和歌山「正論」懇話会の第88回講演会が和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれ、モラロジー研究所教授、麗澤(れいたく)大学客員教授の西岡力氏が「緊迫する半島情勢と日本の進路」と題して講演。文在寅(ムン・ジェイン)新政権の誕生によって韓国で自由主義が後退することを警戒するとともに、北朝鮮のミサイル発射や核開発などで朝鮮半島情勢が緊迫する中、日本は核と拉致の問題を切り離して議論し、拉致被害者全員を取り戻すことが重要だと指摘した。(講演要旨は次の通り)
北朝鮮に横田めぐみさんたちが拉致されて40年が経過した。北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)をつくり、拉致被害者の家族会とともに運動を始めて20年がたったが、いまだに5人の拉致被害者しか取り戻すことができておらず、悔しくてたまらない。朝鮮半島情勢が緊迫する中、今年の後半から来年にかけてが最後のチャンスかもしれない。
韓国では5月に大統領選があり、文在寅氏が当選した。本来なら12月にあるべき選挙が前倒しになったのは、ある韓国人に言わせれば「政変」ということだ。
そもそも朴槿恵(パク・クネ)前大統領は「反日」大統領として有名だが、韓国では「親日」大統領と思われている。このことが分からないと、韓国で今、何が起きているのか分からない。韓国で起きているのは革命だ。北朝鮮とつながり韓国を否定する「親北反韓勢力」が、韓国の主流勢力を後退させる形で革命を起こしている。
文氏は当選後、党関係者に「自信を持って第3期民主政府を力いっぱい推し進めていく」と語った。文氏は現行憲法下で7人目の大統領だが、自分は3番目と言ったのだ。これは金大中(キム・デジュン)氏、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏、そして自分だけが民主政府で、それ以外の大統領は民主政府ではないということだ。
他の人物も選挙で選ばれた民主的な大統領だが、文氏はそうは言わない。文氏の言う民主主義は自由民主主義ではなく、人民民主主義ではないか。
また、日本のマスコミはほとんど触れていないが、文政権は任鍾●(=析の下に日)(イム・ジョンソク)氏を大統領秘書室長に起用した。秘書室長は日本の官房長官にあたる。任氏は北朝鮮が最初に核実験をしたとき、「これは米国のせいだ」というような発言をしたり、金日成総合大学に数千万円の寄付をしたりしているような人物だ。北朝鮮を支持していたことを認めながら、今まで一度も公開の席で転向宣言をしていない。
私は、文政権というのは任政権ではないかと疑っている。任氏が文氏を操ってしまうのではないだろうか。隣国で当選したばかりの大統領の悪口を言うのは礼儀に反するかもしれないが、日本の安全保障に関係することだ。韓国の自由主義は後退どころか、崩壊するかもしれない。
一方、北朝鮮は核開発を続けており、ミサイル技術の精度も上げている。トランプ政権は米国まで届く核ミサイルを持たせないことをレッドラインと決め、北朝鮮と取引する中国企業などとドル取引をしないなどの制裁も検討し、準備を進めている。
そこで、われわれは安倍政権に対し、今年中に拉致被害者を帰してもらうことを求めている。拉致と核の問題を切り離し、日本は拉致問題に最優先で取り組むという姿勢を示すべきだ。拉致問題の解決には戦術が重要で、日本固有の問題として水面下で交渉する必要がある。
安倍首相は任期の間に北朝鮮から拉致被害者全員を取り戻すといっているが、不可能なことではない。そのためには、緊迫する情勢を日本がどう主体的に利用できるかが重要だ。われわれは日本に核ミサイルを届かせないことと拉致被害者を帰させることという日本のレッドラインを議論し、国益の実現に全力を尽くさなければならない。
http://www.sankei.com/west/news/170621/wst1706210014-n1.html
2017.6.21 07:24
北朝鮮に横田めぐみさんたちが拉致されて40年が経過した。北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)をつくり、拉致被害者の家族会とともに運動を始めて20年がたったが、いまだに5人の拉致被害者しか取り戻すことができておらず、悔しくてたまらない。朝鮮半島情勢が緊迫する中、今年の後半から来年にかけてが最後のチャンスかもしれない。
韓国では5月に大統領選があり、文在寅氏が当選した。本来なら12月にあるべき選挙が前倒しになったのは、ある韓国人に言わせれば「政変」ということだ。
そもそも朴槿恵(パク・クネ)前大統領は「反日」大統領として有名だが、韓国では「親日」大統領と思われている。このことが分からないと、韓国で今、何が起きているのか分からない。韓国で起きているのは革命だ。北朝鮮とつながり韓国を否定する「親北反韓勢力」が、韓国の主流勢力を後退させる形で革命を起こしている。
文氏は当選後、党関係者に「自信を持って第3期民主政府を力いっぱい推し進めていく」と語った。文氏は現行憲法下で7人目の大統領だが、自分は3番目と言ったのだ。これは金大中(キム・デジュン)氏、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏、そして自分だけが民主政府で、それ以外の大統領は民主政府ではないということだ。
他の人物も選挙で選ばれた民主的な大統領だが、文氏はそうは言わない。文氏の言う民主主義は自由民主主義ではなく、人民民主主義ではないか。
また、日本のマスコミはほとんど触れていないが、文政権は任鍾●(=析の下に日)(イム・ジョンソク)氏を大統領秘書室長に起用した。秘書室長は日本の官房長官にあたる。任氏は北朝鮮が最初に核実験をしたとき、「これは米国のせいだ」というような発言をしたり、金日成総合大学に数千万円の寄付をしたりしているような人物だ。北朝鮮を支持していたことを認めながら、今まで一度も公開の席で転向宣言をしていない。
私は、文政権というのは任政権ではないかと疑っている。任氏が文氏を操ってしまうのではないだろうか。隣国で当選したばかりの大統領の悪口を言うのは礼儀に反するかもしれないが、日本の安全保障に関係することだ。韓国の自由主義は後退どころか、崩壊するかもしれない。
一方、北朝鮮は核開発を続けており、ミサイル技術の精度も上げている。トランプ政権は米国まで届く核ミサイルを持たせないことをレッドラインと決め、北朝鮮と取引する中国企業などとドル取引をしないなどの制裁も検討し、準備を進めている。
そこで、われわれは安倍政権に対し、今年中に拉致被害者を帰してもらうことを求めている。拉致と核の問題を切り離し、日本は拉致問題に最優先で取り組むという姿勢を示すべきだ。拉致問題の解決には戦術が重要で、日本固有の問題として水面下で交渉する必要がある。
安倍首相は任期の間に北朝鮮から拉致被害者全員を取り戻すといっているが、不可能なことではない。そのためには、緊迫する情勢を日本がどう主体的に利用できるかが重要だ。われわれは日本に核ミサイルを届かせないことと拉致被害者を帰させることという日本のレッドラインを議論し、国益の実現に全力を尽くさなければならない。
http://www.sankei.com/west/news/170621/wst1706210014-n1.html
2017.6.21 07:24