宇宙空間に誕生したばかりの巨大な星の赤ちゃんが、ガスの渦を噴き出しながら成長していく様子を、国立天文台などの研究グループが、世界最大の電波望遠鏡を使って観測することに世界で初めて成功しました。巨大な星の誕生の謎に迫る重要な手がかりになると期待されます。
国立天文台などのグループが観測に成功したのは、地球からおよそ1400光年の距離にあるオリオン大星雲の中の巨大な赤ちゃん星の成長の様子です。
南米チリにある世界最大の電波望遠鏡、「アルマ」を使い、これまでの方法では捉えられなかった宇宙空間の微弱な電波を捉えることで、巨大な赤ちゃん星から渦巻き状のガスが噴き出す様子を確認できたということです。
巨大な赤ちゃん星は、宇宙空間のチリなどが回転しながら集まり、作られていきますが、巨大化によって遠心力が強くなり、チリが吹き飛ばされないよう渦巻き状にガスを噴き出すと、理論上推測されていたものの、実際に観測で確認できたのは世界で初めてです。
重さが太陽の何倍にもなる巨大な星は、その一生の最期に、超新星爆発を起こして未知の物質を生んだり、ブラックホールになったりするなど、宇宙の進化にも影響を及ぼすと考えられていますが、どのように誕生し成長するのか、その多くは謎のままです。
研究グループの代表の廣田朋也国立天文台助教は、「星の誕生に関わるガスの動きが鮮明に観測できたのは驚きだ。今後、大きな星が生まれるメカニズムをより詳しく調べ宇宙の成り立ちの解明にもつなげたい」と話しています。
■巨大な星の一生は
巨大な星=大質量星は、重さが太陽の8倍以上と定義されていて内部の圧力が高く、核融合が早く進むため、たとえば太陽の寿命がおよそ100億年なのに対し、100万年程度の寿命と考えられていて、比較的短期間に燃え尽きてしまうのが特徴です。
またその一生を終える際、超新星爆発を起こし、ブラックホールや中性子星と呼ばれる極めて強い重力を持つ星になり、宇宙空間にガスをばらまいたり、新たな元素を誕生させたりすることから、宇宙の環境を大きく変え、宇宙の進化とも深く関わってきたと考えられています。
宇宙で最初の星も巨大な星=大質量星だったと考えられていて、その性質を知ることは宇宙の成り立ちを解明するうえでも重要な手がかりになると考えられています。
今回、研究グループが観測した、「オリオンKL電波源I」と呼ばれる巨大な星は、誕生してから10万年ほどと新しく、太陽のおよそ10万倍の明るさで、地球から1400光年と比較的近い場所にあることから、巨大な星の性質を知るうえで、重要な天体として、世界中で観測が進められています。
■「アルマ」で宇宙の謎が明らかに
世界最大の電波望遠鏡「アルマ」は、従来の望遠鏡では捉えられきれなかった微弱な電波を捉えることで、宇宙空間のさまざまな現象に迫ろうと、日米欧の各国が1000億円の費用をかけて建設しました。
南米・チリの標高5000メートルの高地に設置されたパラボラアンテナ66台が連動し、一つの巨大な電波望遠鏡のように働きます。
本格的な運用は、4年前の2013年からですが、生命のルーツをたどる発見など多くの成果を生んでいます。
2014年には地球から455光年離れた、惑星の周辺で、生命にとって不可欠な「アミノ酸」によく似た有機物の「アセトニトリル」を発見。
また、「酸素」が、宇宙が誕生してまもない130億年余り前に存在していたことも、去年、観測で明らかにしました。
さらに、このアルマ望遠鏡は、非常に強い重力で光を閉じ込めてしまうため人類がこれまでその姿を見たことがない、「ブラックホール」を画像でとらえようという人類初のプロジェクトでも使われています。
ことし4月には、世界のほかの5か所にある電波望遠鏡と同時にブラックホールの観測を行っていて今後、データの解析によってその姿を初めてとらえることができるか、世界中の期待が高まっています。
6月13日 18時25分 (動画あり)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170613/k10011016411000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_001
