放送番組などの映像コンテンツの国際的な祭典「MIPCOM2016」が10月17日から同20日までフランスのカンヌで世界各地の放送関係者約1万4千人が集まって開かれた。日本が初めてイベント全体をリードする「主賓国」となった今回、NHKや民放、番組制作会社など約50社が日本から参加。安倍晋三首相がビデオメッセージを寄せるなど官民が一体となったオールジャパンの態勢で臨んだ。放送コンテンツは一時期、韓流が市場を席巻したが、日本の優良コンテンツを世界にアピールする意気込みがあふれたものになった。
17日に行われた会見では、MIPCOMの開催を祝う安倍首相のビデオメッセージが披露され、WOWOWやNHKが制作したドラマが上映された。ドラマの上映に先立って、監督やプロデューサーらがレッドカーペットに登場し、雰囲気を盛り上げた。
MIPCOMは日本ではなじみが薄いが、毎年秋にカンヌで開かれ、映像コンテンツが世界中から集まる見本市だ。各国のバイヤーが参加し、アニメ、ドラマ、バラエティー、ドキュメンタリーの売買取引が行われ、時には数百億円規模の資金が動くこともあるという。
政府は成長戦略の下、放送コンテンツの海外展開に積極的に取り組んでおり、今年6月に閣議決定された日本再興戦略では平成22年度に約66億円だった放送コンテンツの海外市場売上高を30年度までに約3倍にする目標を掲げている。
一時の勢いはないが、油断のならない韓流
放送コンテンツといえば気になるのが、韓流だ。「冬のソナタ」などに代表される韓流ドラマやKーPOPが日本国内やアジアで大きなブームを呼んだ。
現在はその勢いは落ち着いたかにみえる。ただ、総務省がまとめた資料によると、25年の放送と映画を合わせた海外輸出額は、韓国が3億4600万ドル(うち放送コンテンツは3億900万ドル)なのに対し、日本は2億600万ドル(同1億4100万ドル)と水をあけられている。
また、番組放送権の輸出額に占めるジャンル別の割合をみると、日本はアニメ54・5%、ドラマ18・2%、バラエティー13・6%などとなっているのに対し、韓国はドラマが73・8%を占めている。
さらに海外輸出額の構成をみると、日本は番組放送権47・2%、インターネット配信権19・0%、ビデオ・DVD化権5・0%などなっているが、韓国は番組放送権が90・4%にも上っている。
つまり、韓国の海外展開の方法がかなり偏りをみせているのに対し、日本のそれは多岐にわたっていることになる。総務省幹部はこうした点を踏まえて「日本の方が受け入れられやすい。さまざまな展開が可能な素地がある」と、世界市場への日本の放送コンテンツのさらなる進出に期待を寄せる。
ただ、この総務省幹部は「韓流は工業製品など韓国の輸出政策と一体となっている。政府の支援策の下で、韓流ドラマやKーPOPがまず進出。親韓感情が芽生えたところにサムスンやヒュンダイが製品を投入し、その国や地域の市場に一気に浸透する」と韓流が拡大した経緯も指摘する。
韓国はこの「勝利の方程式」を使って、世界各地でマーケットを開拓してきた。日本国内では歴史問題などで嫌韓感情が広がったことから、韓流のブームは去ったような感じもする。
しかし、大韓貿易投資振興公社と韓国文化産業交流財団がまとめた報告書は、韓流の市場として期待できる国としてインド、カナダ、アラブ首長国連邦を挙げ、インドネシア、タイ、カザフスタンなどではすでに人気が定着し、今後も成長が期待できると分析。中国や東南アジア以外の新しい市場に注目する必要がある、と強調している。
日本側は今回のMIPCOMを、再来年にフランスのパリを中心に開かれる日本博「ジャポニスム2018」に先行するイベントとして位置づけている。
この日本博は、安倍首相が今年5月に訪仏した際に表明したイベントで、フランスの若者を中心に人気のアニメや漫画など、日本のポップカルチャーを紹介する。また、歌舞伎や能の公演、浮世絵の展示会など日本の伝統文化を披露する行事も展開する予定で、いわばクールジャパンを世界に発信する舞台となる。果たして今回のMIPCOMの成果を日本博にうまくつなぐことができるのか?
