マスコミ関係者を装い、過去に詐欺の被害に遭ったことがある東海、北陸地方の住民らを狙って「取材に協力すれば、だまし取られたお金が返ってくる」などと現金をだまし取るニセ電話詐欺が昨年秋から相次いでいることが、警察庁などへの取材で分かった。捜査関係者らによると、同年末にかけて岐阜県内で70代の女性2人がともに1千万円近くをだまし取られた被害もあり、同一グループの犯行の可能性もあるとみている。
グループは「フューチャー ケーブル コミュニケーション」と名乗り「過去に詐欺被害に遭った人の特集番組をつくるため、取材をしたい」などと電話している。被害金の回復に必要な手順として、環境保護事業者を連想させる別の企業名を伝え、その企業の「社債」を買うよう指示。社債の購入費名目の現金を、指定の住所へ送らせるのが手口だ。岐阜県内の被害者2人には、いずれも愛知県内の固定電話とみられる番号からかかってきた。
金沢市の女性(57)も昨年10月、市外局番が「052」で始まる電話で、男から「取材」への協力を求められた。名古屋市かその近郊からかけているとみられ、男が「詐欺に遭った人の電話番号のリストを見てかけている」と話したため、女性は「おかしい」と気づいて応じなかった。
捜査関係者によると、グループは2006〜07年に架空のエビ養殖事業で投資を募り、全国の約2万5千人から計277億円を詐取したとされる会社「ワールドオーシャンファーム」(東京、破産)の顧客リストを利用している可能性がある。女性は10年前、同社に200万円をだまし取られたことがあり、電話をかけてきたフューチャー社の男に「どうやってリストを手に入れたのか?」と聞くと、男は「(ワールド社会長の)自宅から」と答えた。
国民生活センターによると、山陰地方でも昨年11月、70代の女性に「番組制作会社」を名乗る男から「以前ある会社に投資しましたね。被害についてインタビューを受けてくれたら、被害額の半分が戻る」などと電話があった。
配信2018年1月15日 09時00分
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018011590085645.html