・ファッションモデルの実態は借金奴隷? #MeToo後の最大のタブー
【10月28日 AFP】パリやニューヨーク、ミラノのファッションショーのランウェイをさっそうと歩くモデルたちは、金銭で買うことができる最も美しい服を着て、世界中を飛び回る。まるで夢の世界に生きているかのようなそのグラマラスな生活とは裏腹に、多くのモデルたちは「小遣い」程度の稼ぎしか手にすることができていない。しかも、エージェンシーへの借金に縛られている実情については、多くのモデルが口を閉ざしてしまう。
これまで、ファッション誌「ヴォーグ(Vogue)」に登場したり、プラダ(Prada)、リック・オウエンス(Rick Owens)、コム デ ギャルソン(Comme des Garcons)といった名だたる高級ブランドのショーに出演してきたというモデルのクララさん(仮名、26)は「(こうした状況については)話題にすることもできない。この業界の人たちは『成功している女の子』としか仕事をしたがらないから」とAFPの取材に語る。
ロンドンを拠点に活動しているクララさんは、ニューヨークとパリのエージェンシーに多額の借金をしている。仕事を失う恐れがあるとの理由から、仮名を条件に取材に応じ、彼女自身や同僚のモデルたちの多くが陥っている「罠」について話してくれた。
他のモデルたちからも、報酬の代わりに服やハンドバッグを渡されたといった声や、ファッション雑誌の撮影では「支払いを受けたことはほぼない」という声も漏れ聞こえてきた。
こうした状況を打破するため、モデルの人権擁護グループ「モデル・ロー(Model Law)」が今年初め、パリで発足した。同グループによると、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」によって虐待問題が明るみに出て以降は、モデルの借金問題が業界最大のタブーとなっているという。
「モデル・ロー」の共同創設者で、パリのショーの常連モデルでもあるエカテリーナ・オジガノバ(Ekaterina Ozhiganova)さん(26)は「長年にわたる虐待、怪しい仕事、労働法の軽視といったものを終わりにしないといけない」と話す。
■怪しい仕事
モデルを始めた時にはまだ学生だったというクララさんは、初めてのパリ・ファッションウィークに関わった時のことを振り返り、その時に経験したことを次のように語った。
「エージェンシーから車を1台与えられた。民泊仲介サービスのエアビーアンドビー(Airbnb)の大きなアパートの1室に他のモデルたちと一緒に詰め込まれ、みんなで車をシェアして会場と部屋とを行き来した」
「その時の運転手に1日300ユーロ(約3万3000円)の支払い(の義務)が発生していたことを知ったのは、ずっと後になってからだった。そういう内容の契約書に事前にサインしてしまっていたため、イベント終了後には3000ユーロ(約33万円)の借金が残った」
その後、ニューヨーク・ファッションウィークにも出演したが、借金はさらに膨れ上がったという。
「外国から参加するモデルはみんな、借金からスタートする。労働ビザを取るのにとてもお金がかかるから」
「ニューヨークでは、『モデル・アパートメント』をあてがわれた。他の3人と相部屋で、エージェンシーに1晩50ドル(約5600円)を支払った。キャスティングと同時に体調をひどく崩してしまったため、本番にはほとんど出演できなかった。最後は8000ドル(約90万円)の赤字となった」
「パリとニューヨークのエージェンシーとは、それ以降もたくさん仕事をしているが、彼らへの借金はいまだに残っている。例えば出演料1100ユーロ(約12万円)のパリの大きなショーに出ても、自分の手取りは400ユーロ(約4万5000円)だけ。それも借金の返済に持っていかれてしまうので、(お金を)見ることなどない」
それでもクララさんは、「貧しい家庭から16歳でやって来て、ほとんど英語を話さない」多くのモデルたちと比べると、自身の状況は「特にひどいわけではない」と強調する。
AFPの取材に応じた他のベテランモデル2人も、稼ぎの大部分はエージェンシーに持っていかれると話し、モデルは借金の「奴隷」だと説明した。彼女たちの話では、一番搾取されやすく、不当な契約を結ばされがちなのは、現在出演モデルの大半を占めている東欧とブラジル出身者だという。
2018年10月28日 10:00 AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3193022?act=all
