自転車を共有するバイクシェアのサービスが、日本でも本格化してきた。スマホを使って簡単に借りられ、通勤、通学などに使える。地下鉄やバスに乗るほど遠くはないが、歩いていくのは大変。そんな時に重宝されそうだ。
中国の自転車シェア大手「モバイク」は札幌市で、8月23日からサービスを始めた。スマホに専用アプリをダウンロードすると、地図上から近くの専用駐輪所の空き自転車を探せる。スマホを使って解錠して乗り、目的地付近の別の駐輪所で返却できる。
自治体などが各地で展開するシティサイクルやレンタサイクルと比べ、乗り降り地点が多くて便利。使用料も30分50円(8月中は無料)と安い。アプリにクレジットカード情報などを連携させることで、スマホで使用料を払える(ほかに保証金3千円が必要)。
乗る時は自転車に貼ってあるQRコードをスマホで読み取り、鍵を解除。降りる時はその鍵を施錠するだけ。自転車にはSIMカードやGPSが埋め込まれ、位置や利用状況を把握できる。定期的に再配置することで、置き場所が特定地点に偏らないようにする。
モバイク発祥の中国では、こうした自転車共有サービスが2015年に始まった。1年足らずで各都市に広がり、1億人超が使う。
「通勤で毎日利用する」(四川省成都市の女性)、「週末に遊びにでかける時に使う。運動にもなる」(上海市の女性)と、今や日常生活に欠かせぬ交通手段に。数十の事業者がサービスを競い合う。
モバイクなど中国の大手は、今年に入って日本、欧州、東南アジアなどへの海外進出を積極化している。日本へ最初に進出したのがモバイク。同社は「自転車に埋め込むSIMカードを変えればよいだけなので、海外進出は難しいことではなかった」と説明する。
一方で、乗り降りの仕方は日本の実情に合うように変えた。中国では好きな場所で乗り降りできるが、日本は路上での無断駐輪などへの目が厳しい。そこで、札幌市内のコンビニ、ドラッグストアや個人商店と提携し、数十カ所の専用駐輪所を設けた。
自転車は数百台ある。提携駐輪所を今後さらに増やし、中国のように「好きな場所で乗り降りできる」サービスに近づけるという。
モバイクと並ぶ中国の自転車シェア大手「ofo(オッフォ)」も、9月からサービスを始める予定。「ソフトバンクコマース&サービス」と連携し、東京と大阪で始める。
国内では、NTTドコモのグループ会社「ドコモ・バイクシェア」が、東京都内7区(中央、港、千代田、江東、文京、新宿、大田)で同様なサービスをすでに展開する。都心部で時々見かける赤い小さな自転車だ。
7月末時点で、都内の駐輪所は311地点、自転車は4210台。料金は30分150円からで、月額制や1日利用もある。同社によると、16年度だけで約180万回利用された。通勤、通学で使う人が多いという。電動アシスト付きなのも、人気の理由かもしれない。
都心での交通手段をより便利に多様にする自転車シェア。広がる背景には「東京五輪を控え、自治体の要請が高まっている」(ドコモ・バイクシェアの担当者)ことも一因のようだ。
いち早く普及した中国では、借りた自転車を所構わずとめる人が増えるなど“無法化”が社会問題となった。迷惑駐輪に怒った住民が、シェア自転車を川に捨てる騒ぎも起きている。
利用者のマナー次第で摩擦も生みそうな自転車シェアだが、それだけ手軽に使えるということ。スマホの普及で、自転車の乗り方も大きく変わりつつある。(本誌・大塚淳史)
※週刊朝日 オンライン限定記事
https://dot.asahi.com/wa/2017083000071.html
中国の自転車シェア大手「モバイク」は札幌市で、8月23日からサービスを始めた。スマホに専用アプリをダウンロードすると、地図上から近くの専用駐輪所の空き自転車を探せる。スマホを使って解錠して乗り、目的地付近の別の駐輪所で返却できる。
自治体などが各地で展開するシティサイクルやレンタサイクルと比べ、乗り降り地点が多くて便利。使用料も30分50円(8月中は無料)と安い。アプリにクレジットカード情報などを連携させることで、スマホで使用料を払える(ほかに保証金3千円が必要)。
乗る時は自転車に貼ってあるQRコードをスマホで読み取り、鍵を解除。降りる時はその鍵を施錠するだけ。自転車にはSIMカードやGPSが埋め込まれ、位置や利用状況を把握できる。定期的に再配置することで、置き場所が特定地点に偏らないようにする。
モバイク発祥の中国では、こうした自転車共有サービスが2015年に始まった。1年足らずで各都市に広がり、1億人超が使う。
「通勤で毎日利用する」(四川省成都市の女性)、「週末に遊びにでかける時に使う。運動にもなる」(上海市の女性)と、今や日常生活に欠かせぬ交通手段に。数十の事業者がサービスを競い合う。
モバイクなど中国の大手は、今年に入って日本、欧州、東南アジアなどへの海外進出を積極化している。日本へ最初に進出したのがモバイク。同社は「自転車に埋め込むSIMカードを変えればよいだけなので、海外進出は難しいことではなかった」と説明する。
一方で、乗り降りの仕方は日本の実情に合うように変えた。中国では好きな場所で乗り降りできるが、日本は路上での無断駐輪などへの目が厳しい。そこで、札幌市内のコンビニ、ドラッグストアや個人商店と提携し、数十カ所の専用駐輪所を設けた。
自転車は数百台ある。提携駐輪所を今後さらに増やし、中国のように「好きな場所で乗り降りできる」サービスに近づけるという。
モバイクと並ぶ中国の自転車シェア大手「ofo(オッフォ)」も、9月からサービスを始める予定。「ソフトバンクコマース&サービス」と連携し、東京と大阪で始める。
国内では、NTTドコモのグループ会社「ドコモ・バイクシェア」が、東京都内7区(中央、港、千代田、江東、文京、新宿、大田)で同様なサービスをすでに展開する。都心部で時々見かける赤い小さな自転車だ。
7月末時点で、都内の駐輪所は311地点、自転車は4210台。料金は30分150円からで、月額制や1日利用もある。同社によると、16年度だけで約180万回利用された。通勤、通学で使う人が多いという。電動アシスト付きなのも、人気の理由かもしれない。
都心での交通手段をより便利に多様にする自転車シェア。広がる背景には「東京五輪を控え、自治体の要請が高まっている」(ドコモ・バイクシェアの担当者)ことも一因のようだ。
いち早く普及した中国では、借りた自転車を所構わずとめる人が増えるなど“無法化”が社会問題となった。迷惑駐輪に怒った住民が、シェア自転車を川に捨てる騒ぎも起きている。
利用者のマナー次第で摩擦も生みそうな自転車シェアだが、それだけ手軽に使えるということ。スマホの普及で、自転車の乗り方も大きく変わりつつある。(本誌・大塚淳史)
※週刊朝日 オンライン限定記事
https://dot.asahi.com/wa/2017083000071.html