・「盛大な祝い」を IS最高指導者殺害に安堵するモスル住民
【モスルAFP=時事】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、イラク北部モスルを制圧してから5年、米国はISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者の殺害を発表した。2017年までの3年間、ISの支配にあったモスルの住民はこの知らせを受けて安堵(あんど)しており、一部からは「盛大なパーティー」を開いて祝うべきとの声も上がっている。
≪写真はイラク・モスルで、ISによって破壊されたミナレット(右≫とヌーリ・モスク)
https://img.sp.m.jiji.com/image/out/AFP039291_00.pre
バグダディ容疑者は2014年6月、モスルでシリア・イラク両国にまたがるIS支配地域での「カリフ制国家」樹立を宣言した。以降、一連の暴力が始まり、数千人が死亡、数万人が避難を余儀なくされ、モスルを含む域内の町は破壊された。
ドナルド・トランプ米大統領は25日、米軍の特殊部隊によるシリア北西部での急襲作戦でバグダディ容疑者を殺害したと発表した。
モスルに住む37歳の男性は「モスルの人々は盛大なパーティーを開くべきだ」「殺りくを繰り返した犯罪者バグダディは、みんなを虐殺した」と苦々しげに語った。
バグダディ容疑者は1971年、イラクのサマラに生まれた。本名はイブラヒーム・アッワード・アル・バドリーだが、ISで最高指導者まで上り詰める間にアブバクル・バグダディと名乗るようになった。
2014年にISがモスルを制圧するとバグダディ容疑者は初めて公の場に姿を現し、カリフ制国家について言及したのだ。
支配地域でISは、厳格に解釈した「シャリア(イスラム法)」を導入し、音楽や喫煙を禁じた。シャリアに違反したと見なされた場合は、公開斬首など残酷な刑罰を科した。
ある男性(54)は、ISのせいで発作が3回起きたと話し、「自宅を失い、車も燃やされた」と続けた。
またある女性は、バグダディ容疑者によって「日々の生活が地獄と化した」と訴え、「ISの攻撃を受けなかった家はない。虐げられなかった家もない」と述べた。「これはお祭り。彼は全イラク人(の生活)を破壊したのだから、私たちにとってこれはお祭りだ」
■「別の良い知らせを待っていた」
ISのモスル支配は3年間に及んだが、2017年に米軍の支援を受けたイラク軍の猛攻撃によって、モスルは解放された。だが、ISはモスルにひどい傷跡を残した。
モスル近郊、特にISが最後まで抵抗を続けた旧市街での被害がひどく、今でも廃虚となったままだ。ヌーリ・モスクも破壊され、いたるところに落書きされている。隣接するミナレット(塔)も攻撃により吹き飛ばされてしまった。ミナレットは、モスルを象徴する建造物だった。
家々にはまだ不発弾が残っており、住めないほど壊れてしまっているものもある。そのため、避難した住民の大半はまだ戻ってきていない。
他方、イラク国内には約200か所の集団埋葬地がある。埋葬されているのは、ISの犠牲者とみられ、その多くの身元はまだ判明していない。少数派ヤジディー教徒もいまだ数千人が行方不明のままだ。
バッシャール・フサムさん(31)はISの支配を生き延びたが、父親は途中で命を落とした。父親は病気だったが、ISが避難を許さず、フサムさんの目の前で亡くなったという。
フサムさんは、バグダディ容疑者が死んだことはうれしいが、望んでいたようなハッピーエンドではなかったと語る。
「私たちは別の良い知らせを待っていた――私たちの家が再建され、仕事に戻れて、生活を取り戻せるという知らせを期待していた」【翻訳編集AFPBBNews】
関連 :決め手は下着のDNA…バグダディ容疑者の身元特定 クルド潜入工作員が入手
https://www.afpbb.com/articles/-/3251916?act=all
動画:Mosul residents relieved after death of ISIL leader al-Baghdadi
https://www.aljazeera.com/news/2019/10/mosul-residents-relieved-death-isil-leader-al-baghdadi-191028155759152.html
2019-10-29 09:13 JIJI.COM
https://sp.m.jiji.com/article/show/2290711
