神奈川県座間市のアパートの一室から9人の遺体が見つかった事件。被害者の一人とみられている群馬県邑楽(おうら)町の高校1年の女子生徒(15)の足取りは、8月28日夜の小田急線片瀬江ノ島駅で途絶えていた。駅構内のトイレから携帯電話が見つかったが、誰が何のために置いたのか、あるいは捨てたのか。そして、なぜ江ノ島に来たのか。謎は深まっている。【金森崇之、春増翔太】
◇消えた足取り
竜宮城をイメージした駅舎の片瀬江ノ島駅(神奈川県藤沢市)。白地に黒ストライプの半袖姿の女子生徒が同駅の改札を出たのは8月28日午後7時20分のことだった。小田急江ノ島線の終着駅。日没はとうに過ぎていた。
女子生徒はこの日、ツイッターに「休む」と書き込み、夏休み明けの始業式を欠席していた。
翌29日に家族から行方不明者の届け出を受けた群馬県警は、捜査で同駅を割り出し、現地に捜査員を派遣。防犯カメラのチェックや、聞き込み捜査を行った。駅前の観光案内所の女性は「8月下旬ごろ、私服の警察官が来て女の子の写真を見せられた。その時は家出かな、と思ったのですが」と記憶をたどる。
江ノ島電鉄に向かう通りに面した商店主は「この町内には30台のカメラもあるが、どこにも映っていなかったようだ」と話した。
「江ノ電」に乗った様子もなく、江ノ島に立ち入った形跡もない。捜査員は改札を出る姿は確認できたが、女子生徒の足取りはここで途絶えた。
◇残された痕跡
行方不明届が出された29日、片瀬江ノ島駅の構内にあるトイレに女子生徒の携帯電話が落ちているのを駅利用者が見つけた。
女子生徒が片瀬江ノ島駅に来る前に、約25キロ離れた相模大野駅近くで黒っぽいTシャツを購入していたことも判明した。
群馬、相模大野、江ノ島。転々と残された痕跡。被害者とみられる女子生徒の存在が再び浮上したのは、失踪から約2カ月の10月30日。相模大野駅から2駅の相武台前駅に近い白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=のアパートの一室から9人の遺体が見つかった。その一人が女子生徒である可能性が浮上した。
◇深まる謎
「東京の方に買い物に行くことはあったかもしれないが、江ノ島周辺に土地勘はないはず」。同級生や関係者への取材からは、女子生徒と江ノ島を結ぶ線は見えてこない。
同じく被害者とみられている神奈川県厚木市の女性(21)の携帯電話も江ノ島周辺のトイレで見つかっている。女子生徒はツイッターを通じて知り合ったとみられる白石容疑者と江ノ島で待ち合わせたのか。
ただ白石容疑者は「江ノ島には行っていない」と供述しているという。防犯カメラにも女子生徒が一人でいる姿しか確認されなかった。
白石容疑者は女性たちに携帯を捨てさせることで、江ノ島での自殺を装わせていた可能性がある。またツイッターで「周囲との関係を絶たないと決心が鈍る」などと指南しており、家族や知人との連絡を取れないようにしたとも考えられる。
女子生徒はどうやって江ノ島から現場アパートに向かったのか。その手段は判然としない。車の使用も想定されたが、捜査関係者は否定的だ。一連の事件で車が使われた形跡はなく、白石容疑者はペーパードライバーだったという。実際、遺体の遺棄に使われたクーラーボックスを購入した際、3箱まとめて自転車で運んでいたという。
捜査幹部は語る。「事件には未解明の部分が多く、供述も揺れている。長い捜査になるだろうが、事実を積み上げていくしかない」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171109-00000025-mai-soci
◇消えた足取り
竜宮城をイメージした駅舎の片瀬江ノ島駅(神奈川県藤沢市)。白地に黒ストライプの半袖姿の女子生徒が同駅の改札を出たのは8月28日午後7時20分のことだった。小田急江ノ島線の終着駅。日没はとうに過ぎていた。
女子生徒はこの日、ツイッターに「休む」と書き込み、夏休み明けの始業式を欠席していた。
翌29日に家族から行方不明者の届け出を受けた群馬県警は、捜査で同駅を割り出し、現地に捜査員を派遣。防犯カメラのチェックや、聞き込み捜査を行った。駅前の観光案内所の女性は「8月下旬ごろ、私服の警察官が来て女の子の写真を見せられた。その時は家出かな、と思ったのですが」と記憶をたどる。
江ノ島電鉄に向かう通りに面した商店主は「この町内には30台のカメラもあるが、どこにも映っていなかったようだ」と話した。
「江ノ電」に乗った様子もなく、江ノ島に立ち入った形跡もない。捜査員は改札を出る姿は確認できたが、女子生徒の足取りはここで途絶えた。
◇残された痕跡
行方不明届が出された29日、片瀬江ノ島駅の構内にあるトイレに女子生徒の携帯電話が落ちているのを駅利用者が見つけた。
女子生徒が片瀬江ノ島駅に来る前に、約25キロ離れた相模大野駅近くで黒っぽいTシャツを購入していたことも判明した。
群馬、相模大野、江ノ島。転々と残された痕跡。被害者とみられる女子生徒の存在が再び浮上したのは、失踪から約2カ月の10月30日。相模大野駅から2駅の相武台前駅に近い白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=のアパートの一室から9人の遺体が見つかった。その一人が女子生徒である可能性が浮上した。
◇深まる謎
「東京の方に買い物に行くことはあったかもしれないが、江ノ島周辺に土地勘はないはず」。同級生や関係者への取材からは、女子生徒と江ノ島を結ぶ線は見えてこない。
同じく被害者とみられている神奈川県厚木市の女性(21)の携帯電話も江ノ島周辺のトイレで見つかっている。女子生徒はツイッターを通じて知り合ったとみられる白石容疑者と江ノ島で待ち合わせたのか。
ただ白石容疑者は「江ノ島には行っていない」と供述しているという。防犯カメラにも女子生徒が一人でいる姿しか確認されなかった。
白石容疑者は女性たちに携帯を捨てさせることで、江ノ島での自殺を装わせていた可能性がある。またツイッターで「周囲との関係を絶たないと決心が鈍る」などと指南しており、家族や知人との連絡を取れないようにしたとも考えられる。
女子生徒はどうやって江ノ島から現場アパートに向かったのか。その手段は判然としない。車の使用も想定されたが、捜査関係者は否定的だ。一連の事件で車が使われた形跡はなく、白石容疑者はペーパードライバーだったという。実際、遺体の遺棄に使われたクーラーボックスを購入した際、3箱まとめて自転車で運んでいたという。
捜査幹部は語る。「事件には未解明の部分が多く、供述も揺れている。長い捜査になるだろうが、事実を積み上げていくしかない」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171109-00000025-mai-soci