【上海=河崎真澄】中国の山東省煙台と海南省三亜で今年3月、日本人男性がそれぞれ3人ずつ、計6人が現地当局に拘束されていたことが22日、日本政府関係者の話で分かった。当局から日本側に通知が3月にあったという。
中国外務省の華春瑩報道官も22日午後の記者会見で、「中国で違法な活動に関わった日本人6人に対して、法に基づいて調べを進めている」と話し、拘束の事実を認めた。
容疑は分かっていないが、青島港のある山東省や南シナ海を管轄する海南省は軍事拠点が多く、スパイ行為を疑われた懸念から「国家安全危害容疑」の可能性もある。
6人のうち4人は地質調査会社「日本地下探査」(千葉県船橋市)の社員。中国の温泉開発会社の依頼で、3月下旬から両省で専用の測定機器を使用した地質調査を行っていた。調査は4月初旬までの予定だったが、入国数日後に連絡が取れなくなったという。
社員は20〜70代でいずれも男性。会見した同社の佐々木吾郎社長は「4人とも元気だと(日本の)外務省から聞いた」とした。同社は約10年前から、中国で数十件の地質調査を行った実績があり、4人も複数回、中国で仕事をした経験があるという。残る2人の詳細は分かっていない。
菅義偉官房長官は22日の記者会見で「邦人保護の観点から、在外公館などを通じて適切に支援を行っている」と述べた。
中国当局は2015年からスパイ行為に関与したとして日本人の男女計5人を相次いで拘束。うち4人の公判が既に始まっている。反スパイ法施行(2014年11月)以降、中国国内で拘束された日本人は今回の事件で10人を超えており、習近平政権の外国人の監視態勢が一段と鮮明になった。
■中国の邦人拘束に政治的意図 線引き不明で外交筋戸惑い
【北京=西見由章】スパイ行為に関与したとして中国当局が日本人を拘束した。「国家安全危害罪」などで中国に拘束・拘留されている日本人が少なくとも計11人に上る異常事態だ。
今回拘束されたのは温泉開発に関わっていた日本企業の社員らで、実態とは無関係に「スパイ摘発」を乱発して国内の求心力を高めようとする習近平指導部の政治的意図が浮かぶ。
拘束された日本人については日本総領事館が定期的に領事面会を行っているが、中国側の規制もあり拘束時の状況について詳細に聞き取れていない面もあるという。日中外交筋は「違法行為というが、中国で何をすれば危ないのかが非常に曖昧だ」と戸惑いを隠さない。
中国では2015年以降、日本人の男女5人がスパイ行為に関与したなどとして国家安全危害容疑などで逮捕された。15年5月に拘束された愛知県の50代男性は、中国が軍用ヘリポートや埠頭(ふとう)の建設を進める浙江省温州の南●島を調査していたとみられる。
ただ今回のケースでは、拘束された日本人男性らが中国の軍事情報を調査していた可能性は低く、恣意的に法が運用された可能性がある。
北京市国家安全局は4月、14年制定の「反スパイ法」に基づき最大50万元(約800万円)の報奨金が支払われる通報奨励規則を施行した。同法はスパイ行為を「外国のスパイ組織」への参加や指示を受けての活動などと定義したが、「スパイ組織」の定義は曖昧だ。
これを受けて日本大使館は今月、在留邦人に対し「軍事施設の撮影や無許可での測量、地質調査などで身柄を拘束されることがあり得る」と注意喚起のメールを送付していた。
●=鹿の下に机のつくり
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170523/frn1705231100006-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170523/frn1705231100006-n2.htm
中国外務省の華春瑩報道官も22日午後の記者会見で、「中国で違法な活動に関わった日本人6人に対して、法に基づいて調べを進めている」と話し、拘束の事実を認めた。
容疑は分かっていないが、青島港のある山東省や南シナ海を管轄する海南省は軍事拠点が多く、スパイ行為を疑われた懸念から「国家安全危害容疑」の可能性もある。
6人のうち4人は地質調査会社「日本地下探査」(千葉県船橋市)の社員。中国の温泉開発会社の依頼で、3月下旬から両省で専用の測定機器を使用した地質調査を行っていた。調査は4月初旬までの予定だったが、入国数日後に連絡が取れなくなったという。
社員は20〜70代でいずれも男性。会見した同社の佐々木吾郎社長は「4人とも元気だと(日本の)外務省から聞いた」とした。同社は約10年前から、中国で数十件の地質調査を行った実績があり、4人も複数回、中国で仕事をした経験があるという。残る2人の詳細は分かっていない。
菅義偉官房長官は22日の記者会見で「邦人保護の観点から、在外公館などを通じて適切に支援を行っている」と述べた。
中国当局は2015年からスパイ行為に関与したとして日本人の男女計5人を相次いで拘束。うち4人の公判が既に始まっている。反スパイ法施行(2014年11月)以降、中国国内で拘束された日本人は今回の事件で10人を超えており、習近平政権の外国人の監視態勢が一段と鮮明になった。
■中国の邦人拘束に政治的意図 線引き不明で外交筋戸惑い
【北京=西見由章】スパイ行為に関与したとして中国当局が日本人を拘束した。「国家安全危害罪」などで中国に拘束・拘留されている日本人が少なくとも計11人に上る異常事態だ。
今回拘束されたのは温泉開発に関わっていた日本企業の社員らで、実態とは無関係に「スパイ摘発」を乱発して国内の求心力を高めようとする習近平指導部の政治的意図が浮かぶ。
拘束された日本人については日本総領事館が定期的に領事面会を行っているが、中国側の規制もあり拘束時の状況について詳細に聞き取れていない面もあるという。日中外交筋は「違法行為というが、中国で何をすれば危ないのかが非常に曖昧だ」と戸惑いを隠さない。
中国では2015年以降、日本人の男女5人がスパイ行為に関与したなどとして国家安全危害容疑などで逮捕された。15年5月に拘束された愛知県の50代男性は、中国が軍用ヘリポートや埠頭(ふとう)の建設を進める浙江省温州の南●島を調査していたとみられる。
ただ今回のケースでは、拘束された日本人男性らが中国の軍事情報を調査していた可能性は低く、恣意的に法が運用された可能性がある。
北京市国家安全局は4月、14年制定の「反スパイ法」に基づき最大50万元(約800万円)の報奨金が支払われる通報奨励規則を施行した。同法はスパイ行為を「外国のスパイ組織」への参加や指示を受けての活動などと定義したが、「スパイ組織」の定義は曖昧だ。
これを受けて日本大使館は今月、在留邦人に対し「軍事施設の撮影や無許可での測量、地質調査などで身柄を拘束されることがあり得る」と注意喚起のメールを送付していた。
●=鹿の下に机のつくり
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170523/frn1705231100006-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170523/frn1705231100006-n2.htm