・レイプ被害者、警察に携帯電話を預けないと犯人訴追されない恐れ 英国
イギリスでは今後、レイプ被害者が警察に携帯電話を預けなければ、犯人は起訴されなくなるかもしれない。
英イングランドとウェールズでこのほど、警察が電子メールやSMS、写真などにアクセスするための同意書が導入された。
被害者支援団体からは被害者が名乗り出て来れなくなるとの批判が出ている。
一方、警察と検察当局は、事件の目撃者であっても携帯電話やパソコン、デジタル端末などへのアクセスを強制されないと定めている法律と、事件解明の現実のギャップを埋めるために必要な措置だとしている。
マックス・ヒル公訴局長は、当局はこうしたデジタル機器は「捜査として意味のある」範囲でしか閲覧せず、事件と関連し、厳しい規則を通過した内容だけが裁判で提示されると説明した。
デジタル閲覧同意書はあらゆる刑事事件に適用されるが、特に原告が容疑者を知っていることの多いレイプや性的暴行事件で使われる可能性が最も高いという。
同意書では、被害者が警察のデータへのアクセスを拒否する理由を述べることができるとされている。一方で、「警察への捜査や、検察官が容疑者に公正な裁判を受けさせるために必要なコンテンツの開示に許可を出さない場合、捜査や訴追が継続されない可能性がある」と書かれている。
被害者が証拠隠し、えん罪に
携帯電話などへのアクセスの問題は、容疑者の弁護士に証拠が共有されていなかったことから裁判が中断されたケースが相次ぎ、表面化した。
こうした場合、証拠が早く開示されないことが問題になっている。
学生のリアム・アランさん(22)は、レイプ容疑で起訴されていたが、裁判中に重要な証拠が見つかって不起訴となった。
アランさんにレイプされたと訴えた女性の携帯電話からは、アランさんの人柄をほめたり、愛していると伝えるメッセージが発見された。また、アランさんの弁護士によると、新たな証拠の中には、強制的な性交渉に対する願望の言及があったという。
ロンドン警察庁はこの件をめぐってアランさんに正式に謝罪している。
検察庁はその後、警察と共にイングランドとウェールズで現在進行中のレイプや性的暴行の裁判を調査し、司法システムの欠陥の改善計画を施行した。
被害者にさらなる苦痛
同意書の導入について、被害者団体「ヴィクティム・サポート」のレイチェル・アルメイダ氏は、警察の携帯電話の個人情報へのアクセスを認めれば、被害者の苦痛を増やす可能性が「とても高い」と指摘した。
「レイプや性的暴行はすでに、被害を訴えないケースが非常に多い。今回の発表によって被害者はさらに名乗りづらくなり、受けるべき司法や支援を受けられなくなるだろう」
別の団体「女性の正義センター」は、同意書導入に反対する裁判を行う予定だとしている。すでに少なくとも2人の女性が、データへのアクセスに協力しなかれば不起訴になる可能性があると当局から通達を受けたとして訴訟を起こす予定だ。
市民権保護団体「ビッグ・ブラザー・ウォッチ」は、被害者は「プライバシーと正義の二択を迫られるべきではない」と述べている。
同団体は声明で、「検察庁は被害者をデジタル上で裸にし、所持品検査を行おうとしている。不必要だし、権利を侵害している」と付け加えた。
>>2
(画像)
2019年04月29日 BBC
https://www.bbc.com/japanese/48089946
イギリスでは今後、レイプ被害者が警察に携帯電話を預けなければ、犯人は起訴されなくなるかもしれない。
英イングランドとウェールズでこのほど、警察が電子メールやSMS、写真などにアクセスするための同意書が導入された。
被害者支援団体からは被害者が名乗り出て来れなくなるとの批判が出ている。
一方、警察と検察当局は、事件の目撃者であっても携帯電話やパソコン、デジタル端末などへのアクセスを強制されないと定めている法律と、事件解明の現実のギャップを埋めるために必要な措置だとしている。
マックス・ヒル公訴局長は、当局はこうしたデジタル機器は「捜査として意味のある」範囲でしか閲覧せず、事件と関連し、厳しい規則を通過した内容だけが裁判で提示されると説明した。
デジタル閲覧同意書はあらゆる刑事事件に適用されるが、特に原告が容疑者を知っていることの多いレイプや性的暴行事件で使われる可能性が最も高いという。
同意書では、被害者が警察のデータへのアクセスを拒否する理由を述べることができるとされている。一方で、「警察への捜査や、検察官が容疑者に公正な裁判を受けさせるために必要なコンテンツの開示に許可を出さない場合、捜査や訴追が継続されない可能性がある」と書かれている。
被害者が証拠隠し、えん罪に
携帯電話などへのアクセスの問題は、容疑者の弁護士に証拠が共有されていなかったことから裁判が中断されたケースが相次ぎ、表面化した。
こうした場合、証拠が早く開示されないことが問題になっている。
学生のリアム・アランさん(22)は、レイプ容疑で起訴されていたが、裁判中に重要な証拠が見つかって不起訴となった。
アランさんにレイプされたと訴えた女性の携帯電話からは、アランさんの人柄をほめたり、愛していると伝えるメッセージが発見された。また、アランさんの弁護士によると、新たな証拠の中には、強制的な性交渉に対する願望の言及があったという。
ロンドン警察庁はこの件をめぐってアランさんに正式に謝罪している。
検察庁はその後、警察と共にイングランドとウェールズで現在進行中のレイプや性的暴行の裁判を調査し、司法システムの欠陥の改善計画を施行した。
被害者にさらなる苦痛
同意書の導入について、被害者団体「ヴィクティム・サポート」のレイチェル・アルメイダ氏は、警察の携帯電話の個人情報へのアクセスを認めれば、被害者の苦痛を増やす可能性が「とても高い」と指摘した。
「レイプや性的暴行はすでに、被害を訴えないケースが非常に多い。今回の発表によって被害者はさらに名乗りづらくなり、受けるべき司法や支援を受けられなくなるだろう」
別の団体「女性の正義センター」は、同意書導入に反対する裁判を行う予定だとしている。すでに少なくとも2人の女性が、データへのアクセスに協力しなかれば不起訴になる可能性があると当局から通達を受けたとして訴訟を起こす予定だ。
市民権保護団体「ビッグ・ブラザー・ウォッチ」は、被害者は「プライバシーと正義の二択を迫られるべきではない」と述べている。
同団体は声明で、「検察庁は被害者をデジタル上で裸にし、所持品検査を行おうとしている。不必要だし、権利を侵害している」と付け加えた。
>>2
(画像)
2019年04月29日 BBC
https://www.bbc.com/japanese/48089946