2年前に突然、平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)開会・閉会式の総監督を引き受けたのが禍根だった。宋承桓(ソン・スンファン)監督は最近、後悔してもどうにもならないという。すべて天気のためだ。時々、悪夢を見る。悪夢の内容はいつも同じだ。
「2018年2月9日。平昌冬季オリンピック開会の日だ。心配した通りだった。昨夜降った雪でアルペンシアスタジアムが凍結した。急いで軍将兵を投入して氷を割り、座席の解氷をするが、どうにもならない。3万5000席をどう処理するのか。午後8時の開会式まで12時間しか残っていない。観客は午後6時になると入場してくる。
あれほど祈ったが、空も無情だ。期待した異常高温もなかった。むしろ酷寒に大雪。夜9時の予想気温は氷点下12度、風速は時速10メートル。体感温度は風速1メートルあたり1度ずつ落ちる。観客は氷点下22度の酷寒の中で4時間ずっと座っていなければいけない。公演が目に入るはずがない。いくら良い作品を制作しても意味がない。花より団子というように、温かく腹が満たされてこそ感動や感嘆の声が出る。大統領の演説中、ついに観客が震えながら席を外す。外国の首脳も北風寒雪にそわそわする。惨事もこれほどの惨事はない」。
宋監督は「考えるだけでぞっとする」と語った。これはすべて予算のためだ。アルペンシアスタジアムには屋根がない。工事費を減らし、撤去を容易にするためだ。このため酷寒には無対策となった。座席に熱線を入れようというアイデアもあった。
しかし数十億ウォンの予算がなく、あきらめるしかなかった。防寒装備でもまともに準備してくれればよいが、膝かけ1枚とカイロがすべてだ。やはり予算がなく、1人あたり1万6000ウォン(約1600円)以内で準備しなければならなかった。したがって厚くて大きいブランケットや防寒帽、防寒マスクなどは考えることもできない。
宋承桓監督は今年2月9日午後8時にアルペンシアスタジアムに行ってみた。やはり氷点下5、6度に風が強く、体感温度は氷点下20度ほどに感じられた。完璧に防寒服で身を包んだが、どうにもならなかった。同行したイ・ビョンナム・オリンピック組織委局長と職員は異口同音に「1時間ほど過ぎると凍死しそうだった」と語った。
政府が平昌オリンピックに投入した予算は計13兆ウォン(約1兆3000億円)。ここにはもちろん高速道路・高速鉄道建設費のようなインフラ投資が含まれている。これほど多くの予算を投入しながらも、数十億から数百億ウォンがなく酷寒には無対策になった。なぜこのようなことになったのか。まず誘致当時より16種目増えたのが大きかった。86種目が102種目に増え、運用人員・装備・施設費が増えた。予定を4000億ウォンほどオーバーした。ところで資金を調達する道がふさがった。
このような大会運営費は政府の支援を受けない。スポーツtotoや入場券を売り、企業の後援を受けて調達するのが慣例だ。企業は今まで8800億ウォンを後援した。目標額9400億ウォンの93.6%だ。ところが昨年末、崔順実(チェ・スンシル)国政壟断事態で企業の後援支援金が突然途絶えた。財界の関係者は「ミル・Kスポーツ財団に資金を出して大変なことになったが、また資金を出すのは容易でない」と話した。
オリンピック組織委員会はいくら切り詰めても3000億ウォンほど不足するとみている。このため急ぎでない酷寒対策は後回しにされた。組織委は窮余の策として先月、公企業に手を出した。しかし公企業も話す言葉はある。公企業の関係者は「政府が予算を使いたくないため公企業の腕をひねる容易な方法を使おうとしている」と不満を表した。
国政壟断事態と大統領選挙が過ぎながらあふれる懸案で平昌オリンピックはほとんど忘れられた。今年末からは本格的に運営費がかかる。資金がなければボランティアも使えず、臨時テント一つも設置できない。20万−150万ウォンの入場券を購入して来た観客が真冬の酷寒に震えていても5万−6万ウォンの防寒キット一つも配れない。これでは平昌が国の名誉を高めるどころか、悪名をはせることになりかねない。空ばかり眺める天水田のようになった平昌、いつまで見守らなければいけないのだろうか。
