韓国の文在寅大統領は、北朝鮮の弾道ミサイル発射後の29日未明に開いた国家安全保障会議(NSC)で、韓国南部で配備が始まっている米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について、配備済みの2基から増強することを米国と協議するよう指示した。
文氏はNSCで「強力な武力示威の展開」を指示。米韓両軍は29日午前5時45分(日本時間同)ごろ、韓国東部の日本海側で弾道ミサイルの発射演習を実施した。両軍のミサイル演習は、北朝鮮による前回のミサイル発射の翌5日以来。
宋永武国防相は「韓米両政府は挑発に断固対応し、戦略兵器を展開させる」と予告した。
韓国は北朝鮮の核・ミサイル開発の進展が止まらない状況を受け、中国やロシア、地元住民の反対でTHAADの追加配備を遅らせようとしていた方針を転換、米軍と協調した抑止力の象徴として配備に積極的に乗り出す姿勢を見せた。(共同)
http://www.sankei.com/photo/story/news/170729/sty1707290007-n1.html
【北ミサイル】現実路線へと方針転換の文政権 THAADを増強、本格運用へ 独自制裁も 弾道ミサイル発射でも北を威嚇
【ソウル=名村隆寛】 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、29日未明に国家安全保障会議(NSC)を招集した。文氏は韓国独自の対北制裁を検討するよう指示した。
北朝鮮との対話に固執してきた文氏だが、ミサイル発射という強硬な反応を前に、現実路線へと方針転換を迫られたかたちだ。
韓国大統領府によれば、文氏は「北東アジアの安保構図に根本的な変化をもたらす可能性がある」と指摘。
文氏は韓国で配備が始まった米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について配備済みの2基からの増強を米国側と協議するよう指示し、韓国軍は在韓米軍に保管中の4基を追加配備することを発表した。
米韓両軍は北朝鮮のミサイル発射から約6時間後の同日早朝、韓国東海岸側で弾道ミサイルの発射訓練を行い北朝鮮を威嚇。文氏の指示を受け、韓国は米国とミサイル指針協定の改定についても協議を始めた。
文在寅政権はこれまで北朝鮮に対し、軍事境界線付近での緊張緩和に向けた軍当局間会談と、離散家族再会事業の実施についての赤十字会談開催を求めてきた。
また、文氏がTHAAD配備地に対する一般環境影響評価(アセスメント)を行う方針を示したことを受け、韓国国防省は28日、環境アセスの実施を正式に発表したばかりだった。
国防省は評価結果に従いTHAAD配備完了の可否を決めるとし、本格運用の開始は来年以降にずれ込むことが不可避だったが、「臨時的」とはいえ、文政権の方針は一夜明けて大転換した。
北朝鮮が対話の呼びかけを無視しミサイル発射で応じてきたことで、文政権は手詰まり状態に追い込まれた。対北対話やTHAADの運用先延ばしなどする余裕もなくなったことが、文氏に方針転換を余儀なくさせた背景にある。
ドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議直後の今月11日に開かれた閣議で、文氏は「最も切迫している朝鮮半島問題にもかかわらず、われわれには解決する力も合意を導く力もない」と対話路線の限界を示唆した。現実に基づく国益重視の外交を強調してもいた。
対北圧力で米国と一層協力していく構えの文政権だが、一方では今回の北朝鮮のミサイル発射の発表やNSCの招集が日本政府に後れをとったことで、対応の甘さが指摘されている。
http://www.sankei.com/world/news/170729/wor1707290047-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170729/wor1707290047-n2.html
韓米両軍が合同ミサイル演習 韓国東部の日本海側で
29日、韓国東部の日本海側で行われた米韓両軍のミサイル発射演習(韓国軍合同参謀本部提供・聯合=共同)
29日、国家安全保障会議で発言する韓国の文在寅大統領=ソウル(韓国大統領府提供・聯合=共同)
文氏はNSCで「強力な武力示威の展開」を指示。米韓両軍は29日午前5時45分(日本時間同)ごろ、韓国東部の日本海側で弾道ミサイルの発射演習を実施した。両軍のミサイル演習は、北朝鮮による前回のミサイル発射の翌5日以来。
宋永武国防相は「韓米両政府は挑発に断固対応し、戦略兵器を展開させる」と予告した。
韓国は北朝鮮の核・ミサイル開発の進展が止まらない状況を受け、中国やロシア、地元住民の反対でTHAADの追加配備を遅らせようとしていた方針を転換、米軍と協調した抑止力の象徴として配備に積極的に乗り出す姿勢を見せた。(共同)
http://www.sankei.com/photo/story/news/170729/sty1707290007-n1.html
【北ミサイル】現実路線へと方針転換の文政権 THAADを増強、本格運用へ 独自制裁も 弾道ミサイル発射でも北を威嚇
【ソウル=名村隆寛】 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、29日未明に国家安全保障会議(NSC)を招集した。文氏は韓国独自の対北制裁を検討するよう指示した。
北朝鮮との対話に固執してきた文氏だが、ミサイル発射という強硬な反応を前に、現実路線へと方針転換を迫られたかたちだ。
韓国大統領府によれば、文氏は「北東アジアの安保構図に根本的な変化をもたらす可能性がある」と指摘。
文氏は韓国で配備が始まった米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について配備済みの2基からの増強を米国側と協議するよう指示し、韓国軍は在韓米軍に保管中の4基を追加配備することを発表した。
米韓両軍は北朝鮮のミサイル発射から約6時間後の同日早朝、韓国東海岸側で弾道ミサイルの発射訓練を行い北朝鮮を威嚇。文氏の指示を受け、韓国は米国とミサイル指針協定の改定についても協議を始めた。
文在寅政権はこれまで北朝鮮に対し、軍事境界線付近での緊張緩和に向けた軍当局間会談と、離散家族再会事業の実施についての赤十字会談開催を求めてきた。
また、文氏がTHAAD配備地に対する一般環境影響評価(アセスメント)を行う方針を示したことを受け、韓国国防省は28日、環境アセスの実施を正式に発表したばかりだった。
国防省は評価結果に従いTHAAD配備完了の可否を決めるとし、本格運用の開始は来年以降にずれ込むことが不可避だったが、「臨時的」とはいえ、文政権の方針は一夜明けて大転換した。
北朝鮮が対話の呼びかけを無視しミサイル発射で応じてきたことで、文政権は手詰まり状態に追い込まれた。対北対話やTHAADの運用先延ばしなどする余裕もなくなったことが、文氏に方針転換を余儀なくさせた背景にある。
ドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議直後の今月11日に開かれた閣議で、文氏は「最も切迫している朝鮮半島問題にもかかわらず、われわれには解決する力も合意を導く力もない」と対話路線の限界を示唆した。現実に基づく国益重視の外交を強調してもいた。
対北圧力で米国と一層協力していく構えの文政権だが、一方では今回の北朝鮮のミサイル発射の発表やNSCの招集が日本政府に後れをとったことで、対応の甘さが指摘されている。
http://www.sankei.com/world/news/170729/wor1707290047-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170729/wor1707290047-n2.html
韓米両軍が合同ミサイル演習 韓国東部の日本海側で
29日、韓国東部の日本海側で行われた米韓両軍のミサイル発射演習(韓国軍合同参謀本部提供・聯合=共同)
29日、国家安全保障会議で発言する韓国の文在寅大統領=ソウル(韓国大統領府提供・聯合=共同)