文在寅(ムン・ジェイン)政権が北朝鮮に軍事会談、赤十字会談を申し入れたことに関連し、米国ではホワイトハウス、国務省、国防総省が17日、異口同音に「韓国政府に聞いてもらいたい」という反応を示した。韓国政府は「米国に事前に説明し、米国も十分に理解した」と指摘したが、米国側のムードは「理解」には程遠い様子だ。
ホワイトハウスからしてしっくりしない反応だ。スパイサー報道官は「発言は明らかに韓国政府から出たものであり、韓国に質問が向けられることを望む」と述べた。「明らかに韓国政府から出たもの」との表現は、韓国政府の方針が米国とは異なるという意味と受け止められる。同報道官は「トランプ大統領は(北朝鮮との)対話に向け満たすべき条件を明確にしてきた。それら条件は我々がいる位置とは明らかにかけ離れている」と指摘した。
国務省と国防総省の東アジア・太平洋担当報道官も韓国の対話提案について、「韓国政府にコメントを求めてほしい」と電子メールで回答した。米政府内部で事前にコメントの調整が図られていたもようだ。トランプ政権発足後、米国務省と国防総省が「韓国政府に聞いてもらいたい」と論評したことは過去にも一度ある。先月に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の環境影響評価をめぐる論争が起きた際のことだ。両省のコメントは当時も示し合わせたように一致していた。トランプ政権による「韓国政府に聞いてもらいたい」との反応は、事実上「米国とは考えが異なる」という意味だ。
韓国が北朝鮮に提案した軍事会談、赤十字会談のうち、離散家族再会に向けた赤十字会談については、米国も容認する雰囲気だ。ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)アジア担当補佐官を務めたマイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)副所長は最近、本紙のインタビューに対し、「離散家族再会といった人道主義的な支援については、米国に大きな異存はないはずだ」と述べている。
しかし、軍事会談となると話が違ってくる。北朝鮮が「核・ミサイル」で暴走する状況で開かれる南北軍事会談は、北朝鮮の一方的な政治宣伝の舞台になりかねない。北朝鮮が8月末の韓米合同軍事演習の縮小や拡声器による宣伝放送の中断を要求し、韓半島(朝鮮半島)が緊張している責任を韓米に転嫁するとの観測もある。ワシントンの外交筋は「韓国が軍事会談で核・ミサイルによる挑発の中断を要求しても、北朝鮮は『米国との問題だ』として聞く耳を持たないはずだ。韓国は対話を急いでいる感がある」と話した。今月初めの主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、韓米日の首脳は対北朝鮮制裁での協調に合意したが、韓国が対話へと軌道を離脱すれば、3カ国による協調体制は揺らぎかねない。さらに、中国・ロシアが南北対話を見守るムードをつくり出せば、国連安全保障理事会などを通じた対北朝鮮制裁の努力も水の泡になる懸念がある。米政府筋は同日、VOA放送に対し、「(対話の)時期などについて、韓米間でやや気流の違いがあると考えている」と述べた。これは米国側の内心を反映した発言と言えるだろう。
北朝鮮との対話に関するトランプ政権の立場は明確だ。「非核化が前提」というものだ。今月4日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試験発射した後、米国は対話よりも制裁強化を重視している。米国は最近、中国・丹東銀行を制裁したのに続き、北朝鮮の主要輸出品である石炭、衣類などを大量に輸入する中国企業10社の社名を対北朝鮮制裁法案に初めて明示した。オバマ政権では中国との衝突を懸念して控えていた「セカンダリー・ボイコット」(北朝鮮と取引する第三国の企業に対する制裁)に本格的に踏み切った格好だ。米国は国連安保理を通じ、金正恩(キム・ジョンウン)政権の命綱である原油の供給中断を目指している。消息筋は「米国は文在寅政権の南北会談提案で対北朝鮮制裁戦線に穴が開くと懸念しているようだ」と語った。
ワシントン=趙儀俊(チョ・ウィジュン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/07/19/2017071900716.html
記事入力 : 2017/07/19 08:34
ホワイトハウスからしてしっくりしない反応だ。スパイサー報道官は「発言は明らかに韓国政府から出たものであり、韓国に質問が向けられることを望む」と述べた。「明らかに韓国政府から出たもの」との表現は、韓国政府の方針が米国とは異なるという意味と受け止められる。同報道官は「トランプ大統領は(北朝鮮との)対話に向け満たすべき条件を明確にしてきた。それら条件は我々がいる位置とは明らかにかけ離れている」と指摘した。
国務省と国防総省の東アジア・太平洋担当報道官も韓国の対話提案について、「韓国政府にコメントを求めてほしい」と電子メールで回答した。米政府内部で事前にコメントの調整が図られていたもようだ。トランプ政権発足後、米国務省と国防総省が「韓国政府に聞いてもらいたい」と論評したことは過去にも一度ある。先月に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の環境影響評価をめぐる論争が起きた際のことだ。両省のコメントは当時も示し合わせたように一致していた。トランプ政権による「韓国政府に聞いてもらいたい」との反応は、事実上「米国とは考えが異なる」という意味だ。
韓国が北朝鮮に提案した軍事会談、赤十字会談のうち、離散家族再会に向けた赤十字会談については、米国も容認する雰囲気だ。ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)アジア担当補佐官を務めたマイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)副所長は最近、本紙のインタビューに対し、「離散家族再会といった人道主義的な支援については、米国に大きな異存はないはずだ」と述べている。
しかし、軍事会談となると話が違ってくる。北朝鮮が「核・ミサイル」で暴走する状況で開かれる南北軍事会談は、北朝鮮の一方的な政治宣伝の舞台になりかねない。北朝鮮が8月末の韓米合同軍事演習の縮小や拡声器による宣伝放送の中断を要求し、韓半島(朝鮮半島)が緊張している責任を韓米に転嫁するとの観測もある。ワシントンの外交筋は「韓国が軍事会談で核・ミサイルによる挑発の中断を要求しても、北朝鮮は『米国との問題だ』として聞く耳を持たないはずだ。韓国は対話を急いでいる感がある」と話した。今月初めの主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、韓米日の首脳は対北朝鮮制裁での協調に合意したが、韓国が対話へと軌道を離脱すれば、3カ国による協調体制は揺らぎかねない。さらに、中国・ロシアが南北対話を見守るムードをつくり出せば、国連安全保障理事会などを通じた対北朝鮮制裁の努力も水の泡になる懸念がある。米政府筋は同日、VOA放送に対し、「(対話の)時期などについて、韓米間でやや気流の違いがあると考えている」と述べた。これは米国側の内心を反映した発言と言えるだろう。
北朝鮮との対話に関するトランプ政権の立場は明確だ。「非核化が前提」というものだ。今月4日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試験発射した後、米国は対話よりも制裁強化を重視している。米国は最近、中国・丹東銀行を制裁したのに続き、北朝鮮の主要輸出品である石炭、衣類などを大量に輸入する中国企業10社の社名を対北朝鮮制裁法案に初めて明示した。オバマ政権では中国との衝突を懸念して控えていた「セカンダリー・ボイコット」(北朝鮮と取引する第三国の企業に対する制裁)に本格的に踏み切った格好だ。米国は国連安保理を通じ、金正恩(キム・ジョンウン)政権の命綱である原油の供給中断を目指している。消息筋は「米国は文在寅政権の南北会談提案で対北朝鮮制裁戦線に穴が開くと懸念しているようだ」と語った。
ワシントン=趙儀俊(チョ・ウィジュン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/07/19/2017071900716.html
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