2018.5.25 14:31
https://www.sankei.com/smp/life/news/180525/lif1805250024-s1.html
固定電話の転送機能サービスを悪用した特殊詐欺が東京都内で増えている。詐欺グループが携帯電話を使っていても、被害者には「03」などで始まる固定電話の番号が表示され、行政機関や企業からかけているように装えるためだ。警視庁は「相手の話をうのみにせず、電話帳やインターネットで番号を確認してほしい」と注意を呼び掛けている。
「医療費の還付金がある」。昨年8月、墨田区に住む60代女性の自宅に、区役所の国民年金課の職員を名乗る男から電話があった。女性が翌日、男に伝えられた「03」から始まる番号にかけると、「現金自動預払機(ATM)に行ってくれれば手続きを指示する」と告げられた。
女性は実際にATMを操作しようとした際、様子に気付いた巡回中の警察官に声をかけられて被害を免れたが、「本当に区役所からだと思ってしまった」と話した。警視庁によると、女性がかけた電話は転送され、男の使う電話につながっていた可能性が高いという。
固定電話の転送機能サービスは本来、自営業者や会社員が外出している間でも、同じ番号を利用できるようにしたものだ。しかし、詐欺グループはこの特性を悪用し、発信元や身元を隠しているのに加え、複数の固定電話を転送させることで、番号から捜査の手が伸びるのを防ごうとしているとみられる。
警視庁によると、都内で発生した振り込め詐欺などの特殊詐欺で使用された電話番号を調べると、発信元が固定電話の番号だったのは平成27年の約5割から、28年は約7割に増えた。29年には3964件のうち3175件が固定電話で、8割に達するなど増加傾向が続いており、転送の手口が拡大していることがうかがえる。
固定電話が悪用される背景には、法律の不備もある。携帯電話が犯罪に使われたときには、携帯電話不正利用防止法に基づき、強制的に利用を停止できる仕組みになっている。これに対し、固定電話は番号を止められる明確な法令が存在していない。
大手通信事業者「NTTコミュニケーションズ」(千代田区)は28年12月、警視庁の要請に協力し、「大量の発信で、通信に障害が出た」として、特殊詐欺に使われたと指摘された約5900件に上る電話番号の解約に踏み切った。
被害増加に歯止めがかからない状況での苦肉の策だが、捜査幹部は「解約されたのは氷山の一角にすぎない」と指摘。警察庁や電波行政を所管する総務省、大手通信事業者は、詐欺に使われた固定電話の番号を速やかに停止できるようにする法整備や、ルール作りの検討を進めている。
https://www.sankei.com/smp/life/news/180525/lif1805250024-s1.html
固定電話の転送機能サービスを悪用した特殊詐欺が東京都内で増えている。詐欺グループが携帯電話を使っていても、被害者には「03」などで始まる固定電話の番号が表示され、行政機関や企業からかけているように装えるためだ。警視庁は「相手の話をうのみにせず、電話帳やインターネットで番号を確認してほしい」と注意を呼び掛けている。
「医療費の還付金がある」。昨年8月、墨田区に住む60代女性の自宅に、区役所の国民年金課の職員を名乗る男から電話があった。女性が翌日、男に伝えられた「03」から始まる番号にかけると、「現金自動預払機(ATM)に行ってくれれば手続きを指示する」と告げられた。
女性は実際にATMを操作しようとした際、様子に気付いた巡回中の警察官に声をかけられて被害を免れたが、「本当に区役所からだと思ってしまった」と話した。警視庁によると、女性がかけた電話は転送され、男の使う電話につながっていた可能性が高いという。
固定電話の転送機能サービスは本来、自営業者や会社員が外出している間でも、同じ番号を利用できるようにしたものだ。しかし、詐欺グループはこの特性を悪用し、発信元や身元を隠しているのに加え、複数の固定電話を転送させることで、番号から捜査の手が伸びるのを防ごうとしているとみられる。
警視庁によると、都内で発生した振り込め詐欺などの特殊詐欺で使用された電話番号を調べると、発信元が固定電話の番号だったのは平成27年の約5割から、28年は約7割に増えた。29年には3964件のうち3175件が固定電話で、8割に達するなど増加傾向が続いており、転送の手口が拡大していることがうかがえる。
固定電話が悪用される背景には、法律の不備もある。携帯電話が犯罪に使われたときには、携帯電話不正利用防止法に基づき、強制的に利用を停止できる仕組みになっている。これに対し、固定電話は番号を止められる明確な法令が存在していない。
大手通信事業者「NTTコミュニケーションズ」(千代田区)は28年12月、警視庁の要請に協力し、「大量の発信で、通信に障害が出た」として、特殊詐欺に使われたと指摘された約5900件に上る電話番号の解約に踏み切った。
被害増加に歯止めがかからない状況での苦肉の策だが、捜査幹部は「解約されたのは氷山の一角にすぎない」と指摘。警察庁や電波行政を所管する総務省、大手通信事業者は、詐欺に使われた固定電話の番号を速やかに停止できるようにする法整備や、ルール作りの検討を進めている。