韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国へ行った12月13日は、南京大虐殺から80周年になる日だった。文大統領は、中国に着いた直後「同病相哀れむという気持ちで哀悼する」と語ったのに続いて、15日には再び「この事件に深い同質感を抱いている」と語った。中国人を大量虐殺したかつての日本の蛮行に怒りを覚えない人はいない。それでも韓国の歴代大統領がこの事件について公の言及を控えていたのは、対日外交も考慮したからだ。中国の習近平国家主席は南京大虐殺の現場に行ったが、何も言わなかった。やはり、対日外交を考慮したのだ。なのに当事者でもない文大統領が乗り出してきた。中国はすぐさま「韓米日軍事同盟をやらないという暗示」と歓迎した。
文大統領が習近平国家主席と会談を行った14日、韓国の保守系野党「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表は東京で安倍首相と会談した。この席で洪代表は「文在寅政権が習首席と謁見しに行った日、(われわれは)日本に来た」と語った。自国の大統領が外国の首脳を訪問している最中なのに、野党の代表が他国に行って、こうもひどいことを言わなければならないのかと思う。
韓国の与党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)代表は今月初め、「『中国夢』は世界平和に貢献すると確信している」と激賞した。洪代表は安倍首相に「韓米日の自由主義核同盟を結んで、朝中ロの社会主義核同盟に対抗しよう」と言った。国益が懸かった外交において、党が違えば、このように手を握る国も別でなければならないのか。「与中野日(与党は中国、野党は日本)」という言い回しが生まれるのもうなずける。
イスラエルも、内部の政治闘争が激しい。仲の悪いリクード(右派)と労働党(左派)、どちらも単独過半数の議席を獲得できず、連立政権が続いた。パレスチナと平和協定を結んだラビン首相が過激派に暗殺されるくらいに、強硬派と穏健派の対立も厳しい。しかし安全保障上の危機が迫ると、驚くことに声をそろえる。50倍の人口を抱える周辺のアラブ諸国を相手にしようと思ったら、その道しかないのだろう。
「朝鮮は大国のはざまにあるがゆえに、いつも誰かに頼って生きていくのが当然だから…よその国の力を借りて、互いに自国の人間を害そうとすることがよく起こるのだ。国内で清国党が盛んだと思うと、日本党もあり、アラシャ(ロシア)党もあり、互いに争っているせいで騒乱が数多く生じているのだ」。1897年、独立新聞は社説でこのように慨嘆した。当時、清・日本・ロシア領事館を訪ねてはぺこぺこし、内輪でけなし合い争った結果が、1910年の国恥(日韓併合)だったことは皆が知っている。それでも韓国人は、相変わらず「内輪の戦いでは鬼神のごとく、外敵との戦いでは愚者のごとく」なのだ。
アン・ヨンヒョン論説委員
ソース:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 【萬物相】与中野日
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/12/18/2017121801687.html