伊万里市に風力発電 東京の事業者が計画
渡り鳥経路重なり課題も
10月中に経済産業相に提出する
全国で風力発電事業を展開する「エコ・パワー」(東京都)が、伊万里市と長崎県佐世保市の境に位置する尾根で風力発電事業を計画していることが分かった。事業を想定している区域が保安林や、希少な渡り鳥の飛行ルートと重なるため、佐賀県環境影響評価審査会は、影響の回避や低減ができなければ、計画見直しを求める知事意見を取りまとめている。
計画では、伊万里市東山代町と佐世保市世知原町にある尾根を事業実施想定区域にしている。出力2千〜3400キロワットの風力発電設備を10基ほど設置する。規模は最大3万4000キロワットを見込み、一般家庭1万〜1万7千世帯分に相当するという。
県環境影響評価審査会(会長・穴井謙福岡大工学部教授、15人)では、事業実施想定区域が保安林に指定されていることや、国見山のアカガシ林に隣接している点、希少鳥類のハチクマの渡り経路になっていることが問題点として挙がっていた。これを受け5日の会合では、影響を回避、低減できない場合には計画の見直しを行うことを知事意見として集約した。10月中に経済産業相に提出する。
エコ・パワーは風力発電の専門企業として1997年に設立された。全国23カ所に計22万6900キロワットの設備を保有している。担当者は「本年度内にまず、工事のための搬入路見直しについて詳細な調査をする。課題がクリアできれば、地元に報告しながら進めたい」と話している。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/289216