韓国政府に脱原発の再考を求める書簡を送ってきた米エネルギー環境団体「環境進歩」(Environmental Progress)のマイケル・シェレンバーガー代表は本紙とのインタビューで、「韓国には『エネルギー・レインボー(energy rainbow)戦略』が必要だ」と勧告した。
原子力・石炭・天然ガス・新再生可能エネルギーなど、さまざまなエネルギー源を備えながら、一つか二つに依存するなら、リスクを軽減していかなければならないというものだ。
シェレンバーガー氏は技術革新を通じた環境問題の解決を主張してきた専門家で、2004年に「環境運動は悲観論ばかり浸透させてきたために失敗した」とする「環境主義の終末」という文章で環境運動界に衝撃を与えた。
シェレンバーガー氏は
「原子力は完ぺきなエネルギーではないが、少量の廃棄物しか出ないのに最も多量のエネルギーを作り、気候変動を防ぎ、エネルギー安保を達成するのに有用だ」
「(地震で原発が爆発して深刻な被害が出たのに、政府は無策だったという)韓国映画『パンドラ』は原子力に対する間違った理解に基づき製作された映画だ」
「専門家たちは『原発は悪だ』という扇動を打ち破る先頭に立つべきだ」
と述べた。
また、福島原発事故に言及して、「隣の家(日本)で交通事故があったからと言って、車をなくすことはできない」「昨年、韓国電力の電力供給で1%と0.35%しか担っていない太陽光や風力発電に(過剰な)期待をするのは蜃気楼(しんきろう)のような話だ」とも表現した。福島原発事故があった日本でさえ、このところ原発を再稼働し始めている。
政府の計画通り2030年までに電力供給全体の20%を新再生可能エネルギーで充当するには、ソウル市の面積の60%(370平方キロメートル)に太陽光パネルを設置し、済州島の面積の1.6倍に海上・陸上風力タービンを設置する必要がある。
周辺の土地は砂漠化したり、事実上利用できなくなったりする。つまり、無理やり推進することはできないのだ。
シェレンバーガー氏は今年2月、報道機関に対する寄稿文で、韓国は着実に原発を作り続け、技術や専門人材を蓄積し、原発建設の世界市場をリードしているとして「韓国の原発産業に学ぼう」と書いた。
60年間にわたり努力を重ねて世界レベルにまで達した原発の競争力を、映画『パンドラ』を見て涙するような「その場限りの感情」で新政権が放棄してしまうことこそ災難だろう。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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