【モスルAFP=時事】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、イラク北部モスルを制圧してから5年、米国はISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者の殺害を発表した。2017年までの3年間、ISの支配にあったモスルの住民はこの知らせを受けて安堵(あんど)しており、一部からは「盛大なパーティー」を開いて祝うべきとの声も上がっている。
≪写真はイラク・モスルで、ISによって破壊されたミナレット(右≫とヌーリ・モスク)
https://img.sp.m.jiji.com/image/out/AFP039291_00.pre
バグダディ容疑者は2014年6月、モスルでシリア・イラク両国にまたがるIS支配地域での「カリフ制国家」樹立を宣言した。以降、一連の暴力が始まり、数千人が死亡、数万人が避難を余儀なくされ、モスルを含む域内の町は破壊された。
ドナルド・トランプ米大統領は25日、米軍の特殊部隊によるシリア北西部での急襲作戦でバグダディ容疑者を殺害したと発表した。
モスルに住む37歳の男性は「モスルの人々は盛大なパーティーを開くべきだ」「殺りくを繰り返した犯罪者バグダディは、みんなを虐殺した」と苦々しげに語った。
バグダディ容疑者は1971年、イラクのサマラに生まれた。本名はイブラヒーム・アッワード・アル・バドリーだが、ISで最高指導者まで上り詰める間にアブバクル・バグダディと名乗るようになった。
2014年にISがモスルを制圧するとバグダディ容疑者は初めて公の場に姿を現し、カリフ制国家について言及したのだ。
支配地域でISは、厳格に解釈した「シャリア(イスラム法)」を導入し、音楽や喫煙を禁じた。シャリアに違反したと見なされた場合は、公開斬首など残酷な刑罰を科した。
ある男性(54)は、ISのせいで発作が3回起きたと話し、「自宅を失い、車も燃やされた」と続けた。
またある女性は、バグダディ容疑者によって「日々の生活が地獄と化した」と訴え、「ISの攻撃を受けなかった家はない。虐げられなかった家もない」と述べた。「これはお祭り。彼は全イラク人(の生活)を破壊したのだから、私たちにとってこれはお祭りだ」
■「別の良い知らせを待っていた」
ISのモスル支配は3年間に及んだが、2017年に米軍の支援を受けたイラク軍の猛攻撃によって、モスルは解放された。だが、ISはモスルにひどい傷跡を残した。
モスル近郊、特にISが最後まで抵抗を続けた旧市街での被害がひどく、今でも廃虚となったままだ。ヌーリ・モスクも破壊され、いたるところに落書きされている。隣接するミナレット(塔)も攻撃により吹き飛ばされてしまった。ミナレットは、モスルを象徴する建造物だった。
家々にはまだ不発弾が残っており、住めないほど壊れてしまっているものもある。そのため、避難した住民の大半はまだ戻ってきていない。
他方、イラク国内には約200か所の集団埋葬地がある。埋葬されているのは、ISの犠牲者とみられ、その多くの身元はまだ判明していない。少数派ヤジディー教徒もいまだ数千人が行方不明のままだ。
バッシャール・フサムさん(31)はISの支配を生き延びたが、父親は途中で命を落とした。父親は病気だったが、ISが避難を許さず、フサムさんの目の前で亡くなったという。
フサムさんは、バグダディ容疑者が死んだことはうれしいが、望んでいたようなハッピーエンドではなかったと語る。
「私たちは別の良い知らせを待っていた――私たちの家が再建され、仕事に戻れて、生活を取り戻せるという知らせを期待していた」【翻訳編集AFPBBNews】
関連 :決め手は下着のDNA…バグダディ容疑者の身元特定 クルド潜入工作員が入手
https://www.afpbb.com/articles/-/3251916?act=all
動画:Mosul residents relieved after death of ISIL leader al-Baghdadi
https://www.aljazeera.com/news/2019/10/mosul-residents-relieved-death-isil-leader-al-baghdadi-191028155759152.html
2019-10-29 09:13 JIJI.COM
https://sp.m.jiji.com/article/show/2290711