しようとしているのか。
「EUは発足時の基本理念として、域内でのヒト、モノ、カネ、サービスの4つの『移動の自由』を掲げた。2度の世界大戦を経て、欧州各国が緊密に統合することで域内の戦争をなくそうというのが原点にある。しかし、英国は島国ということもあり、大陸側の欧州諸国と統合することへの反対意見は根強い」
「それでも、英国はEUの一員として東欧などから移民を受け入れてきた。しかし、金融危機や経済の低迷などで雇用情勢が悪化すると、『移民に仕事を奪われている』『テロリストの流入につながる』などと移民への不満が強まった。EUの官僚的な体質や細かな規制、英国が負担するEUへの拠出額の大きさを問題視する声もあり、キャメロン首相(当時)がEU残留か離脱かを問う国民投票の実施を表明。16年6月23日に投票を実施した」
――結果は。
「離脱への賛成が52%で、わずかながら反対を上回った。この投票結果を受け、17年3月29日にEU側に離脱を通告した。EU条約では、離脱の通告から2年後にEU法の適用が切れる。このため、19年3月末が離脱の期限となった。ただ、企業や行政機関などの活動に支障が出ないように、英国とEUは20年末までを『移行期間』と定め、現状の規則や法制が適用され続けることで合意した」
――「合意なき離脱」とは何を指すのか。
「この『移行期間』が適用されるには、英国とEUが離脱条件で合意するだけでなく、英議会と欧州議会などで合意案が承認されなければならない。今回、英議会が離脱案を否決したことで、英国とEUとの間に離脱合意が結ばれない可能性が強まった。この場合、合意を前提にした『移行期間』はなくなり、19年3月末に完全に離脱しなけれないけない可能性が強まった」
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