「デモと街頭政治が習慣になったら、韓国の民主主義にとっては毒だろう」
民主主義論の世界的な権威に挙げられるスタンフォード大学のラリー・ダイアモンド教授(68)が、現在の韓国政治の状況について投げ掛けた忠告だ。ダイアモンド教授は40年近くにわたり、民主主義の理論家および活動家として活躍してきた。ブッシュ政権時代に合衆国国際開発庁(USAID)の相談役を務め、イラクとイエメンの「民主化プロセス」の諮問を行った。
2008年に出版した『The Spirit of Democracy』(民主主義の精神)は、世界の民主主義転換プロセスを整理した名著に挙げられる。
ダイアモンド教授は、東アジア研究院(EAI)主催のカンファレンスに出席するため、最近韓国を訪れた。教授は、本紙のインタビューで「街頭政治は最後の手段だ。問題が起こるたび利害団体が街角に飛び出すのは、民主主義のためにならない」と語った。
ダイアモンド教授は、2000年に『Institutional Reform and Democratic Consolidation in Korea』(韓国における制度改革と民主主義の強化)という著書を出した知韓派だ。韓国を研究することになったきっかけについて「短期間で高いレベルの民主主義を築き上げた話に深い感銘を受けた」と語った。
ダイアモンド教授は「近頃韓国は大統領弾劾というトラウマを経験したが、民主主義のシステムが成熟し、平和裏に作動していることを示した」と評した。しかし、新政権発足後も依然として各種のデモが起きている状況には懸念を示した。
「デモが続くと、結局は一番声が大きい勢力、一番よく組織化された勢力が注目されることになる。そのせいで民意がねじ曲げられ、政策にきちんと反映されないということも起こり得る」とダイアモンド教授は診断した。また、理想的な価値にこだわって間違いを犯す左派政権の限界も指摘した。「社会的不平等を解決しなければならないという焦燥感のせいで、(過激な政策を急進的に推し進め)しばしばやり過ぎるケースがある」という。
ダイアモンド教授は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権について「社会構造的な改革など、当面している課題を避けずに正面から取り上げるべき」とアドバイスした。韓国社会が直面している「不都合な課題」には、高齢化や年金改革などを挙げた。こうした課題は「進歩と保守の問題ではなく、『数学の問題』に近い」と語った。
ダイアモンド教授は「最も有能なリーダーは、政治的に難しい課題を避けない。現在だけでなく、未来についても責任を負わなければならない」と語った。
北朝鮮の人権にもかなり関心がある。2015年にNPO「HRF」(人権財団)と共に韓国を訪れ、韓国における北朝鮮人権法の国会通過を求めた。ダイアモンド教授は「北朝鮮は、地球上で唯一無二の全体主義(totalitarian)国家。韓国政府は、北朝鮮市民が情報に直接アクセスできるよう、もっと努力しなければならない」と語った。
またダイアモンド教授は、「ソーシャルメディアが政治的二極化を呼んだ」として、ミレニアル世代(1980−2000年代初頭生まれ)に対する教育と批判的思考の重要性を力説した。ダイアモンド教授は「ソーシャルメディアが情報共有や民主化など、前向きな役割を果たしたのは事実だが、自分と似た考えの者同士でしか集まらない『社会的同質化(homophily)』現象が深刻」と語った。
実際、米国では利害が衝突する二つの集団の間で共通分母が全くなく、討論そのものが成り立たないというケースがしばしばあるという。互いに見たいものしか見ないせいで、知っているファクトそのものが異なっているからだ。「相互尊重がないのは民主主義にとって実に致命的」とダイアモンド教授は語った。
2017/08/20 06:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/18/2017081801556.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/18/2017081801556_2.html
民主主義論の世界的な権威に挙げられるスタンフォード大学のラリー・ダイアモンド教授(68)が、現在の韓国政治の状況について投げ掛けた忠告だ。ダイアモンド教授は40年近くにわたり、民主主義の理論家および活動家として活躍してきた。ブッシュ政権時代に合衆国国際開発庁(USAID)の相談役を務め、イラクとイエメンの「民主化プロセス」の諮問を行った。
2008年に出版した『The Spirit of Democracy』(民主主義の精神)は、世界の民主主義転換プロセスを整理した名著に挙げられる。
ダイアモンド教授は、東アジア研究院(EAI)主催のカンファレンスに出席するため、最近韓国を訪れた。教授は、本紙のインタビューで「街頭政治は最後の手段だ。問題が起こるたび利害団体が街角に飛び出すのは、民主主義のためにならない」と語った。
ダイアモンド教授は、2000年に『Institutional Reform and Democratic Consolidation in Korea』(韓国における制度改革と民主主義の強化)という著書を出した知韓派だ。韓国を研究することになったきっかけについて「短期間で高いレベルの民主主義を築き上げた話に深い感銘を受けた」と語った。
ダイアモンド教授は「近頃韓国は大統領弾劾というトラウマを経験したが、民主主義のシステムが成熟し、平和裏に作動していることを示した」と評した。しかし、新政権発足後も依然として各種のデモが起きている状況には懸念を示した。
「デモが続くと、結局は一番声が大きい勢力、一番よく組織化された勢力が注目されることになる。そのせいで民意がねじ曲げられ、政策にきちんと反映されないということも起こり得る」とダイアモンド教授は診断した。また、理想的な価値にこだわって間違いを犯す左派政権の限界も指摘した。「社会的不平等を解決しなければならないという焦燥感のせいで、(過激な政策を急進的に推し進め)しばしばやり過ぎるケースがある」という。
ダイアモンド教授は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権について「社会構造的な改革など、当面している課題を避けずに正面から取り上げるべき」とアドバイスした。韓国社会が直面している「不都合な課題」には、高齢化や年金改革などを挙げた。こうした課題は「進歩と保守の問題ではなく、『数学の問題』に近い」と語った。
ダイアモンド教授は「最も有能なリーダーは、政治的に難しい課題を避けない。現在だけでなく、未来についても責任を負わなければならない」と語った。
北朝鮮の人権にもかなり関心がある。2015年にNPO「HRF」(人権財団)と共に韓国を訪れ、韓国における北朝鮮人権法の国会通過を求めた。ダイアモンド教授は「北朝鮮は、地球上で唯一無二の全体主義(totalitarian)国家。韓国政府は、北朝鮮市民が情報に直接アクセスできるよう、もっと努力しなければならない」と語った。
またダイアモンド教授は、「ソーシャルメディアが政治的二極化を呼んだ」として、ミレニアル世代(1980−2000年代初頭生まれ)に対する教育と批判的思考の重要性を力説した。ダイアモンド教授は「ソーシャルメディアが情報共有や民主化など、前向きな役割を果たしたのは事実だが、自分と似た考えの者同士でしか集まらない『社会的同質化(homophily)』現象が深刻」と語った。
実際、米国では利害が衝突する二つの集団の間で共通分母が全くなく、討論そのものが成り立たないというケースがしばしばあるという。互いに見たいものしか見ないせいで、知っているファクトそのものが異なっているからだ。「相互尊重がないのは民主主義にとって実に致命的」とダイアモンド教授は語った。
2017/08/20 06:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/18/2017081801556.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/18/2017081801556_2.html