https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181023-00000008-jij_afp-sctch
火星の地表のすぐ下にある塩水には、数十億年前の地球上で出現・繁栄したものと同種の微生物の生命を維持するのに十分な量の
酸素が溶け込んでいる可能性があるとの研究論文が22日、発表された。
英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された論文によると、場所によっては海綿動物などの原始的な微生物を
生存させることができる量の酸素が存在する可能性があるという。
論文の筆頭著者で、米ジェット推進研究所(JPL)の理論物理学者ブラダ・スタメンコビッチ(Vlada Stamenkovic)氏は、高濃度の塩分を含む
「火星上の塩水には、微生物が呼吸するのに十分な量の酸素が含まれている可能性があることを、今回の研究で発見した」と話す。
「この結果により、現在および過去の火星の生命存在の可能性に関するわれわれの理解が根本的に変わることになる」と同氏はAFPの取材に語った。
これまでは、火星に存在する酸素は微量で、微生物の生命でさえも維持するのに不十分だと考えられていた。
「火星の大気中の酸素濃度は約0.14%とごくわずかなため、火星上の生命に酸素が関与する可能性があるとは誰も考えたことがなかった」と、
スタメンコビッチ氏は指摘する。それに比べて人間が呼吸している酸素は、地球上の大気の21%を構成する。
地球上の好気性の(酸素呼吸する)生命体は、二酸化炭素(CO2)を酸素(O2)に変換する光合成とともに進化した。
酸素は、約23.5億年前の「大酸化イベント(GOE)」の後に起きた複雑な生物の出現において、特筆すべき重要な役割を演じた。
だが地球には、海底や熱水噴出孔内といった酸欠状態の環境に生息する微生物もいる。
「そのため、火星の生命について考える時には常に嫌気性生物の存在可能性が研究されてきた」とスタメンコビッチ氏は言う。
■キュリオシティーの発見がきっかけ
今回の最新研究のきっかけは、米航空宇宙局(NASA)の火星無人探査車「キュリオシティー(Curiosity)」による酸化マンガンの発見だった。
酸化マンガンは大量の酸素によってしか生成されない化合物だ。
さらに、キュリオシティーは火星周回探査機とともに、複数の塩水貯水層の存在を確認した。各貯水層に含まれる元素には顕著なばらつきがみられた。
塩類含有量が高いと、水が液体の状態を維持できるため、通常よりはるかに低い温度で酸素が溶解するのに必要な条件が保たれる。
これにより、塩水が微生物の生存に適した場所となる。地域、季節、時刻によって、火星の気温はマイナス195度〜20度の範囲で変化する可能性がある。
研究チームは、氷点下で酸素が塩水にどのくらい溶解するかを説明する第1のモデルを考案した。
また第2のモデルでは、過去2000万年と今後1000万年の火星上の気候変動を推定した。
これらのモデルに基づいて推算を行った結果、塩水に溶け込んだ酸素が生成される可能性が最も高いのは火星のどの地域かが明らかになった。
このデータは、将来の探査機の配置を決定する助けになる可能性がある。
「(火星上の)酸素濃度は、好気性微生物が必要とする濃度よりも数桁大きい(数百倍の)値となっている」と、論文は結論付けている。
スタメンコビッチ氏は「今回の結果は、火星上に生命が存在することを意味するものではない」と注意を促しつつ、
「だが、溶存酸素が存在する可能性によって、火星の生命存在可能性が影響を受けることを、今回の結果は示している」と述べている。
火星の地表のすぐ下にある塩水には、数十億年前の地球上で出現・繁栄したものと同種の微生物の生命を維持するのに十分な量の
酸素が溶け込んでいる可能性があるとの研究論文が22日、発表された。
英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された論文によると、場所によっては海綿動物などの原始的な微生物を
生存させることができる量の酸素が存在する可能性があるという。
論文の筆頭著者で、米ジェット推進研究所(JPL)の理論物理学者ブラダ・スタメンコビッチ(Vlada Stamenkovic)氏は、高濃度の塩分を含む
「火星上の塩水には、微生物が呼吸するのに十分な量の酸素が含まれている可能性があることを、今回の研究で発見した」と話す。
「この結果により、現在および過去の火星の生命存在の可能性に関するわれわれの理解が根本的に変わることになる」と同氏はAFPの取材に語った。
これまでは、火星に存在する酸素は微量で、微生物の生命でさえも維持するのに不十分だと考えられていた。
「火星の大気中の酸素濃度は約0.14%とごくわずかなため、火星上の生命に酸素が関与する可能性があるとは誰も考えたことがなかった」と、
スタメンコビッチ氏は指摘する。それに比べて人間が呼吸している酸素は、地球上の大気の21%を構成する。
地球上の好気性の(酸素呼吸する)生命体は、二酸化炭素(CO2)を酸素(O2)に変換する光合成とともに進化した。
酸素は、約23.5億年前の「大酸化イベント(GOE)」の後に起きた複雑な生物の出現において、特筆すべき重要な役割を演じた。
だが地球には、海底や熱水噴出孔内といった酸欠状態の環境に生息する微生物もいる。
「そのため、火星の生命について考える時には常に嫌気性生物の存在可能性が研究されてきた」とスタメンコビッチ氏は言う。
■キュリオシティーの発見がきっかけ
今回の最新研究のきっかけは、米航空宇宙局(NASA)の火星無人探査車「キュリオシティー(Curiosity)」による酸化マンガンの発見だった。
酸化マンガンは大量の酸素によってしか生成されない化合物だ。
さらに、キュリオシティーは火星周回探査機とともに、複数の塩水貯水層の存在を確認した。各貯水層に含まれる元素には顕著なばらつきがみられた。
塩類含有量が高いと、水が液体の状態を維持できるため、通常よりはるかに低い温度で酸素が溶解するのに必要な条件が保たれる。
これにより、塩水が微生物の生存に適した場所となる。地域、季節、時刻によって、火星の気温はマイナス195度〜20度の範囲で変化する可能性がある。
研究チームは、氷点下で酸素が塩水にどのくらい溶解するかを説明する第1のモデルを考案した。
また第2のモデルでは、過去2000万年と今後1000万年の火星上の気候変動を推定した。
これらのモデルに基づいて推算を行った結果、塩水に溶け込んだ酸素が生成される可能性が最も高いのは火星のどの地域かが明らかになった。
このデータは、将来の探査機の配置を決定する助けになる可能性がある。
「(火星上の)酸素濃度は、好気性微生物が必要とする濃度よりも数桁大きい(数百倍の)値となっている」と、論文は結論付けている。
スタメンコビッチ氏は「今回の結果は、火星上に生命が存在することを意味するものではない」と注意を促しつつ、
「だが、溶存酸素が存在する可能性によって、火星の生命存在可能性が影響を受けることを、今回の結果は示している」と述べている。