朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍紀が乱れ切っていることは、これまでもたびたび述べてきた。末端の兵士は飢えに苦しみ、女性兵士らは性的虐待に苦しんでいる。
さらにはそんなあり様を聞き知った若者やその親たちが、どうにか兵役から逃れようと知恵と財産を総動員し、ワイロに塗れた軍幹部がそれに協力することで、兵力不足に悩むようになっている。
それでも、戦略軍(弾道ミサイル部隊)や空軍など、北朝鮮では比較的ハイテクに属する部隊は、ある程度の水準が維持されているものだと思われてきた。
戦略軍は、今や金正恩党委員長の虎の子であり、人材や予算が優先的に割り当てられているのは間違いない。
空軍もまた、かつての北朝鮮の世界戦略を担った。ベトナム戦争当時、正恩氏の祖父である故金日成主席が空軍部隊を北ベトナムに送り、米軍戦闘機と死闘を演じさせたのだ。
しかし、そんな伝統も、今やすたれてしまった可能性がある。
23日深夜、米軍のB-1B戦略爆撃機2機とF-15C戦闘機5機の計7機からなる編隊が、朝鮮半島東海岸の北方限界線(海上の軍事境界線)より北側の、北朝鮮の領空に接した空域を飛行した米国防総省によれば、米爆撃機として「今世紀で最も北まで飛行した」という。
北朝鮮の元山(ウォンサン)から300キロの地点の上空を旋回したわけだが、韓国の情報機関・国家情報院(国情院)が明らかにしたところでは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)はスクランブルを含めて一切の反応を示さなかったとされる。
国情院はまた、米軍関係者の話として「(北朝鮮は)おそらく驚いただろう、北朝鮮は知らなかったようで、だから敢えてB-1Bの飛行ルートを公開した」のだと説明した。さらに、北朝鮮は、米軍が爆撃機の飛行ルートを公開した後になって、遅まきながら戦闘機を日本海側に追加配備したもようだという。
米軍機は過去に5回、北朝鮮に撃墜されたことがある。中でも1964年に清津(チョンジン)の南東160キロ海上の国際空域を飛行していた米海軍のEC-121早期警戒機が撃墜されたときには、乗組員31人全員が死亡する大惨事となった。米軍としては、それだけリスクの高い作戦を行ったわけだが、北朝鮮に感知されなかったことで米軍は多少拍子抜けしたようだ。
その理由について、電力難でレーダーが稼働していなかった、国際空域だったため対応を行わなかったなど様々な憶測が飛び交っているが、韓国空軍で防空レーダー管制業務を担当した経験を持つある将校は、韓国の世界日報の取材に「勤務怠慢だった可能性がある」と指摘した。
この将校は「土曜の深夜だったため、北朝鮮の防空レーダー管制要員が警戒勤務を怠ったか、レーダー施設が老朽化し、航跡を捉えられなかった可能性がある」と2つの可能性を示した。その上で「以前は捉えることができたのに今回はできなかったということは、勤務怠慢であった可能性がより高い」と指摘した。
北朝鮮は、SA-5地対空ミサイルのシステムの一部であるP-14/5N84Aレーダーを使い、600キロの範囲で追跡、監視を行っているため、元山から300キロのところを飛行していたB-1Bを充分に感知できたはずだ。しかし、もし感知したとしても、SA-5ミサイルの射程距離(250キロ)の外だったため、撃墜できなかっただろうと世界日報は指摘している。
それにしても、金正恩氏もたまったものではないだろう。米韓軍の「斬首作戦」を警戒して動線のあらゆる部分に気を使っているというのに、防空システムが機能しないとあってはどんな努力も無駄だ。金正恩氏としては文字通り、米軍が怖くてトイレにも行けない心情ではないだろうか。
2017.10.3
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171003/soc1710030002-n1.html
さらにはそんなあり様を聞き知った若者やその親たちが、どうにか兵役から逃れようと知恵と財産を総動員し、ワイロに塗れた軍幹部がそれに協力することで、兵力不足に悩むようになっている。
それでも、戦略軍(弾道ミサイル部隊)や空軍など、北朝鮮では比較的ハイテクに属する部隊は、ある程度の水準が維持されているものだと思われてきた。
戦略軍は、今や金正恩党委員長の虎の子であり、人材や予算が優先的に割り当てられているのは間違いない。
空軍もまた、かつての北朝鮮の世界戦略を担った。ベトナム戦争当時、正恩氏の祖父である故金日成主席が空軍部隊を北ベトナムに送り、米軍戦闘機と死闘を演じさせたのだ。
しかし、そんな伝統も、今やすたれてしまった可能性がある。
23日深夜、米軍のB-1B戦略爆撃機2機とF-15C戦闘機5機の計7機からなる編隊が、朝鮮半島東海岸の北方限界線(海上の軍事境界線)より北側の、北朝鮮の領空に接した空域を飛行した米国防総省によれば、米爆撃機として「今世紀で最も北まで飛行した」という。
北朝鮮の元山(ウォンサン)から300キロの地点の上空を旋回したわけだが、韓国の情報機関・国家情報院(国情院)が明らかにしたところでは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)はスクランブルを含めて一切の反応を示さなかったとされる。
国情院はまた、米軍関係者の話として「(北朝鮮は)おそらく驚いただろう、北朝鮮は知らなかったようで、だから敢えてB-1Bの飛行ルートを公開した」のだと説明した。さらに、北朝鮮は、米軍が爆撃機の飛行ルートを公開した後になって、遅まきながら戦闘機を日本海側に追加配備したもようだという。
米軍機は過去に5回、北朝鮮に撃墜されたことがある。中でも1964年に清津(チョンジン)の南東160キロ海上の国際空域を飛行していた米海軍のEC-121早期警戒機が撃墜されたときには、乗組員31人全員が死亡する大惨事となった。米軍としては、それだけリスクの高い作戦を行ったわけだが、北朝鮮に感知されなかったことで米軍は多少拍子抜けしたようだ。
その理由について、電力難でレーダーが稼働していなかった、国際空域だったため対応を行わなかったなど様々な憶測が飛び交っているが、韓国空軍で防空レーダー管制業務を担当した経験を持つある将校は、韓国の世界日報の取材に「勤務怠慢だった可能性がある」と指摘した。
この将校は「土曜の深夜だったため、北朝鮮の防空レーダー管制要員が警戒勤務を怠ったか、レーダー施設が老朽化し、航跡を捉えられなかった可能性がある」と2つの可能性を示した。その上で「以前は捉えることができたのに今回はできなかったということは、勤務怠慢であった可能性がより高い」と指摘した。
北朝鮮は、SA-5地対空ミサイルのシステムの一部であるP-14/5N84Aレーダーを使い、600キロの範囲で追跡、監視を行っているため、元山から300キロのところを飛行していたB-1Bを充分に感知できたはずだ。しかし、もし感知したとしても、SA-5ミサイルの射程距離(250キロ)の外だったため、撃墜できなかっただろうと世界日報は指摘している。
それにしても、金正恩氏もたまったものではないだろう。米韓軍の「斬首作戦」を警戒して動線のあらゆる部分に気を使っているというのに、防空システムが機能しないとあってはどんな努力も無駄だ。金正恩氏としては文字通り、米軍が怖くてトイレにも行けない心情ではないだろうか。
2017.10.3
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171003/soc1710030002-n1.html