http://www.sankei.com/premium/news/161103/prm1611030018-n1.html
17日に行われた会見では、MIPCOMの開催を祝う安倍首相のビデオメッセージが披露され、WOWOWやNHKが制作したドラマが上映された。ドラマの上映に先立って、監督やプロデューサーらがレッドカーペットに登場し、雰囲気を盛り上げた。
MIPCOMは日本ではなじみが薄いが、毎年秋にカンヌで開かれ、映像コンテンツが世界中から集まる見本市だ。各国のバイヤーが参加し、アニメ、ドラマ、バラエティー、ドキュメンタリーの売買取引が行われ、時には数百億円規模の資金が動くこともあるという。
政府は成長戦略の下、放送コンテンツの海外展開に積極的に取り組んでおり、今年6月に閣議決定された日本再興戦略では平成22年度に約66億円だった放送コンテンツの海外市場売上高を30年度までに約3倍にする目標を掲げている。
一時の勢いはないが、油断のならない韓流
放送コンテンツといえば気になるのが、韓流だ。「冬のソナタ」などに代表される韓流ドラマやKーPOPが日本国内やアジアで大きなブームを呼んだ。
現在はその勢いは落ち着いたかにみえる。ただ、総務省がまとめた資料によると、25年の放送と映画を合わせた海外輸出額は、韓国が3億4600万ドル(うち放送コンテンツは3億900万ドル)なのに対し、日本は2億600万ドル(同1億4100万ドル)と水をあけられている。
また、番組放送権の輸出額に占めるジャンル別の割合をみると、日本はアニメ54・5%、ドラマ18・2%、バラエティー13・6%などとなっているのに対し、韓国はドラマが73・8%を占めている。
さらに海外輸出額の構成をみると、日本は番組放送権47・2%、インターネット配信権19・0%、ビデオ・DVD化権5・0%などなっているが、韓国は番組放送権が90・4%にも上っている。
つまり、韓国の海外展開の方法がかなり偏りをみせているのに対し、日本のそれは多岐にわたっていることになる。総務省幹部はこうした点を踏まえて「日本の方が受け入れられやすい。さまざまな展開が可能な素地がある」と、世界市場への日本の放送コンテンツのさらなる進出に期待を寄せる。
ただ、この総務省幹部は「韓流は工業製品など韓国の輸出政策と一体となっている。政府の支援策の下で、韓流ドラマやKーPOPがまず進出。親韓感情が芽生えたところにサムスンやヒュンダイが製品を投入し、その国や地域の市場に一気に浸透する」と韓流が拡大した経緯も指摘する。
韓国はこの「勝利の方程式」を使って、世界各地でマーケットを開拓してきた。日本国内では歴史問題などで嫌韓感情が広がったことから、韓流のブームは去ったような感じもする。
しかし、大韓貿易投資振興公社と韓国文化産業交流財団がまとめた報告書は、韓流の市場として期待できる国としてインド、カナダ、アラブ首長国連邦を挙げ、インドネシア、タイ、カザフスタンなどではすでに人気が定着し、今後も成長が期待できると分析。中国や東南アジア以外の新しい市場に注目する必要がある、と強調している。
日本側は今回のMIPCOMを、再来年にフランスのパリを中心に開かれる日本博「ジャポニスム2018」に先行するイベントとして位置づけている。
この日本博は、安倍首相が今年5月に訪仏した際に表明したイベントで、フランスの若者を中心に人気のアニメや漫画など、日本のポップカルチャーを紹介する。また、歌舞伎や能の公演、浮世絵の展示会など日本の伝統文化を披露する行事も展開する予定で、いわばクールジャパンを世界に発信する舞台となる。果たして今回のMIPCOMの成果を日本博にうまくつなぐことができるのか?
http://www.sankei.com/premium/news/161103/prm1611030018-n1.html