憲法裁判所裁判官8人は昨日会合を開き、現在空席となっている憲法裁判所長と裁判官を一日も早く任命するよう求める立場を表明した。大統領府が金二洙(キム・イス)憲法裁判所長権限代行体制を今後も維持するとの考えを発表し、これによって国会法制司法委員会が大混乱する事態が起こってから3日後のことだ。憲法裁判所は「憲法裁判所長と裁判官が空席となった状態が長期化すれば、憲法裁判所は通常の業務に支障を来すのはもちろん、憲法機関としての立場にも多くの問題が生じてしまう。この点について(裁判官らは)強く懸念している」「直ちに任命の手続きを進め、憲法裁判所本来の姿を早急に回復すべきとの認識で一致した」などとも訴えた。金二洙所長代行体制を維持するという大統領府の方針に事実上反対を表明したのだ。憲法裁判所裁判官が大統領の人事権について公に自らの立場を表明するのは今回が初めてだ。
現状の混乱を招いたのは言うまでもなく全て大統領府の責任だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今年5月、金二洙所長代行を新たな所長候補に指名したが、国会は金二洙氏のイデオロギーを問題視し、先月これを否決した。国会が大統領の権限をけん制する形となったのだ。この結果を受け、今後大統領は憲法裁判所長の資格を持つ新たな候補者を直ちに指名し、憲法裁判所が本来の体制を取り戻せるようにしなければならない。これは憲法に定められた大統領の責務だ。ところが文大統領はその後新たな候補者を指名しようとせず、今の代行体制を今後も維持するとの考えを示した。これはまさに職務怠慢であり、国会の権限を無視する独裁的な発想に他ならない。
またこれ以上に深刻な問題は、大統領府が代行体制維持を正当化するため、裁判官らの意向まで歪曲(わいきょく)しようとした点だ。大統領府は先月、任命同意案が否決された直後「裁判官らは金二洙所長代行体制の維持に同意している」と主張し始めた。文大統領も自らのフェイスブックで同じ主張を展開した。ところが裁判官らが代行体制を維持することにしたのは、新しい所長が任命されるまでのあくまで臨時の措置に他ならない。その結果、大統領府が発表した内容が完全な歪曲だったことが改めて明らかになった。
2017/10/17 10:32 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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