http://japanese.joins.com/article/222/229222.html
「2018年2月9日。平昌冬季オリンピック開会の日だ。心配した通りだった。昨夜降った雪でアルペンシアスタジアムが凍結した。急いで軍将兵を投入して氷を割り、座席の解氷をするが、どうにもならない。3万5000席をどう処理するのか。午後8時の開会式まで12時間しか残っていない。観客は午後6時になると入場してくる。
あれほど祈ったが、空も無情だ。期待した異常高温もなかった。むしろ酷寒に大雪。夜9時の予想気温は氷点下12度、風速は時速10メートル。体感温度は風速1メートルあたり1度ずつ落ちる。観客は氷点下22度の酷寒の中で4時間ずっと座っていなければいけない。公演が目に入るはずがない。いくら良い作品を制作しても意味がない。花より団子というように、温かく腹が満たされてこそ感動や感嘆の声が出る。大統領の演説中、ついに観客が震えながら席を外す。外国の首脳も北風寒雪にそわそわする。惨事もこれほどの惨事はない」。
宋監督は「考えるだけでぞっとする」と語った。これはすべて予算のためだ。アルペンシアスタジアムには屋根がない。工事費を減らし、撤去を容易にするためだ。このため酷寒には無対策となった。座席に熱線を入れようというアイデアもあった。
しかし数十億ウォンの予算がなく、あきらめるしかなかった。防寒装備でもまともに準備してくれればよいが、膝かけ1枚とカイロがすべてだ。やはり予算がなく、1人あたり1万6000ウォン(約1600円)以内で準備しなければならなかった。したがって厚くて大きいブランケットや防寒帽、防寒マスクなどは考えることもできない。
宋承桓監督は今年2月9日午後8時にアルペンシアスタジアムに行ってみた。やはり氷点下5、6度に風が強く、体感温度は氷点下20度ほどに感じられた。完璧に防寒服で身を包んだが、どうにもならなかった。同行したイ・ビョンナム・オリンピック組織委局長と職員は異口同音に「1時間ほど過ぎると凍死しそうだった」と語った。
政府が平昌オリンピックに投入した予算は計13兆ウォン(約1兆3000億円)。ここにはもちろん高速道路・高速鉄道建設費のようなインフラ投資が含まれている。これほど多くの予算を投入しながらも、数十億から数百億ウォンがなく酷寒には無対策になった。なぜこのようなことになったのか。まず誘致当時より16種目増えたのが大きかった。86種目が102種目に増え、運用人員・装備・施設費が増えた。予定を4000億ウォンほどオーバーした。ところで資金を調達する道がふさがった。
このような大会運営費は政府の支援を受けない。スポーツtotoや入場券を売り、企業の後援を受けて調達するのが慣例だ。企業は今まで8800億ウォンを後援した。目標額9400億ウォンの93.6%だ。ところが昨年末、崔順実(チェ・スンシル)国政壟断事態で企業の後援支援金が突然途絶えた。財界の関係者は「ミル・Kスポーツ財団に資金を出して大変なことになったが、また資金を出すのは容易でない」と話した。
オリンピック組織委員会はいくら切り詰めても3000億ウォンほど不足するとみている。このため急ぎでない酷寒対策は後回しにされた。組織委は窮余の策として先月、公企業に手を出した。しかし公企業も話す言葉はある。公企業の関係者は「政府が予算を使いたくないため公企業の腕をひねる容易な方法を使おうとしている」と不満を表した。
国政壟断事態と大統領選挙が過ぎながらあふれる懸案で平昌オリンピックはほとんど忘れられた。今年末からは本格的に運営費がかかる。資金がなければボランティアも使えず、臨時テント一つも設置できない。20万−150万ウォンの入場券を購入して来た観客が真冬の酷寒に震えていても5万−6万ウォンの防寒キット一つも配れない。これでは平昌が国の名誉を高めるどころか、悪名をはせることになりかねない。空ばかり眺める天水田のようになった平昌、いつまで見守らなければいけないのだろうか。
http://japanese.joins.com/article/222/229222.html