2024年8月1日19時42分
<パリオリンピック(五輪):柔道>◇1日◇男子100キロ級◇準々決勝◇シャンドマルス・アリーナ
【パリ=木下淳】21年東京五輪金メダルのウルフ・アロン(28=パーク24)が準々決勝で散った。23歳で世界ランキング2位のイリア・スラマニゼ(ジョージア)に開始50秒、隅返しで技ありを奪われ、逃げ切られた。敗者復活戦へ回り、意地の銅メダルを目指す。ノーシードから五輪2連覇の夢は破れたが、日本男子として初日から6階級連続のメダルは逃せない。
2回戦は元世界王者で東京五輪銅メダルのフォンセカ(ポルトガル)と対戦。序盤から難敵と当たったが、試合終盤に美麗な内股で一本勝ちを収めた。初戦もオーストリア選手を、得意の大内刈りで技あり2つと一蹴。状態は良さそうだった。
3年前に世界の頂点に立った後、苦しみ抜いた。休養中に体重が、少なくとも125キロまで増量。減量の負荷が増して力が入らない日々を送った。22年10月の講道館杯で実戦復帰して3位止まり。続く同12月のグランドスラム(GS)東京大会とワールドマスターズは初戦敗退と、全く勝てなくなった。
昨年12月のGS東京も7位。いよいよ五輪2連覇が消えかけ、引退も頭をよぎったが、この階級で日本のパリ代表争い1番手に急浮上していた当時18歳の世界ジュニア王者、新井道大(東海大)に次ぐ2番手として今年2月のGSパリに最終選考が持ち越されることになり、命拾いした。
大学の後輩を追う逆境に発奮。そのGSパリで、東京五輪後の国際大会で初優勝を果たし、おとこ泣きした。男女14階級で唯一、内定が越年していたパリ切符のラスト1枚を、逆転でつかんだ。
「ここまでの道のりがすごく長かった。安心した。パリへの道がつながった」
振り返れば、金メダルの後は、柔道の普及目的で可能な限りメディアに出演した。「芸能人か」と批判され「ちょっとテレビに出過ぎたな」。減量苦には「きつい。死ぬ」と弱音も吐いたが「柔道人生の全てを懸ける」と期した背水のGSパリで、五輪と同じ地で復活を遂げた。
男子100キロ級では、井上康生も果たせなかった2連覇へ。この階級では前例のないV2へ。「東京五輪のように切羽詰まったり、プレッシャーを感じたりはしていない。1度、経験していることは大きい。余裕が今の心と体にマッチしている」と話し、夢舞台に舞い戻っていたが、目指す頂には届かなかった。
https://www.nikkansports.com/olympic/paris2024/judo/news/202408010001397.html
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