https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171220/k10011264961000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_004
12月20日 5時12分
アメリカのトランプ政権が、経済政策の柱として公約に掲げてきた税制改革の法案が議会下院で可決されました。法人税率の引き下げなどが盛り込まれた法案は、今週中に成立する見通しで、市場関係者の間では経済成長を後押しすると期待が高まっています。
トランプ政権はレーガン政権以来、およそ30年ぶりの歴史的な減税を行うとして、大規模な税制改革の実施を公約に掲げてきました。
これを受けて、与党・共和党は先週、法人税率を今の35%から21%に引き下げるほか、個人の所得税の最高税率を39.6%から37%に引き下げることなどを盛り込んだ新たな法案をまとめました。
この法案を議会下院が19日、採決した結果、賛成227票、反対203票の賛成多数で可決されました。このあと議会上院でも可決され、今週中に法案は成立する見通しです。
トランプ政権は、来月で発足から1年がたちますが、これまで公約に掲げた重要法案を1つも成立させられていないことから、今回の税制改革をてこに低迷する支持率を回復させたい考えです。
今回の税制改革に対して、市場関係者の間では法人税の大幅な減税が、経済成長を後押しすると期待が高まっています。ただ国民の間では、財政赤字を拡大してまで、企業や富裕層に対して減税する必要はないと反発する意見も多く、トランプ政権の追い風になるのか注目されます。
トランプ政権の税制改革とは
トランプ政権は、レーガン政権以来の歴史的な減税を目指し、税制改革を経済政策の柱として公約に掲げてきました。
焦点となっていた法人税について、当初、税率を今の35%から15%まで引き下げる方針が示されていましたが、最終的に引き下げ幅を縮小し21%になりました。アメリカの法人税を州の法人税も加えて計算すると、カリフォルニア州の場合で、今の40.75%から27.98%に引き下げられることになります。これまでアメリカの法人税は、先進国でも高い水準でしたが、今回の改正で、29%余りの日本やドイツを一気に抜き去ることになり、今後、大企業の誘致に向けて有利に働くことが予想されます。
法案には、アメリカ企業が海外の子会社から受け取った配当金に課税しない措置も盛り込まれていて、280兆円とも言われる海外にたまった資金を国内に還流させることで、企業の投資などが活発になる効果が期待されています。
また、個人の所得税の税率も見直し、最高税率は今の39.6%から37%に引き下げられるほか、子育て世帯を支援する税制の拡充なども盛り込まれました。
ただ、大幅な減税に伴って、今後10年間で、1兆4500億ドル、160兆円以上財政赤字が拡大すると見込まれていて、アメリカ国内では減税の効果を疑問視する声も上がっています。
法案成立までの経緯
トランプ大統領は、大統領選挙の公約で、「レーガン政権以来の大幅減税を実現する」として、先進国の中でも高い法人税の税率を今の35%から15%に引き下げることを訴えていました。
その一方で、減税に必要な財源を確保するため、企業が物資などを輸入する際にかかる税金を重くする案を検討していました。しかし、ことし4月に公表された税制改革の案には、産業界の反対で、この税金を重くする案は盛り込まれなかったため、税収が減ることによる財政赤字の拡大を懸念する声が高まりました。
このため、政権内では、法人税率の引き下げ幅を当初の15%から20%に縮小する案が浮上し、トランプ大統領もこれを容認しました。そして、先月には議会下院が、今月には議会上院が、それぞれ異なる法案を可決し、与党・共和党は一本化に向けた作業を進めていました。
その結果、財政赤字の拡大に歯止めをかける必要があるとして、法人税率の引き下げ幅は20%から21%に縮小され、当初の案からは後退を余儀なくされました。
12月20日 5時12分
アメリカのトランプ政権が、経済政策の柱として公約に掲げてきた税制改革の法案が議会下院で可決されました。法人税率の引き下げなどが盛り込まれた法案は、今週中に成立する見通しで、市場関係者の間では経済成長を後押しすると期待が高まっています。
トランプ政権はレーガン政権以来、およそ30年ぶりの歴史的な減税を行うとして、大規模な税制改革の実施を公約に掲げてきました。
これを受けて、与党・共和党は先週、法人税率を今の35%から21%に引き下げるほか、個人の所得税の最高税率を39.6%から37%に引き下げることなどを盛り込んだ新たな法案をまとめました。
この法案を議会下院が19日、採決した結果、賛成227票、反対203票の賛成多数で可決されました。このあと議会上院でも可決され、今週中に法案は成立する見通しです。
トランプ政権は、来月で発足から1年がたちますが、これまで公約に掲げた重要法案を1つも成立させられていないことから、今回の税制改革をてこに低迷する支持率を回復させたい考えです。
今回の税制改革に対して、市場関係者の間では法人税の大幅な減税が、経済成長を後押しすると期待が高まっています。ただ国民の間では、財政赤字を拡大してまで、企業や富裕層に対して減税する必要はないと反発する意見も多く、トランプ政権の追い風になるのか注目されます。
トランプ政権の税制改革とは
トランプ政権は、レーガン政権以来の歴史的な減税を目指し、税制改革を経済政策の柱として公約に掲げてきました。
焦点となっていた法人税について、当初、税率を今の35%から15%まで引き下げる方針が示されていましたが、最終的に引き下げ幅を縮小し21%になりました。アメリカの法人税を州の法人税も加えて計算すると、カリフォルニア州の場合で、今の40.75%から27.98%に引き下げられることになります。これまでアメリカの法人税は、先進国でも高い水準でしたが、今回の改正で、29%余りの日本やドイツを一気に抜き去ることになり、今後、大企業の誘致に向けて有利に働くことが予想されます。
法案には、アメリカ企業が海外の子会社から受け取った配当金に課税しない措置も盛り込まれていて、280兆円とも言われる海外にたまった資金を国内に還流させることで、企業の投資などが活発になる効果が期待されています。
また、個人の所得税の税率も見直し、最高税率は今の39.6%から37%に引き下げられるほか、子育て世帯を支援する税制の拡充なども盛り込まれました。
ただ、大幅な減税に伴って、今後10年間で、1兆4500億ドル、160兆円以上財政赤字が拡大すると見込まれていて、アメリカ国内では減税の効果を疑問視する声も上がっています。
法案成立までの経緯
トランプ大統領は、大統領選挙の公約で、「レーガン政権以来の大幅減税を実現する」として、先進国の中でも高い法人税の税率を今の35%から15%に引き下げることを訴えていました。
その一方で、減税に必要な財源を確保するため、企業が物資などを輸入する際にかかる税金を重くする案を検討していました。しかし、ことし4月に公表された税制改革の案には、産業界の反対で、この税金を重くする案は盛り込まれなかったため、税収が減ることによる財政赤字の拡大を懸念する声が高まりました。
このため、政権内では、法人税率の引き下げ幅を当初の15%から20%に縮小する案が浮上し、トランプ大統領もこれを容認しました。そして、先月には議会下院が、今月には議会上院が、それぞれ異なる法案を可決し、与党・共和党は一本化に向けた作業を進めていました。
その結果、財政赤字の拡大に歯止めをかける必要があるとして、法人税率の引き下げ幅は20%から21%に縮小され、当初の案からは後退を余儀なくされました。