世界文化遺産登録を目指している百舌鳥もず古墳群(堺市)の一つで日本最大の大きさを誇る仁徳天皇陵(大山だいせん古墳)の最も内側の周濠しゅうごうの水量が推定で約34万1000立方メートルになることが宮内庁の調査で分かった。
標準的な25メートルプールで約700杯分に相当する。宮内庁は今後、古墳本体の護岸工事を検討しており、「工事に入る前の水抜き作業を円滑に進めるための必要なデータが得られた」としている。
仁徳天皇陵は3重の濠ほりが巡らされ、一番内側の濠が最も水量が多い。ただ、これまで古墳本体(墳丘)の側面を守るための近代的な護岸工事は行われたことがなく、長年の浸食による損傷が懸念される事態になっているという。
同庁は、昨年12月から今年3月にかけ、測量業者に委託して、音波探査機を載せたボートで一番内側の周濠をくまなく巡り、水深などを精密に測る調査を初めて行った。
その結果、この周濠の底はほぼ平らな形状をしており、水深はおおむね約3・5メートルで、約34万1000立方メートルの水をたたえていることが分かった。ただ底にはヘドロが分厚く堆積していると考えられ、周濠の最深部がより深い可能性は否定できないという。
今後、古墳本体の護岸工事を視野に入れた場合、適宜、濠の水を抜く必要があるが、周辺の住宅地などへの影響を最小限にするため、水量の調査が欠かせなかった。
宮内庁の徳田誠志・陵墓調査官は「地元では世界遺産登録に向けた運動が熱心に行われている。陵墓を適切に保全管理するための準備を進めておくことは、そうした動きを考えても重要だ」と話している。
2017年05月31日 17時29分 読売新聞
http://yomiuri.co.jp/culture/20170531-OYT1T50055.html
周濠の浸食で墳丘へのダメージが懸念されている仁徳天皇陵(堺市提供)
標準的な25メートルプールで約700杯分に相当する。宮内庁は今後、古墳本体の護岸工事を検討しており、「工事に入る前の水抜き作業を円滑に進めるための必要なデータが得られた」としている。
仁徳天皇陵は3重の濠ほりが巡らされ、一番内側の濠が最も水量が多い。ただ、これまで古墳本体(墳丘)の側面を守るための近代的な護岸工事は行われたことがなく、長年の浸食による損傷が懸念される事態になっているという。
同庁は、昨年12月から今年3月にかけ、測量業者に委託して、音波探査機を載せたボートで一番内側の周濠をくまなく巡り、水深などを精密に測る調査を初めて行った。
その結果、この周濠の底はほぼ平らな形状をしており、水深はおおむね約3・5メートルで、約34万1000立方メートルの水をたたえていることが分かった。ただ底にはヘドロが分厚く堆積していると考えられ、周濠の最深部がより深い可能性は否定できないという。
今後、古墳本体の護岸工事を視野に入れた場合、適宜、濠の水を抜く必要があるが、周辺の住宅地などへの影響を最小限にするため、水量の調査が欠かせなかった。
宮内庁の徳田誠志・陵墓調査官は「地元では世界遺産登録に向けた運動が熱心に行われている。陵墓を適切に保全管理するための準備を進めておくことは、そうした動きを考えても重要だ」と話している。
2017年05月31日 17時29分 読売新聞
http://yomiuri.co.jp/culture/20170531-OYT1T50055.html
周濠の浸食で墳丘へのダメージが懸念されている仁徳天皇陵(堺市提供)