米国のトランプ大統領は先日「北朝鮮による長距離核ミサイルの開発を放置するのなら、むしろ北朝鮮との戦争を選ぶ」と述べた。米共和党のグラム上院議員が昨日明らかにした。
グラム議員によると、トランプ大統領は「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を阻止する戦争が起こったとしても、それはそこで起こり、数千人が死んだとしてもそこで死ぬ。ここで死ぬわけではない」と述べたという。
「そこ」とは言うまでもなく韓半島(朝鮮半島)であり、「ここ」とは米国だ。ホワイトハウスもグラム議員の発言内容を否定しなかった。
誇張や突発的な行動が多いトランプ大統領だが、それでも米国大統領の口から「戦争」という言葉が出たからには、これを軽く受け流すわけにはいかない。
「米本土と米国人を守るためなら、最悪の場合、韓国人が犠牲になったとしても戦争をいとわない」というその言葉は、トランプ大統領の極端な「アメリカ・ファースト」の考えを如実に示している。
このような人物が米国大統領だという事実は、現時点での韓国の安全保障政策における大きな変数の一つだ。
一方で同じ日にティラーソン米国務長官は「ある時点で北朝鮮との生産的な対話を望む」と述べ、上記のトランプ大統領の言葉とは正反対の考えを表明した。
ティラーソン氏は「北朝鮮政権の崩壊や、38度線より北側の米軍進駐は全く考えていない」とした上で、北朝鮮に事実上の対話を提案した。北朝鮮の非核化を前提としたものだが、発言の中では「いつでも対話に応じる」との点も強調されていた。
米国の大統領と国務長官が互いに矛盾したメッセージを同時に発したことは、米政府内で少なからぬ混乱があるようにも見えるし、このような現状のトランプ政権を本当に信頼すべきか疑問に感じるのも事実だ。
しかし二人の発言が矛盾していることは、ある意味今の現実を正確に反映したものとも考えられる。米国はあらゆる戦略を検討しており、それがどのような結論に落ち着くかは今のところ誰にも分からないからだ。
「戦争」は口にすることはできても、実行に移すには大きなハードルがある。そのため最終的には米朝が交渉のテーブルに座る可能性も常に念頭に置いておかねばならない。
しかもトランプ大統領は米国内でも非常に追い込まれていることから、局面を打開するために北朝鮮との交渉を指示する可能性も排除できない。
ニューヨーク・タイムズ紙はトランプ大統領に対し「虚勢を張らずティラーソン国務長官を平壌に送るべき」との社説を昨日掲載した。民主党のエド・マーキー上院議員らも北朝鮮の核とミサイルの凍結を前提としつつ、北朝鮮との直接対話を主張し始めている。
一方でトランプ大統領の「戦争も辞さず」発言にも、あるいはティラーソン国務長官が語る「米朝交渉」にも「韓国」への言及は全くない。
この重大な時期に韓国大統領府の幹部は韓米首脳の電話会談が行われないことについて「議題もないのに大統領がただ電話会談をやるわけにはいかない」と信じられない弁明を行った。
米国大統領の口から「戦争」という言葉が飛び出し、国務長官は韓国抜きでの北朝鮮との交渉に言及したのだが、韓国にとってこれ以上に重要な議題があるのだろうか。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は休暇先でインドネシア国防長官の表敬を受けた。安全保障面での危機的状況にもかかわらず休暇に行ったことへの批判を意識したようだが、このことで逆にトランプ大統領との電話会談がなかった背景が一層気になるようになった。
このままでは米国が強攻策と宥和(ゆうわ)策のどちらに出ても、韓国が知らない間に韓半島の運命が決まる恐れが高まった。
「コリア・パッシング」が現実となる中、これについても大統領府は「コリア・パッシングという言葉は適切でない」としか言わなかった。安全保障環境が激変する中、大統領府が国民に説明する内容は相変わらず大統領が休暇に行ったことへの弁明だけだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/03/2017080300947.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/03/2017080300947_2.html
グラム議員によると、トランプ大統領は「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を阻止する戦争が起こったとしても、それはそこで起こり、数千人が死んだとしてもそこで死ぬ。ここで死ぬわけではない」と述べたという。
「そこ」とは言うまでもなく韓半島(朝鮮半島)であり、「ここ」とは米国だ。ホワイトハウスもグラム議員の発言内容を否定しなかった。
誇張や突発的な行動が多いトランプ大統領だが、それでも米国大統領の口から「戦争」という言葉が出たからには、これを軽く受け流すわけにはいかない。
「米本土と米国人を守るためなら、最悪の場合、韓国人が犠牲になったとしても戦争をいとわない」というその言葉は、トランプ大統領の極端な「アメリカ・ファースト」の考えを如実に示している。
このような人物が米国大統領だという事実は、現時点での韓国の安全保障政策における大きな変数の一つだ。
一方で同じ日にティラーソン米国務長官は「ある時点で北朝鮮との生産的な対話を望む」と述べ、上記のトランプ大統領の言葉とは正反対の考えを表明した。
ティラーソン氏は「北朝鮮政権の崩壊や、38度線より北側の米軍進駐は全く考えていない」とした上で、北朝鮮に事実上の対話を提案した。北朝鮮の非核化を前提としたものだが、発言の中では「いつでも対話に応じる」との点も強調されていた。
米国の大統領と国務長官が互いに矛盾したメッセージを同時に発したことは、米政府内で少なからぬ混乱があるようにも見えるし、このような現状のトランプ政権を本当に信頼すべきか疑問に感じるのも事実だ。
しかし二人の発言が矛盾していることは、ある意味今の現実を正確に反映したものとも考えられる。米国はあらゆる戦略を検討しており、それがどのような結論に落ち着くかは今のところ誰にも分からないからだ。
「戦争」は口にすることはできても、実行に移すには大きなハードルがある。そのため最終的には米朝が交渉のテーブルに座る可能性も常に念頭に置いておかねばならない。
しかもトランプ大統領は米国内でも非常に追い込まれていることから、局面を打開するために北朝鮮との交渉を指示する可能性も排除できない。
ニューヨーク・タイムズ紙はトランプ大統領に対し「虚勢を張らずティラーソン国務長官を平壌に送るべき」との社説を昨日掲載した。民主党のエド・マーキー上院議員らも北朝鮮の核とミサイルの凍結を前提としつつ、北朝鮮との直接対話を主張し始めている。
一方でトランプ大統領の「戦争も辞さず」発言にも、あるいはティラーソン国務長官が語る「米朝交渉」にも「韓国」への言及は全くない。
この重大な時期に韓国大統領府の幹部は韓米首脳の電話会談が行われないことについて「議題もないのに大統領がただ電話会談をやるわけにはいかない」と信じられない弁明を行った。
米国大統領の口から「戦争」という言葉が飛び出し、国務長官は韓国抜きでの北朝鮮との交渉に言及したのだが、韓国にとってこれ以上に重要な議題があるのだろうか。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は休暇先でインドネシア国防長官の表敬を受けた。安全保障面での危機的状況にもかかわらず休暇に行ったことへの批判を意識したようだが、このことで逆にトランプ大統領との電話会談がなかった背景が一層気になるようになった。
このままでは米国が強攻策と宥和(ゆうわ)策のどちらに出ても、韓国が知らない間に韓半島の運命が決まる恐れが高まった。
「コリア・パッシング」が現実となる中、これについても大統領府は「コリア・パッシングという言葉は適切でない」としか言わなかった。安全保障環境が激変する中、大統領府が国民に説明する内容は相変わらず大統領が休暇に行ったことへの弁明だけだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/03/2017080300947.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/03/2017080300947_2.html