【兵庫】兵庫県立湊川高校定時制(神戸市長田区)の元教員、在日2世の方政雄さん(66)が外国籍としては初めての「文部科学大臣功労者表彰」を受賞する。
方さんは92年に採用された県の外国籍教員第1号。同校で第2外国語の必修科目「朝鮮語」の授業を受け持ち、昨年度に定年退職するまで教壇に立ってきた。
定時制高校で「朝鮮語」授業
方さんは湊川高校での長年の定時制教育が認められ、文部科学省初等中等教育局長から「全国高等学校定時制通信制教育70周年記念功労表彰者」の決定通知を受けた。
推薦者数は全国で282人、県内からは12人だった。記念式典は28日、東京・千代田区にある都市センターホテル「コスモスホール」で行われる。
方さんは91年韓日政府間「覚書」に基づく外国籍教員の任用制限について、退職寸前まで県と話し合いを重ねてきた当事者の一人。
この間、若干の進展はあったものの、大枠は微動だにしなかった。それだけに、通知を複雑な思いで受け取ったという。最後はこれからの後輩のためにと思い直し受賞することにした。
湊川高校定時制が全国で初めて「朝鮮語」の授業を開設したのは73年。生徒たちが「なぜ朝鮮語せんなあかんねん」と反発していたころ、金時鐘さん(詩人)の後任として赴任した。
当時はまだ「外国人が公立学校の正教員」ということが認知されていなかったときだった。家庭訪問すると、「なぜ、担任が韓国人なのだ」というまなざしを感じたという。
方さんは「言葉を学ぶことこそが隣国をゆがみなく理解することにつながる」との信念のもと、学校内外の人権教育にも熱心に取り組んできた。
教職員や保護者、一般市民を対象とした講演・講話は87年から10年までの23年間で140回を数え、延べ1万5000人が受講した。
翌11年に「人権教育を中心に据えた特色ある学校づくりに貢献した」ことが認められて県教委「兵庫県優秀教職員表彰」を在日として初めて受賞した。
96年から伊丹マダン実行委員会委員長。このほか、兵庫県国際理解教育研究プロジェクト研究員(教員代表)、伊丹市人権教育・啓発推進会議委員などを歴任。
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元教員の方政雄さん