https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171203-00000014-mai-sctch
小惑星探査機「はやぶさ2」が打ち上げられ、3日で3年になった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、はやぶさ2は地球と火星の間の軌道にある小惑星「リュウグウ」を目指して順調に飛行中で、リュウグウ到着まで600万キロあまりとなっている。日本ではやぶさ2が持ち帰る予定の試料分析に関する国際会議が開かれるのに合わせ、2日に相模原市で開かれた講演会で、海外の研究者がはやぶさ2への期待を語った。参加者の一人は「太陽系の歴史を知るために、目的の天体から直接試料を持ち帰るミッションの黄金期を迎えた」と話す。
◇地球や生命の起源につながる貴重な情報に期待
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の吉川真・はやぶさ2ミッションマネジャーによると、はやぶさ2は現在、順調な飛行をしているという。これまでの観測によると、リュウグウは直径約900メートルで、炭素や水を含む小惑星と考えられる。はやぶさ2の先輩、探査機「はやぶさ」が訪れた小惑星イトカワは、水などをあまり含まないタイプだったため、はやぶさ2の探査によって地球の生命や水の起源に迫る可能性があると期待されている。
講演会には、欧州の彗星(すいせい)探査機「ロゼッタ」に取り組んだパリ天文台のアントネラ・バルッチさん、地球の水の起源に関する研究に取り組む米航空宇宙局ジョンソン宇宙センターのマイケル・ゾレンスキーさん、はやぶさ2に搭載されている着陸機「マスコット」の開発に携わった仏コートダジュール天文台のパトリック・ミッシェルさんが出席した。
バルッチさんが取り組んだ探査機「ロゼッタ」によるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星探査では、詳細な対象天体の観測や、着陸機「フィラエ」の運用など、はやぶさ2と共通するものも多い。バルッチさんはロゼッタを振り返り、「はやぶさ2は目的の天体(小惑星リュウグウ)の試料を地球へ持ち帰るという点で、ロゼッタよりも優れた探査計画だ。はやぶさ2が帰還する予定の2020年を、地球や生命の起源につながる貴重な情報を持ち帰る時期として、世界中の研究者が待っている」と話した。
◇小惑星から試料を持ち帰るミッションは黄金期へ
地球に存在する水の由来を研究するゾレンスキーさんは、これまでの隕石(いんせき)や宇宙で採取した物質の分析結果を踏まえ、「隕石からも太陽系天体の歴史に関する興味深い結果が得られているが、それだけでは分からないことも多い。私は、はやぶさ2が行くリュウグウに水や有機物を多く含む物質があると確信しており、小惑星などの天体から試料を持ち帰るミッションはいよいよ黄金期を迎えると思う」と話した。
はやぶさ2に搭載されている小惑星への着陸機「マスコット」の開発に携わったミッシェルさんは、マスコットが重力が非常に少ないリュウグウへ着地する難しさや、はやぶさ2が挑む小惑星表面に穴を作るために爆薬を打ち込むミッションについて、「宇宙空間での衝突の実態を知ることは、太陽系形成初期の状況を知るために大きな意味がある。さらに、はやぶさ2計画の魅力は、太陽系ができたばかりのころの物質を持ち帰れる可能性があることだ」と話した。
はやぶさ2は2014年12月に打ち上げられ、これまでは大きなトラブルはなく、順調な飛行を続けている。15年にリュウグウへの軌道に乗るため地球スイングバイを実施し、18年6〜7月には小惑星リュウグウへ到着する予定だ。【永山悦子】
小惑星探査機「はやぶさ2」が打ち上げられ、3日で3年になった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、はやぶさ2は地球と火星の間の軌道にある小惑星「リュウグウ」を目指して順調に飛行中で、リュウグウ到着まで600万キロあまりとなっている。日本ではやぶさ2が持ち帰る予定の試料分析に関する国際会議が開かれるのに合わせ、2日に相模原市で開かれた講演会で、海外の研究者がはやぶさ2への期待を語った。参加者の一人は「太陽系の歴史を知るために、目的の天体から直接試料を持ち帰るミッションの黄金期を迎えた」と話す。
◇地球や生命の起源につながる貴重な情報に期待
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の吉川真・はやぶさ2ミッションマネジャーによると、はやぶさ2は現在、順調な飛行をしているという。これまでの観測によると、リュウグウは直径約900メートルで、炭素や水を含む小惑星と考えられる。はやぶさ2の先輩、探査機「はやぶさ」が訪れた小惑星イトカワは、水などをあまり含まないタイプだったため、はやぶさ2の探査によって地球の生命や水の起源に迫る可能性があると期待されている。
講演会には、欧州の彗星(すいせい)探査機「ロゼッタ」に取り組んだパリ天文台のアントネラ・バルッチさん、地球の水の起源に関する研究に取り組む米航空宇宙局ジョンソン宇宙センターのマイケル・ゾレンスキーさん、はやぶさ2に搭載されている着陸機「マスコット」の開発に携わった仏コートダジュール天文台のパトリック・ミッシェルさんが出席した。
バルッチさんが取り組んだ探査機「ロゼッタ」によるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星探査では、詳細な対象天体の観測や、着陸機「フィラエ」の運用など、はやぶさ2と共通するものも多い。バルッチさんはロゼッタを振り返り、「はやぶさ2は目的の天体(小惑星リュウグウ)の試料を地球へ持ち帰るという点で、ロゼッタよりも優れた探査計画だ。はやぶさ2が帰還する予定の2020年を、地球や生命の起源につながる貴重な情報を持ち帰る時期として、世界中の研究者が待っている」と話した。
◇小惑星から試料を持ち帰るミッションは黄金期へ
地球に存在する水の由来を研究するゾレンスキーさんは、これまでの隕石(いんせき)や宇宙で採取した物質の分析結果を踏まえ、「隕石からも太陽系天体の歴史に関する興味深い結果が得られているが、それだけでは分からないことも多い。私は、はやぶさ2が行くリュウグウに水や有機物を多く含む物質があると確信しており、小惑星などの天体から試料を持ち帰るミッションはいよいよ黄金期を迎えると思う」と話した。
はやぶさ2に搭載されている小惑星への着陸機「マスコット」の開発に携わったミッシェルさんは、マスコットが重力が非常に少ないリュウグウへ着地する難しさや、はやぶさ2が挑む小惑星表面に穴を作るために爆薬を打ち込むミッションについて、「宇宙空間での衝突の実態を知ることは、太陽系形成初期の状況を知るために大きな意味がある。さらに、はやぶさ2計画の魅力は、太陽系ができたばかりのころの物質を持ち帰れる可能性があることだ」と話した。
はやぶさ2は2014年12月に打ち上げられ、これまでは大きなトラブルはなく、順調な飛行を続けている。15年にリュウグウへの軌道に乗るため地球スイングバイを実施し、18年6〜7月には小惑星リュウグウへ到着する予定だ。【永山悦子】