ー前略ー
・出張者アテンド用「黒革の手帖」が復活
ー中略ー
現法総経理が総勢40人以上の駐在員の意を汲み、「中国における大型連休期間中の海外旅行を、福利厚生名目での出張扱いにして
くれないか?」と半分本気半分冗談で直訴した。次期社長の「私の責任で対応します」という返答に、「うおおっ~」と歓声が上がった。
つづけて「ずっと中国はつらいですからね。家族帯同も歓迎します。ただし“自前の奥さん”は経費申請の適用外です」と次期社長。
言わずもがな“自前の奥さん”とは現地の中国人彼女のこと。会場が爆笑の渦に包まれたことは言うまでもない。
日本企業の駐在員にとって、本社の上司は神であり、アテンド対応は重要な仕事ある。とくに直属上司や同じ部門の出世頭である場合、
その対応が海外現法全体の評価に影響するため、過剰な配慮が行われる傾向がある。
ー中略ー
そのアテンドマニュアルの、微に入り細に入り度合いは、想像を超えていた。
・ハニトラなど「どこ吹く風」
例えば、〈X(有名レストランの店名)の海鮮NG。下痢を起こしやすい〉に始まり、〈Y(日式カラオケ)は避ける。
ママはVIP(顧客)の彼女〉、〈Z(中式カラオケ/KTV)は厳打(取締強化)期間OK。事前連絡要〉まで。松本清張の小説『黒革の手帖』ばりの
生々しさである。
中国のナイトライフは充実している。5年近く“お預け”をくらった側にとって、ハニトラなどどこ吹く風なのかもしれない。
ガールズバーや日式カラオケ、KTV、スナック、ローカルサウナ、高級サウナ、クラブ、SPA…。
このうち、日式カラオケとKTVはいずれもカラオケ&ホステス付きの店だが、後者は中式と呼ばれ、多くの場合“店外デート”ができる。
同じようにサウナでも、ローカルや高級店はSPAと違って、“本番”が前提であるケースが多い。
そこで中国ビザ免除再開を機に、日本人駐在員に代々受け継がれた「黒革の手帖」の出番というわけだ。
・同じ釜の飯を喰った上司に「本帰国を直訴」
買収によって悪習慣を変革できた鴻海ならまだしも、無差別殺傷事件に耐え、「黒革の手帖」を後生大事に抱えてきた日本人駐在員は、
上意下達のジレンマから容易に抜けだせない。
東京商工リサーチ(TSR)が10月上旬に実施した企業向けアンケート調査によると、8割以上が駐在員へ注意喚起をしただけであり、
新規駐在の停止や家族の帰国を促す企業は、ごく一部の大企業に留まっていることが明らかになった。
著者のインタビューに身の危険を感じながら答えてくれたベテラン日本駐在員たちは、注意喚起など“遺憾コメント”より役に立たない
ことを重々承知しているだけに、「いざとなっても日本の外務省のように、会社も自分を守ってくれない。今回ばかりは、
言いたいことを言わせてもらう」と口を揃えていた。
中国に在住する著者旧知の日本人に、本帰国について質問してみた。
「現地採用の日本人に本社採用をチラつかせるのは、駐在員の常套手段。あと1年あと1年…と駐在期間を伸ばすは日本側の十八番です。
どちらも詐欺のようなもの。家内が中国人であることは理由にならない。日本企業ならではのロイヤリティを求めるなら、相応の
待遇改善を求めます」(広州・50代前半)
「長女が小学生に上がるので、すでに日本での転職活動を始めています。しっかり退職金も頂戴します。日本側は“経営の現地化”を
10年以上唱え続けていますから、自分なんて要らなくなるはずです。かつての上司は皆、本帰国したのだから、私はこの国で老後を
迎えたくありません」(上海・40代後半)
「うちの元上司で、深?の物件へ個人で投資をした社員がまだ本社にいるんです。3人で1億円以上儲けたはずです。
彼らが定年退職しないうちに、本社に戻してもらいます。まだ私は彼らの元カノが経営する日本料理店の常連ですから、
逃がしませんよ」(深?・40代後半)
ー後略ー
全文はソースから
現代ビジネス 12/3(火) 7:09配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/b9bf8ca1064c0334cb92b0acfa668bc9c80b6050