独二大政党 政権協議入り 難民・社会保障、溝深く
ドイツ政局 ヨーロッパ 2017/12/14 20:50
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2464399014122017FF2000/
【フランクフルト=石川潤】ドイツのメルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党、ドイツ社会民主党(SPD)の政権協議が13日始まった。
大連立で一致できるかが焦点だが、閣外協力などの緩やかな連携を探る動きもある。欧州統合や難民問題、社会保障などの政策の溝は深く、
交渉が決裂すれば再選挙に突入するリスクがある。
メルケル氏とSPDのシュルツ党首らが13日夜(日本時間14日未明)に会談した。CDU・CSU側が大連立政権を目指した本格的な交渉に入るように呼びかけた。
SPDは15日の幹部会で今後の方針を決める。メルケル氏が当初目指した3党連立交渉の決裂から1カ月近く、
ようやく新たな政権協議が始まったが、楽観ムードは薄い。
連立合意書には一部のテーマだけ盛り込んだらどうか――。大連立への慎重論が根強いSPDでは、
より緩やかな連立を目指す新たな政権の枠組み案が浮上している。一部の重要政策だけを合意文書に盛り込み、
残りの政策は国会での議論に委ねる。従来の大連立と閣外協力の中間の「部分連立」ともいえる案だ。
一方、CDU・CSUは「大連立か否かの二択だ」(幹部)とし、いいとこ取りをするような提案には応じられないという立場をとる。
大連立への道のりは波乱含みなのは、政策に大きな違いがあるためだ。両党はこれまでも大連立を組んできたが、
9月の連邦議会選挙では改めて自分たちの主張を掲げて闘った。保守のCDU・CSUと中道左派のSPDの政策の擦り合わせは簡単ではない。
SPDのシュルツ氏は2025年までに欧州連合(EU)を欧州合衆国に発展させると唱えるが、CDU・CSUの視線は冷ややかだ。
マクロン仏大統領が進めるユーロ圏改革に部分的に協力することはあっても、ドイツの財政負担につながりかねない政策には慎重というのが基本姿勢だ。
難民政策では、CDU・CSUが年間の流入を20万人までに抑える方針を掲げ、難民の家族の受け入れには厳しい立場をとる。
一方でSPDは上限数値の設定に反対し、難民の家族の受け入れにも比較的寛容だ。
税・社会保障政策でも隔たりがある。減税の方向では一致するものの、SPDは富裕層への課税を強化し、
低・中所得者の負担を大きく減らす案を提案。高齢者の貧困をなくすための年金改革や医療サービスの不公平を解消する医療制度改革なども掲げ、
自己責任を重んじるCDU・CSUは警戒を強めている。
大連立政権に向けた交渉を進めることで一致できれば、年明けから本格的な交渉が始まる。
SPDは連立入りの是非を問う党員投票を最後に実施する方針だ。
ただ両党とも9月の連邦議会選で大幅に議席を落とし、大胆な譲歩に応じるだけの余裕がない。
両党内には政策を曲げてまで大連立を組むべきではないとの空気も漂う。交渉が決裂すれば安定政権は難しくなり、
メルケル氏による少数与党政権か再選挙が視野に入る。
ドイツ政局 ヨーロッパ 2017/12/14 20:50
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2464399014122017FF2000/
【フランクフルト=石川潤】ドイツのメルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党、ドイツ社会民主党(SPD)の政権協議が13日始まった。
大連立で一致できるかが焦点だが、閣外協力などの緩やかな連携を探る動きもある。欧州統合や難民問題、社会保障などの政策の溝は深く、
交渉が決裂すれば再選挙に突入するリスクがある。
メルケル氏とSPDのシュルツ党首らが13日夜(日本時間14日未明)に会談した。CDU・CSU側が大連立政権を目指した本格的な交渉に入るように呼びかけた。
SPDは15日の幹部会で今後の方針を決める。メルケル氏が当初目指した3党連立交渉の決裂から1カ月近く、
ようやく新たな政権協議が始まったが、楽観ムードは薄い。
連立合意書には一部のテーマだけ盛り込んだらどうか――。大連立への慎重論が根強いSPDでは、
より緩やかな連立を目指す新たな政権の枠組み案が浮上している。一部の重要政策だけを合意文書に盛り込み、
残りの政策は国会での議論に委ねる。従来の大連立と閣外協力の中間の「部分連立」ともいえる案だ。
一方、CDU・CSUは「大連立か否かの二択だ」(幹部)とし、いいとこ取りをするような提案には応じられないという立場をとる。
大連立への道のりは波乱含みなのは、政策に大きな違いがあるためだ。両党はこれまでも大連立を組んできたが、
9月の連邦議会選挙では改めて自分たちの主張を掲げて闘った。保守のCDU・CSUと中道左派のSPDの政策の擦り合わせは簡単ではない。
SPDのシュルツ氏は2025年までに欧州連合(EU)を欧州合衆国に発展させると唱えるが、CDU・CSUの視線は冷ややかだ。
マクロン仏大統領が進めるユーロ圏改革に部分的に協力することはあっても、ドイツの財政負担につながりかねない政策には慎重というのが基本姿勢だ。
難民政策では、CDU・CSUが年間の流入を20万人までに抑える方針を掲げ、難民の家族の受け入れには厳しい立場をとる。
一方でSPDは上限数値の設定に反対し、難民の家族の受け入れにも比較的寛容だ。
税・社会保障政策でも隔たりがある。減税の方向では一致するものの、SPDは富裕層への課税を強化し、
低・中所得者の負担を大きく減らす案を提案。高齢者の貧困をなくすための年金改革や医療サービスの不公平を解消する医療制度改革なども掲げ、
自己責任を重んじるCDU・CSUは警戒を強めている。
大連立政権に向けた交渉を進めることで一致できれば、年明けから本格的な交渉が始まる。
SPDは連立入りの是非を問う党員投票を最後に実施する方針だ。
ただ両党とも9月の連邦議会選で大幅に議席を落とし、大胆な譲歩に応じるだけの余裕がない。
両党内には政策を曲げてまで大連立を組むべきではないとの空気も漂う。交渉が決裂すれば安定政権は難しくなり、
メルケル氏による少数与党政権か再選挙が視野に入る。