(略)
中国の不動産は2021年から急落している。2021年9月、全国主要70都市の住宅価格が下落に転じた後、2022年10月まで1年2カ月連続で下落が続いている。 北京、上海など一部の大都市を除けば、ほとんどの都市が住宅価格の下落から抜け出せずにいる。
新規分譲住宅の販売額も2022年2月の前年同月比19.3%減から5月の31.5%減へと減少幅が拡大している。住宅購入希望者が住宅価格の下落を予想し、購入を見送っているのだ。中国政府が集計して発表する不動産景気指数も2022年10月に94.70まで下落した。同指数は基準値の100を上回ると好景気、下回ると不景気を意味する。英フィナンシャルタイムズは「中国金融当局は不動産市場支援のためのパッケージ対策を打ち出したが、短期的に一息つかせる程度で、市場全体の萎縮した心理を回復させるには力不足だ」とし、「需要者が不動産投資ではなく銀行に資金を預けたことで、9月まで銀行預金が記録的に増加した」と報じた。
■軟着陸政策が招いた大混乱
中国の不動産は1998年、朱鎔基首相(当時)がそれまでの住宅配分制度を廃止し、住宅の商品化をスタートさせて以来、約20年間にわたる上昇街道をひた走ってきた。2008年の世界的金融危機直後など一時的な下落を除けば上昇を続け、「不動産不敗神話」までつくられた。
しかし、2021年から中国の不動産バブルが日本で1991年にバブルが崩壊した当時よりも深刻な水準となり、バブル崩壊リスクが高いとの指摘が中国内外で出始めた。日本経済新聞によると、住宅価格の対所得比(PIR)は広東省深セン市が57倍、北京市が55倍で、1990年代のバブル崩壊当時の東京(18倍)をはるかに上回る。国務院(中央政府)発展研究センターマクロ経済研究室副主任を務めた経済学者の任沢平氏は2021年7月、メディアへの寄稿を通じ、2020年時点の中国の住宅時価総額は62兆6000億ドルで、米国(33兆6000億ドル)の2倍、日本(10兆8000億ドル)の6倍だとし、中国政府に不動産市場の軟着陸(ソフトランディング)のための政策立案を求めた。
中国政府は2020年8月から大型不動産業者の負債比率を大幅に下げ、現金保有比率を引き上げる内容の「3つのレッドライン」を提示し、市場に圧力をかけた。 しかし、それが不動産市場混乱のきっかけとなった。 短期間で負債を減らすのが困難だった中国恒大集団など大手不動産開発業者が相次いで資金難に直面し、不動産市場全体が大混乱に陥ったのだ。
開発業者が資金難でスケジュール通りに工事を進められず、入居が無期延期される物件が続出した。2022年初めからは入居予定者が「いつ入居できるか分からないのだから、これ以上長期住宅ローンを返済しない」として、ローン返済拒否運動を起こす事態に発展した。全国で集団返済拒否が起きている物件は300カ所に達するという。
住宅ローン返済拒否は入居予定者に融資した地方商業銀行の破綻につながり、金融危機にまで発展する兆しも見える。さらに、行き過ぎたコロナ対策で消費や投資など経済全体が低迷すると、中国政府は不動産構造調整を一時中断し、市場支援策を打ち出している。
■「日本より深刻なバブル崩壊も」
中国は不動産が国内総生産(GDP)に占める割合が25%に達する。住宅ローンが銀行融資に占める割合も30%を超える。不動産は鉄鋼、化学、家電、家具など関連産業に及ぼす影響も大きく、専門家はバブル崩壊が中国経済の危機につながりかねないと分析している。日本の経済産業研究所(RIETI)のコンサルティングフェロー、関志雄氏は2022年2月の報告書で「中国の鉄鋼生産量の59%が不動産分野で消費される。不動産市場の下落は実体経済と金融に大きな影響を及ぼすだろう」と指摘した。
中国の不動産が1990年代初めの日本のバブル崩壊と同様に「失われた20年」の泥沼に陥る懸念も示されている。過度な不動産バブル、米中貿易摩擦、人口の急激な高齢化などがバブル崩壊当時の日本と似ているからだ。米ロングアイランド大学のパノス・ムドクタス教授は7月、インターナショナル・ビジネス・タイムズへの寄稿で「中国の不動産はバブル崩壊直前だ」とし、「中年人口の減少と急激な高齢化など人口面で不利で、日本より深刻なバブル崩壊を経験する恐れがある」と書いた。
一方、関志雄氏は「バブル崩壊当時、日本は先進国だったが、中国は依然として発展途上国だという点に差がある」とし、「バブルが崩壊しても5%前後の成長率を維持すれば『失われた20年』のような長期沈滞は経験しないだろう」と予測した。
■地方政府も非常事態…財政収入の42%占める土地売却急減
全文はソースで
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/12/24/2022122480011.html