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【10月28日 AFP】パリやニューヨーク、ミラノのファッションショーのランウェイをさっそうと歩くモデルたちは、金銭で買うことができる最も美しい服を着て、世界中を飛び回る。まるで夢の世界に生きているかのようなそのグラマラスな生活とは裏腹に、多くのモデルたちは「小遣い」程度の稼ぎしか手にすることができていない。しかも、エージェンシーへの借金に縛られている実情については、多くのモデルが口を閉ざしてしまう。
これまで、ファッション誌「ヴォーグ(Vogue)」に登場したり、プラダ(Prada)、リック・オウエンス(Rick Owens)、コム デ ギャルソン(Comme des Garcons)といった名だたる高級ブランドのショーに出演してきたというモデルのクララさん(仮名、26)は「(こうした状況については)話題にすることもできない。この業界の人たちは『成功している女の子』としか仕事をしたがらないから」とAFPの取材に語る。
ロンドンを拠点に活動しているクララさんは、ニューヨークとパリのエージェンシーに多額の借金をしている。仕事を失う恐れがあるとの理由から、仮名を条件に取材に応じ、彼女自身や同僚のモデルたちの多くが陥っている「罠」について話してくれた。
他のモデルたちからも、報酬の代わりに服やハンドバッグを渡されたといった声や、ファッション雑誌の撮影では「支払いを受けたことはほぼない」という声も漏れ聞こえてきた。
こうした状況を打破するため、モデルの人権擁護グループ「モデル・ロー(Model Law)」が今年初め、パリで発足した。同グループによると、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」によって虐待問題が明るみに出て以降は、モデルの借金問題が業界最大のタブーとなっているという。
「モデル・ロー」の共同創設者で、パリのショーの常連モデルでもあるエカテリーナ・オジガノバ(Ekaterina Ozhiganova)さん(26)は「長年にわたる虐待、怪しい仕事、労働法の軽視といったものを終わりにしないといけない」と話す。
■怪しい仕事
モデルを始めた時にはまだ学生だったというクララさんは、初めてのパリ・ファッションウィークに関わった時のことを振り返り、その時に経験したことを次のように語った。
「エージェンシーから車を1台与えられた。民泊仲介サービスのエアビーアンドビー(Airbnb)の大きなアパートの1室に他のモデルたちと一緒に詰め込まれ、みんなで車をシェアして会場と部屋とを行き来した」
「その時の運転手に1日300ユーロ(約3万3000円)の支払い(の義務)が発生していたことを知ったのは、ずっと後になってからだった。そういう内容の契約書に事前にサインしてしまっていたため、イベント終了後には3000ユーロ(約33万円)の借金が残った」
その後、ニューヨーク・ファッションウィークにも出演したが、借金はさらに膨れ上がったという。
「外国から参加するモデルはみんな、借金からスタートする。労働ビザを取るのにとてもお金がかかるから」
「ニューヨークでは、『モデル・アパートメント』をあてがわれた。他の3人と相部屋で、エージェンシーに1晩50ドル(約5600円)を支払った。キャスティングと同時に体調をひどく崩してしまったため、本番にはほとんど出演できなかった。最後は8000ドル(約90万円)の赤字となった」
「パリとニューヨークのエージェンシーとは、それ以降もたくさん仕事をしているが、彼らへの借金はいまだに残っている。例えば出演料1100ユーロ(約12万円)のパリの大きなショーに出ても、自分の手取りは400ユーロ(約4万5000円)だけ。それも借金の返済に持っていかれてしまうので、(お金を)見ることなどない」
それでもクララさんは、「貧しい家庭から16歳でやって来て、ほとんど英語を話さない」多くのモデルたちと比べると、自身の状況は「特にひどいわけではない」と強調する。
AFPの取材に応じた他のベテランモデル2人も、稼ぎの大部分はエージェンシーに持っていかれると話し、モデルは借金の「奴隷」だと説明した。彼女たちの話では、一番搾取されやすく、不当な契約を結ばされがちなのは、現在出演モデルの大半を占めている東欧とブラジル出身者だという。
2018年10月28日 10:00 AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3193022?act=all
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