朝鮮学校を高校授業料「無償化」の適用対象外とした国の措置をめぐり、論調は分かれている。
朝鮮学校を運営する学校法人などが国を相手取った裁判で今年7月、広島地裁は、国の措置を適法として訴えを退ける初の判断を示した。
産経は、北朝鮮や朝鮮総連の影響下にある学校運営の実態を踏まえ、当然の判決だと評価し、「拉致被害者を解放しない北朝鮮の独裁体制を支える教育内容などを不問にして、公金を使うことが妥当なのか。今回の判決を厳しく受け止めてもらいたい」と求めた。
読売も「不透明な学校運営の実態を踏まえた妥当な判断だと言えよう」と支持し、「政府が公金を投入する以上、不適切な使用を排除しなければ、国民の理解は得られまい」と指摘した。
これに対し、朝日は「教育の機会を公平に保障するという制度の理念に立ち返って判断すべきなのに、あまりに粗雑な論理で導いた判決だ」と厳しく批判。「朝鮮学校が総連と関係があるとしても『不当な支配』とまでいえるのか」と指摘した。
毎日も「今回の裁判所の判断は、無償化制度の趣旨に合っているのだろうか」と疑問を示した。
同種訴訟が全国5地裁・支部に起こされている。その後、7月の大阪地裁では「違法」、9月の東京地裁では「適法」と判断が分かれた。
朝日や毎日は、子供の学ぶ権利や機会を強調するが、朝鮮学校が対象外となったのは「適正な学校運営」という支給要件に該当しないためだ。広島地裁判決では、民族教育を受ける権利を侵害するとの原告の主張を退けている。
産経は、不透明な学校運営や教育内容の問題を是正しないまま、「差別というのは問題のすり替えにほかならない」とも指摘した。
高校無償化制度は、民主党政権が平成22年に導入したが、同じ年、北朝鮮が韓国・延坪島を砲撃する事件が起き、朝鮮学校への適用が見送られた。
産経は、教育内容不問で公金を投じることに一貫して反対した。読売は当初、「朝鮮学校を他の外国人学校とことさら区別するのは、無理があろう」(22年3月5日付)としていたが、「財務の透明化が欠かせない」(同9月3日付)など慎重派に転じた。
◇
★朝鮮学校訴訟の広島地裁判決(今年)
【産経】独裁者崇拝に公金出せぬ(7/21)
【朝日】無償化の原点に戻れ(7/21)
【毎日】制度の理念に反しないか(7/20)
【読売】不透明な運営に公費は使えぬ(7/22)
★朝鮮学校と高校無償化問題(平成22年)
【産経】無償化除外へ知恵を絞れ(2/23)
【朝日】朝鮮学校除外はおかしい(2/24)
【毎日】無償化除外 筋が通らぬ(3/11)
【読売】財務の透明化が欠かせない(9/3)
http://www.sankei.com/column/news/171017/clm1710170005-n1.html
http://www.sankei.com/column/news/171017/clm1710170005-n2.html
朝鮮学校無償化訴訟で原告敗訴となり、原告側が「不当判決」と書かれた幕を掲げた=13日午後、東京地裁前
関連記事
【社説検証】(1)核・ミサイル 産経「日本の主体的役割訴え」 朝日「忍耐伴う外交努力を」
http://www.sankei.com/column/news/171017/clm1710170003-n1.html
【社説検証】(2)拉致 産経「全員帰国の決意新た」 読売 トランプ氏の国連演説「意義は大きい」
http://www.sankei.com/column/news/171017/clm1710170004-n1.html
【社説検証】(4)産経「国力衰退招くな」 各紙危機感、解決策に違い
http://www.sankei.com/column/news/171017/clm1710170006-n1.html
朝鮮学校を運営する学校法人などが国を相手取った裁判で今年7月、広島地裁は、国の措置を適法として訴えを退ける初の判断を示した。
産経は、北朝鮮や朝鮮総連の影響下にある学校運営の実態を踏まえ、当然の判決だと評価し、「拉致被害者を解放しない北朝鮮の独裁体制を支える教育内容などを不問にして、公金を使うことが妥当なのか。今回の判決を厳しく受け止めてもらいたい」と求めた。
読売も「不透明な学校運営の実態を踏まえた妥当な判断だと言えよう」と支持し、「政府が公金を投入する以上、不適切な使用を排除しなければ、国民の理解は得られまい」と指摘した。
これに対し、朝日は「教育の機会を公平に保障するという制度の理念に立ち返って判断すべきなのに、あまりに粗雑な論理で導いた判決だ」と厳しく批判。「朝鮮学校が総連と関係があるとしても『不当な支配』とまでいえるのか」と指摘した。
毎日も「今回の裁判所の判断は、無償化制度の趣旨に合っているのだろうか」と疑問を示した。
同種訴訟が全国5地裁・支部に起こされている。その後、7月の大阪地裁では「違法」、9月の東京地裁では「適法」と判断が分かれた。
朝日や毎日は、子供の学ぶ権利や機会を強調するが、朝鮮学校が対象外となったのは「適正な学校運営」という支給要件に該当しないためだ。広島地裁判決では、民族教育を受ける権利を侵害するとの原告の主張を退けている。
産経は、不透明な学校運営や教育内容の問題を是正しないまま、「差別というのは問題のすり替えにほかならない」とも指摘した。
高校無償化制度は、民主党政権が平成22年に導入したが、同じ年、北朝鮮が韓国・延坪島を砲撃する事件が起き、朝鮮学校への適用が見送られた。
産経は、教育内容不問で公金を投じることに一貫して反対した。読売は当初、「朝鮮学校を他の外国人学校とことさら区別するのは、無理があろう」(22年3月5日付)としていたが、「財務の透明化が欠かせない」(同9月3日付)など慎重派に転じた。
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