【ワイの小説】真・王国って食えるの？ 10話 [無断転載禁止]©2ch.net

1 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 08:20:12.233 ID:un43n52T0

「あっ、あっ、正直書く気しねえ！でも背中を押しちゃいますぅ！」
　と、著者が声を掠れさせながら言う。
　著者は退屈凌ぎの様に飛び跳ねている。
　呆れながら、クイーンが「小説の事ですか？」と言うが、著者は言う事を聞いていなかった。
　著者は大理石で出来た床を跳び、慌ただしく話をし出した。

2 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 08:27:15.973 ID:un43n52T0

「これを25回繰り返せばワイの小説が書けるんや！わかったか！」
　著者は続ける。
「わかったか！」
　よく分かりませんぅ、と言わんばかりにドン引きするクイーンは、警察を呼んだ。その後、当然の様に警察が来て、著者は捕まった。
　これは昨日の事であった。

3 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 08:51:36.892 ID:un43n52T0

　物凄い速さで廊下を走る音がした。音が何時にも増して軽く、調子が良い。何時も調子の良い人だから、更に調子が良いという状況は、地獄絵図に近い。
　ドアを蹴り開ける音がする。
「やあこんにちはみなさん」
　あまりに溌剌な声で、部室は逆に若干静まりかえってしまった。
　挨拶をしたのはジャック。彼は、中一なので、他の学年に比べて元気が良い。跳び蹴りをキングに浴びせる。
「コロコロコミックかお前わ」と、エースが言う。

4 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 09:04:59.232 ID:un43n52T0

　キングは折れそうになった首を直す。
「いてえ……正にコロコロコミックだな。コロコロコミックで殴られたような感覚だ」
　ジャックは、実は中一ではなく、高一なのである。
「コロコロコミックって鈍器じゃねえから！」
「さすがエースさん、コロコロコミックは鈍器じゃなくて枕ですよね」
　とクイーンがエースに同意を求める。

5 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 09:12:52.749 ID:un43n52T0

「コロコロコミックは漫画だから！」
　部室のテレビから雑音と共にニュースが流れ出す。
『こんにちはみなさん。ところで、ワイの小説容疑者という極悪犯が捕まりました』
　それを聞いてクイーンは、「？極悪犯という程ではないハズデスガ」と疑問に思う。
『ワイの小説容疑者は大変な物を盗んでいきました……あなたの、心です』

6 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 09:18:54.896 ID:un43n52T0

「なんの事やら」
　クイーンは続ける。
「あっ、枕って、股枕の事じゃないですよ？」
「そういう連想するのはお前だけじゃ」とエースは言う。
　そうして、部員達が螺旋階段を一周昇るかの様に、一週間が過ぎた。

7 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 09:32:50.622 ID:un43n52T0

　何やらクイーンが部室で大暴れしている。
「何？何？どうしたんだ？デビルメイクライか？」とエースが言う。
「ああ＾〜〜〜〜、パンツが無いんじゃあ＾〜〜〜〜」とクイーンが言う。
　どうやら一週間に一回のスパンで履き替えていたパンツの一つが無くなったらしいのだ。
　大暴れしながらも静かに窃盗疑惑を抱いていた事は、その言動から部員が感じ取っていた。

8 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 09:45:24.005 ID:un43n52T0

　部室のテレビが雑音と共にニュース番組へ移る。
『みなさんこんにちは。ワイの小説容疑者に関する報道です』
　「著者捕まったんかい！」と血だらけになったジャックが突っ込みを入れる。
『なんとですね、ワイの小説容疑者は女児の下着を盗んでいました。それで、無期懲役が決定したのです。』
　部員全員がクイーンの方を向く。クイーンは目を吊り目にしながら真ん丸にして緊張し、まるで凍り付いていた。

9 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 10:05:15.346 ID:un43n52T0

「クイーン、お前幼児用のパンツを……」とキングが言う。
「幼児用下着ショップで陳列されたこのパンツを品定めする時に後ろの店員さんから失笑されたんです。それでも欲しかったから、女性店員二人に笑われながら女児用のパンツをレジで買ったんです。」
　クイーンは続ける。
「スマホで動画も撮られたような気がします。持ち帰ってから包装を開いて、私は泣きました。やはり、大きい苺柄が可愛かったんです」
「ドラマチックにいなしてるけど幼児用パンツを日常で履くのはいかんだろ」と、キングがドン引きする。

10 ：以下、転載禁止でVIPがお送りします：2016/02/26(金) 10:24:20.853 ID:un43n52T0

「だから、私、取り返しにいきます」

　そうして、部員一行はワイの小説が捕まる刑務所にやってきた。
警備員が部員達にパスポートを求めたので、キングがその警備員を殴ったら、
警備員が怒ったので、部員一行は全力で刑務所内を逃げた。刑務所内は臨戦態勢なのである。
　パンツを取られたせいか、実に緊張しながらも、パンツを取り返す事だけを目的にしている姿勢である。
高が幼児用のパンツ一枚だが、この女、必死である。
　今日は一段と寒い日だ。刑務所全体にも、部員にも寒さが被っている。

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