がん検診
手順順守の市区町村は全国で45%
毎日新聞:2017年9月7日 02時36分
http://mainichi.jp/articles/20170907/k00/00m/040/166000c
「実施した」と答えた市区町村の割合
■「仕様書に従わない検診、死亡率減らせぬ可能性」
がん検診が正しく行われるよう、細かな手順などを記した「仕様書」に基づき検診を実施している市区町村は全国で約45%と半数に満たないことが国立がん研究センターの調査で分かった。
6日、同センターが結果を都道府県に通知した。
市区町村の検診の実態が公表されるのは初めて。
専門家は「仕様書に従わない検診では検診の質が確保できず、成果が上がらない可能性がある」と警告している。
国は胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部(けいぶ)の五つのがんについて科学的に根拠のある方法や間隔でのがん検診を推奨している。
2008年には検診の精度管理のため、「胃がんのバリウムの濃度」「肺がんの胸部エックス線撮影法」などの詳細な検査方法や、必要な人を精密検査に導く仕組みなど、仕様書に明記すべき管理項目を定めた。
検診を実施する市区町村は、地域の医師会や検診事業者に住民検診(集団検診)を委託する際、これらを盛り込んだ仕様書を作成し、実施機関を選定。
その内容に沿った検診を徹底するよう求められている。
調査は15年度に都道府県を通じ、全1737市区町村(当時)を対象に実施。
五つのがん検診について、全市区町村から回答が得られたのは7県。
平均回答率は約80%だった。
その結果、検診の質を確保するため仕様書に「必須項目を明記した」と回答した市区町村は、いずれのがんも40%台だった。
仕様書に基づいて委託検診機関を選んだ市区町村は60%台。
また、検診機関が仕様書の内容を順守したか確認した、と回答した市区町村は3割程度にとどまった。
仕様書通りの検診実施率が低い理由について取材すると「検診受診率の向上に意識が向いていた」(北海道)、「『暗黙の了解』で検診機関に任せきりにした」(秋田県)などの回答があった。
国立がん研究センター検診研究部の斎藤博部長は
「がん検診は、がんの疑いがある人を見つけ出し、精密検査を受けてもらうことで初めて成果が期待できる。
仕様書の内容が徹底されない検診では十分にがんを見つけられず、がん死亡率を減らせない可能性が高い」と指摘する。
手順順守の市区町村は全国で45%
毎日新聞:2017年9月7日 02時36分
http://mainichi.jp/articles/20170907/k00/00m/040/166000c
「実施した」と答えた市区町村の割合
■「仕様書に従わない検診、死亡率減らせぬ可能性」
がん検診が正しく行われるよう、細かな手順などを記した「仕様書」に基づき検診を実施している市区町村は全国で約45%と半数に満たないことが国立がん研究センターの調査で分かった。
6日、同センターが結果を都道府県に通知した。
市区町村の検診の実態が公表されるのは初めて。
専門家は「仕様書に従わない検診では検診の質が確保できず、成果が上がらない可能性がある」と警告している。
国は胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部(けいぶ)の五つのがんについて科学的に根拠のある方法や間隔でのがん検診を推奨している。
2008年には検診の精度管理のため、「胃がんのバリウムの濃度」「肺がんの胸部エックス線撮影法」などの詳細な検査方法や、必要な人を精密検査に導く仕組みなど、仕様書に明記すべき管理項目を定めた。
検診を実施する市区町村は、地域の医師会や検診事業者に住民検診(集団検診)を委託する際、これらを盛り込んだ仕様書を作成し、実施機関を選定。
その内容に沿った検診を徹底するよう求められている。
調査は15年度に都道府県を通じ、全1737市区町村(当時)を対象に実施。
五つのがん検診について、全市区町村から回答が得られたのは7県。
平均回答率は約80%だった。
その結果、検診の質を確保するため仕様書に「必須項目を明記した」と回答した市区町村は、いずれのがんも40%台だった。
仕様書に基づいて委託検診機関を選んだ市区町村は60%台。
また、検診機関が仕様書の内容を順守したか確認した、と回答した市区町村は3割程度にとどまった。
仕様書通りの検診実施率が低い理由について取材すると「検診受診率の向上に意識が向いていた」(北海道)、「『暗黙の了解』で検診機関に任せきりにした」(秋田県)などの回答があった。
国立がん研究センター検診研究部の斎藤博部長は
「がん検診は、がんの疑いがある人を見つけ出し、精密検査を受けてもらうことで初めて成果が期待できる。
仕様書の内容が徹底されない検診では十分にがんを見つけられず、がん死亡率を減らせない可能性が高い」と指摘する。