国立天文台などのグループが観測に成功したのは、地球からおよそ1400光年の距離にあるオリオン大星雲の中の巨大な赤ちゃん星の成長の様子です。
南米チリにある世界最大の電波望遠鏡、「アルマ」を使い、これまでの方法では捉えられなかった宇宙空間の微弱な電波を捉えることで、巨大な赤ちゃん星から渦巻き状のガスが噴き出す様子を確認できたということです。
巨大な赤ちゃん星は、宇宙空間のチリなどが回転しながら集まり、作られていきますが、巨大化によって遠心力が強くなり、チリが吹き飛ばされないよう渦巻き状にガスを噴き出すと、理論上推測されていたものの、実際に観測で確認できたのは世界で初めてです。
重さが太陽の何倍にもなる巨大な星は、その一生の最期に、超新星爆発を起こして未知の物質を生んだり、ブラックホールになったりするなど、宇宙の進化にも影響を及ぼすと考えられていますが、どのように誕生し成長するのか、その多くは謎のままです。
研究グループの代表の廣田朋也国立天文台助教は、「星の誕生に関わるガスの動きが鮮明に観測できたのは驚きだ。今後、大きな星が生まれるメカニズムをより詳しく調べ宇宙の成り立ちの解明にもつなげたい」と話しています。
■巨大な星の一生は
巨大な星=大質量星は、重さが太陽の8倍以上と定義されていて内部の圧力が高く、核融合が早く進むため、たとえば太陽の寿命がおよそ100億年なのに対し、100万年程度の寿命と考えられていて、比較的短期間に燃え尽きてしまうのが特徴です。
またその一生を終える際、超新星爆発を起こし、ブラックホールや中性子星と呼ばれる極めて強い重力を持つ星になり、宇宙空間にガスをばらまいたり、新たな元素を誕生させたりすることから、宇宙の環境を大きく変え、宇宙の進化とも深く関わってきたと考えられています。
宇宙で最初の星も巨大な星=大質量星だったと考えられていて、その性質を知ることは宇宙の成り立ちを解明するうえでも重要な手がかりになると考えられています。
今回、研究グループが観測した、「オリオンKL電波源I」と呼ばれる巨大な星は、誕生してから10万年ほどと新しく、太陽のおよそ10万倍の明るさで、地球から1400光年と比較的近い場所にあることから、巨大な星の性質を知るうえで、重要な天体として、世界中で観測が進められています。
■「アルマ」で宇宙の謎が明らかに
世界最大の電波望遠鏡「アルマ」は、従来の望遠鏡では捉えられきれなかった微弱な電波を捉えることで、宇宙空間のさまざまな現象に迫ろうと、日米欧の各国が1000億円の費用をかけて建設しました。
南米・チリの標高5000メートルの高地に設置されたパラボラアンテナ66台が連動し、一つの巨大な電波望遠鏡のように働きます。
本格的な運用は、4年前の2013年からですが、生命のルーツをたどる発見など多くの成果を生んでいます。
2014年には地球から455光年離れた、惑星の周辺で、生命にとって不可欠な「アミノ酸」によく似た有機物の「アセトニトリル」を発見。
また、「酸素」が、宇宙が誕生してまもない130億年余り前に存在していたことも、去年、観測で明らかにしました。
さらに、このアルマ望遠鏡は、非常に強い重力で光を閉じ込めてしまうため人類がこれまでその姿を見たことがない、「ブラックホール」を画像でとらえようという人類初のプロジェクトでも使われています。
ことし4月には、世界のほかの5か所にある電波望遠鏡と同時にブラックホールの観測を行っていて今後、データの解析によってその姿を初めてとらえることができるか、世界中の期待が高まっています。
6月13日 18時25分 (動画あり)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170613/k10011016411000.html?utm_int=news-culture_contents_list-items_001