外交関係者「交渉で韓国は何もできず、米朝との情報共有もなかった」
日本政府「米国から説明を聞いた」
韓国大統領府「非核化交渉は終わっていない」
一部では「北核問題の運転者を自認した文在寅政権がただの見物人に」
韓国外交部(省に相当、以下同じ)は7日「外交部の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長が今日の午後、米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表と会談するため米国に向かった」と発表した。李本部長は10日までワシントンに滞在し、ビーガン氏から今回スウェーデンで行われた実務協議が決裂した経緯などについて説明を受ける予定だ。
李本部長の米国行きは、実務協議決裂が報じられた翌日に急きょ決まった。ある外交筋は「韓国政府は今回の実務協議が決まってから決裂するまで何の役割も果たせず、米朝双方からまともな情報提供も行われていなかった」と明らかにした。実際に外交部のある幹部は今月1日午後、北朝鮮メディアが交渉再開を報じた際、これを予想できず周囲に当惑した表情を隠せなかったという。
かつて韓国外交部で朝鮮半島平和交渉本部長を務めたキム・ホンギュン氏は「ビーガン代表は今回の実務協議で北朝鮮に『クリエーティブな提案』を行ったとされているが、その内容は事前に韓国政府には伝えられなかったようだ」「おそらく内容がリークされるのを懸念したのだろう」とコメントした。南柱洪(ナム・ジュホン)元国家情報院第1次長は「韓半島の運転者を自認してきた文在寅(ムン・ジェイン)政権は仲裁者、促進者から今やただの見物人へと徐々にその役割が低下している」「このように時間が過ぎる間にも北朝鮮はインドやパキスタンのような『事実上の核保有国』に向かっている」と指摘した。
今回の状況は今年1月に同じスウェーデンで行われた実務協議とも大きな違いがある。当時、韓国政府は李本部長を現地の会場にまで派遣し、その状況を詳しく把握していた。ところが今回は李本部長をはじめとする幹部クラスは誰も派遣しなかった。これは韓国政府が交渉に関与することを北朝鮮が嫌ったためだという。
韓国政府は今回の実務協議が決裂に至るまでの事情を正確に把握できていないため、この日もコメントは差し控えながら「慎重な姿勢」を維持した。今月1日午後、北朝鮮が「米朝実務協議再開」を発表した際、それからわずか30分後に歓迎の意向を示したのとは対照的だ。文大統領もこの日午後に行われた首席・補佐官会議で多くの発言をしたが、米朝協議決裂については何も言及しなかった。
韓国大統領府の幹部はブリーフィングで「今回の協議について評価するのは時期尚早」とした上で「今は北朝鮮と米国が改めて実務協議の場に座ることが重要だ」と述べた。この幹部はさらに「北朝鮮の非核化交渉は全て終わったわけではない」「軽々しい判断は誤解を生む恐れがあるので、今から何らかの評価を下すのは適切ではない」ともコメントした。韓国統一部のイ・サンミン報道官もこの日「一度の協議だけで性急に一喜一憂する必要はない」と述べた。別の韓国政府筋は「ベトナムで行われた2回目の米朝首脳会談から7カ月後に交渉が再開され、大統領府はこれがうまくいくことを強く期待していた」としながらも「しかしまたも決裂となったことに大きく失望しているので、外部へのコメントを控えている」と説明した。
識者らは「今回の決裂によって北朝鮮の非核化交渉は韓米両政府にとってさらに不利な状況になるだろう」と懸念を示した。趙太庸(チョ・テヨン)元外交部第1次官は「米国は今回の協議決裂直後、2週間後に再び実務協議を再開する意向を示しているが、これも北朝鮮は拒否した」「北朝鮮は交渉をより有利に進められる来年の米大統領選挙までミサイル挑発などを繰り返し、交渉力を高めようとするだろう」と予想した。
一方で日本政府の菅義偉官房長官はこの日行われた会見で、今回の実務協議決裂について「米国政府から協議の経過についてまずは説明を聞いた」「外務省の滝崎成樹アジア大洋州局長が訪米し、より詳しい説明を聞いた上で対策を話し合いたい」とコメントした。今回の米朝実務協議に日本が深く関与しているということだ。李本部長は米国で韓日、韓米日の北核交渉首席代表による会議にも参加する予定だ。
ノ・ソクチョ記者
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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/10/08 10:00