中国の不動産は2021年から急落している。2021年9月、全国主要70都市の住宅価格が下落に転じた後、2022年10月まで1年2カ月連続で下落が続いている。 北京、上海など一部の大都市を除けば、ほとんどの都市が住宅価格の下落から抜け出せずにいる。
新規分譲住宅の販売額も2022年2月の前年同月比19.3%減から5月の31.5%減へと減少幅が拡大している。住宅購入希望者が住宅価格の下落を予想し、購入を見送っているのだ。中国政府が集計して発表する不動産景気指数も2022年10月に94.70まで下落した。同指数は基準値の100を上回ると好景気、下回ると不景気を意味する。英フィナンシャルタイムズは「中国金融当局は不動産市場支援のためのパッケージ対策を打ち出したが、短期的に一息つかせる程度で、市場全体の萎縮した心理を回復させるには力不足だ」とし、「需要者が不動産投資ではなく銀行に資金を預けたことで、9月まで銀行預金が記録的に増加した」と報じた。
■軟着陸政策が招いた大混乱
中国の不動産は1998年、朱鎔基首相(当時)がそれまでの住宅配分制度を廃止し、住宅の商品化をスタートさせて以来、約20年間にわたる上昇街道をひた走ってきた。2008年の世界的金融危機直後など一時的な下落を除けば上昇を続け、「不動産不敗神話」までつくられた。
しかし、2021年から中国の不動産バブルが日本で1991年にバブルが崩壊した当時よりも深刻な水準となり、バブル崩壊リスクが高いとの指摘が中国内外で出始めた。日本経済新聞によると、住宅価格の対所得比(PIR)は広東省深セン市が57倍、北京市が55倍で、1990年代のバブル崩壊当時の東京(18倍)をはるかに上回る。国務院(中央政府)発展研究センターマクロ経済研究室副主任を務めた経済学者の任沢平氏は2021年7月、メディアへの寄稿を通じ、2020年時点の中国の住宅時価総額は62兆6000億ドルで、米国(33兆6000億ドル)の2倍、日本(10兆8000億ドル)の6倍だとし、中国政府に不動産市場の軟着陸(ソフトランディング)のための政策立案を求めた。
中国政府は2020年8月から大型不動産業者の負債比率を大幅に下げ、現金保有比率を引き上げる内容の「3つのレッドライン」を提示し、市場に圧力をかけた。 しかし、それが不動産市場混乱のきっかけとなった。 短期間で負債を減らすのが困難だった中国恒大集団など大手不動産開発業者が相次いで資金難に直面し、不動産市場全体が大混乱に陥ったのだ。
開発業者が資金難でスケジュール通りに工事を進められず、入居が無期延期される物件が続出した。2022年初めからは入居予定者が「いつ入居できるか分からないのだから、これ以上長期住宅ローンを返済しない」として、ローン返済拒否運動を起こす事態に発展した。全国で集団返済拒否が起きている物件は300カ所に達するという。
住宅ローン返済拒否は入居予定者に融資した地方商業銀行の破綻につながり、金融危機にまで発展する兆しも見える。さらに、行き過ぎたコロナ対策で消費や投資など経済全体が低迷すると、中国政府は不動産構造調整を一時中断し、市場支援策を打ち出している。
■「日本より深刻なバブル崩壊も」
中国は不動産が国内総生産(GDP)に占める割合が25%に達する。住宅ローンが銀行融資に占める割合も30%を超える。不動産は鉄鋼、化学、家電、家具など関連産業に及ぼす影響も大きく、専門家はバブル崩壊が中国経済の危機につながりかねないと分析している。日本の経済産業研究所(RIETI)のコンサルティングフェロー、関志雄氏は2022年2月の報告書で「中国の鉄鋼生産量の59%が不動産分野で消費される。不動産市場の下落は実体経済と金融に大きな影響を及ぼすだろう」と指摘した。
中国の不動産が1990年代初めの日本のバブル崩壊と同様に「失われた20年」の泥沼に陥る懸念も示されている。過度な不動産バブル、米中貿易摩擦、人口の急激な高齢化などがバブル崩壊当時の日本と似ているからだ。米ロングアイランド大学のパノス・ムドクタス教授は7月、インターナショナル・ビジネス・タイムズへの寄稿で「中国の不動産はバブル崩壊直前だ」とし、「中年人口の減少と急激な高齢化など人口面で不利で、日本より深刻なバブル崩壊を経験する恐れがある」と書いた。
一方、関志雄氏は「バブル崩壊当時、日本は先進国だったが、中国は依然として発展途上国だという点に差がある」とし、「バブルが崩壊しても5%前後の成長率を維持すれば『失われた20年』のような長期沈滞は経験しないだろう」と予測した。
■地方政府も非常事態…財政収入の42%占める土地売却急減
全文はソースで
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/12/24/2022122480011.html