制裁を通じて北朝鮮にミサイル開発プログラムを断念させるにはもはや手遅れになった可能性がある。金正恩朝鮮労働党委員長による大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発計画をモニターしてきた専門家らがこのような見方を示している。
先月4日に続き、2回目となった28日のICBM試射は、米国全土を射程に収める本格的な核弾頭搭載ICBMの完成が時間の問題だということを示した。
北朝鮮経済が持ちこたえていることに加え、核開発プログラムが初期コストを必要とする段階を過ぎたため、同国の財政を締め付けようとする取り組みの効果は薄れつつあると、専門家らは分析する。
この結果、トランプ大統領の北朝鮮政策の選択肢は限られた。軍事攻撃に踏み切れば朝鮮半島に壊滅的影響を及ぼす恐れがある一方で、金委員長が交渉開始の条件としている譲歩にも米国は消極的だからだ。
北朝鮮に関する著作がある国民大学(ソウル)のアンドレイ・ランコフ准教授は、「今後、どれだけ制裁を科しても金委員長がICBMを手にするのを阻めないだろう」とした上で、「実際、金一族の支配は長く続く可能性が高いが、これが続く限り、非核化は不可能だ」と指摘した。
一方、国際紛争の分析・提言を行うシンクタンク、国際危機グループの北東アジア上級顧問、マイケル ・コブリグ氏は、現段階では圧力とインセンティブ、現体制の保証を組み合わせることによって北朝鮮の兵器開発を制限できる可能性があるとの見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-02/OU185C6S973301