来年から日本のすべての高校生が学ぶことになる12種類の歴史教科書のうち、日本軍「慰安婦」の強制性を記述したものはたった1種類のみであることが30日に確認された。これは「慰安婦」動員の強制性を認め、歴史教育を通じて長く記憶にとどめると宣言した「河野談話」を無視した扱いだという批判が出ている。韓国外交部は同日午後、在韓日本大使館の相馬弘尚・総括公使を呼んで強く抗議し、教育部も声明を発表して教科書の内容の是正を求めた。
日本の文部科学省は30日、2022年から4年間使用される高校の教科書「歴史総合」、「公共」、指導本など296種の検定結果を発表した。特に世界史と日本史を統合して近現代史部分を強化した「歴史総合」は来年から必修科目となり、同科目の教科書も初の検定を受けた。これまで日本史は選択科目だったが、これからは日本のすべての高校生が歴史総合の教科書で歴史を学ばなければならない。
アジア平和と歴史教育連帯、アジア平和と歴史研究所が、新たに検定で合格となった歴史総合の教科書12種(7出版社)を分析したところ、「慰安婦」に言及したものは8種(66.7%)だった。本文で扱っているのが3種、脚注が1種、ボックスを設けて参考資料のかたちで紹介しているものが4種だった。分量は概ね1、2文で叙述したものが多く、日本の外務省の資料を丸写しした教科書が3文で最も長かった。
このうち、山川出版社版の歴史総合の3種中1種が唯一「慰安婦」の強制性に言及している。この教科書は脚注(位置は教科書の右側)で「各地の戦場では、慰安所が設けられ、日本や朝鮮、台湾、占領地の女性が慰安婦として集められた。強制されたり、だまされて連行されたりした例もある」と述べている。同出版社は歴史総合を3種出しているが、残りの2種は強制性に言及していないか、「慰安婦」にまったく言及していない。
残りの教科書は「多くの女性が慰安婦として戦地に送られた」、「(沖縄戦を扱った部分で)130カ所あまりの軍慰安所は、少なくとも160人の朝鮮人『慰安婦』がいたという」などと簡単な事実関係を書き、「強制」という表現は全く使っていない。「慰安婦」問題の実態についての説明もなく、戦後補償問題にのみ言及している教科書もある。それらは「アジア女性基金が民間機関として韓国、オランダなどの慰安婦に対して部分的に補償を行った」とか「いわゆる従軍慰安婦など、未解決の問題は多い」としている。特に実教出版は、今年まで使用する日本史の教科書では「河野談話」を紹介するなど「慰安婦」問題にかなりの分量を割いていたが、歴史総合では一行にとどまるなど、むしろ改悪されている。歴史総合を見たのみでは「慰安婦」問題が「戦時性暴力」であるとの最小限の事実も理解することが困難な水準だという評価だ。
歴史総合の教科書は、1993年4月に河野洋平官房長官が発表した「河野談話」の約束ともかけ離れていると指摘されている。河野談話は「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と述べ、「慰安婦」の動員や生活での強制性を明確にしている。また河野談話は「歴史の真実を回避することなく」「歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」としている。
歴史総合の一部の教科書は、帝国主義日本のアジア侵略を「進出」と記述している。山川出版社、第一学習社の教科書は、日本の韓国強制併合を扱う際、タイトルを「日本のアジア進出」と表記している。アジア平和と歴史教育連帯のイ・シンチョル常任共同運営委員長は「1982年に北東アジアで日本の教科書の歴史歪曲問題を引き起こした用語こそ『進出』という表現」とし「日本の歴史認識が30年前に回帰するのではないかと懸念される」と述べた。
※続きは元ソースで御覧ください
ハンギョレ 登録:2021-03-31 05:31 修正:2021-03-31 06:50
http://japan.hani.co.kr/arti/international/39566.html
日本の文部科学省は30日、2022年から4年間使用される高校の教科書「歴史総合」、「公共」、指導本など296種の検定結果を発表した。特に世界史と日本史を統合して近現代史部分を強化した「歴史総合」は来年から必修科目となり、同科目の教科書も初の検定を受けた。これまで日本史は選択科目だったが、これからは日本のすべての高校生が歴史総合の教科書で歴史を学ばなければならない。
アジア平和と歴史教育連帯、アジア平和と歴史研究所が、新たに検定で合格となった歴史総合の教科書12種(7出版社)を分析したところ、「慰安婦」に言及したものは8種(66.7%)だった。本文で扱っているのが3種、脚注が1種、ボックスを設けて参考資料のかたちで紹介しているものが4種だった。分量は概ね1、2文で叙述したものが多く、日本の外務省の資料を丸写しした教科書が3文で最も長かった。
このうち、山川出版社版の歴史総合の3種中1種が唯一「慰安婦」の強制性に言及している。この教科書は脚注(位置は教科書の右側)で「各地の戦場では、慰安所が設けられ、日本や朝鮮、台湾、占領地の女性が慰安婦として集められた。強制されたり、だまされて連行されたりした例もある」と述べている。同出版社は歴史総合を3種出しているが、残りの2種は強制性に言及していないか、「慰安婦」にまったく言及していない。
残りの教科書は「多くの女性が慰安婦として戦地に送られた」、「(沖縄戦を扱った部分で)130カ所あまりの軍慰安所は、少なくとも160人の朝鮮人『慰安婦』がいたという」などと簡単な事実関係を書き、「強制」という表現は全く使っていない。「慰安婦」問題の実態についての説明もなく、戦後補償問題にのみ言及している教科書もある。それらは「アジア女性基金が民間機関として韓国、オランダなどの慰安婦に対して部分的に補償を行った」とか「いわゆる従軍慰安婦など、未解決の問題は多い」としている。特に実教出版は、今年まで使用する日本史の教科書では「河野談話」を紹介するなど「慰安婦」問題にかなりの分量を割いていたが、歴史総合では一行にとどまるなど、むしろ改悪されている。歴史総合を見たのみでは「慰安婦」問題が「戦時性暴力」であるとの最小限の事実も理解することが困難な水準だという評価だ。
歴史総合の教科書は、1993年4月に河野洋平官房長官が発表した「河野談話」の約束ともかけ離れていると指摘されている。河野談話は「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と述べ、「慰安婦」の動員や生活での強制性を明確にしている。また河野談話は「歴史の真実を回避することなく」「歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」としている。
歴史総合の一部の教科書は、帝国主義日本のアジア侵略を「進出」と記述している。山川出版社、第一学習社の教科書は、日本の韓国強制併合を扱う際、タイトルを「日本のアジア進出」と表記している。アジア平和と歴史教育連帯のイ・シンチョル常任共同運営委員長は「1982年に北東アジアで日本の教科書の歴史歪曲問題を引き起こした用語こそ『進出』という表現」とし「日本の歴史認識が30年前に回帰するのではないかと懸念される」と述べた。
※続きは元ソースで御覧ください
ハンギョレ 登録:2021-03-31 05:31 修正:2021-03-31 06:50
http://japan.hani.co.kr/arti/international/39566.html